住む場所が変わったり生活環境が変わったりして今まで乗っていた自動車に乗る機会が減ることがあります。そのような状況になると今までと同じように自動車保険を払っているのがもったいなく感じます。
そんなときに利用が可能になる制度として自動車保険の一時停止機能である「自動車保険等級中断制度」というのがあります。今回は自動車保険を一時停止することができる等級の中断方法について解説していきます。
Contents
自動車保険を一時停止することはできるの?
「私も自動車保険を一時停止することはできるの?」
「そもそも自動車保険を一時停止することができるの?」
はじめてこの言葉を聞いたときにはこんな疑問が生まれてきます。自動車保険を普段から気にされない方にとっては等級制度という仕組み自体がわかりにくいものです。
等級制度の仕組みについて解説したページがありますのでこちらもぜひ参考にしてください。
結論から言うと自動車保険の一時停止、つまり等級の中断をすることは可能です。具体的な仕組みをこれから詳しく解説します。
自動車保険の等級中断のしくみ
自動車保険の等級制度については先程紹介したページで理解してもらえたと思います。等級は事故がなければ毎年1等級ずつ積み上がります。そして、積み上がるごとにあなたの支払う保険料の割引が増えていきます。なので10年以上コツコツためて初めて最高等級の20等級に達します。
この長年無事故で増やした等級を様々な理由で解約し、しばらく使わない契約者へ等級が消滅すること無いように、等級を取っておくことができるのが等級中断制度になります。中断できる期間は各保険会社により異なりますが、5年屋10年の期間で保有していることができます。
しかも、この中断制度は有料ではなく無料で手続きすることができます。なので、やむなく自動車を一時手放すときには絶対に行ったほうが良いです。
自動車保険一時停止(等級中断)ができる条件
この等級の中断は誰でもできるものではありません。誰でも中断ができるようになってしまうと保険会社にとって事務手続きが増えたり保険料の減収につながってしまうからです。
例えば、通勤は電車で車を乗るのが遠出をするぐらいだとすると、再来週まで車に乗らないから2週間の保険料を払うのがもったいないので中断しようと思うかもしれません。このような少し乗らない期間があるだけでは中断をすることはできません。
具体的に中断が可能な条件は以下のような形になります。
・契約自動車を手放す場合(売却・廃車等で)
・契約自動車の車検を通さない場合(車検切れ)
・契約自動車が盗難されてしまった場合
・新しい車に乗り換えるまで1ヶ月以上期間が空く場合
このような条件に合致する場合には等級を中断する事ができます。具体的な手続き方法については契約する保険会社により異なるので確認をしてください。
中断した等級を自分以外に譲ることはできるの?
中断した等級は同居の親族のみに譲ることができます。同居以外の家族には譲ることができません。
そのため、もし実家から引っ越して一人暮らしや新たな世帯を築く家族に中断した等級を渡したい場合には中断前に対象となる家族を記名被保険者という立場に変更して中断の手続きをしてください。
自動車保険を中断するメリットとデメリット
自動車保険を中断することは必ずしもメリットだけではありません。場合によってはデメリットになる場合もあります。その点について詳しく解説していきます。
等級中断のメリット
等級中断のメリットは再び自動車保険を契約するときに新規契約よりも安く入れる点です。通常、新規契約の場合、6等級、場合によっては7等級からのスタートとなりますが、等級の中断を使用することで中断した等級を使用することができ、新規契約するよりも安い保険料にすることが出来ます。
等級中断のデメリット
反対にデメリットとしては以下のようなものがあります。
①事故あり等級の場合、短期間の中断はかえって保険料が高くなる
事故あり等級というのは事故で保険を使用した場合、等級は3等級下がります。さらに「事故あり係数」という通常の等級よりも低い割引率になります。
例えば、20等級の車が接触事故で保険を使用した場合、次回の等級は17等級事故あり3年となります。この場合、16等級の方が無事故で17等級に上がった場合と比べると割引率が25%低くなります。
そして、20等級の方が事故をした契約途中に中断すると、中断後の等級は17等級の事故あり3年となります。
例えば、保険の満期まで残り5か月の車が接触事故を起こし、事故による損傷が激しく、その車を廃車にして一旦中断し、新しい車が納車した時に中断を復活させようと考えたとします。この場合、本来であれば5ヶ月後に事故あり等級になるのに対して中断をしてしまうと復活した時から事故あり等級となってしまいます。
中断してから1ヶ月後に新車が来て復活手続きをした場合は通常より4ケ月前倒しで事故あり等級の高い保険料になってしまいます。
このように契約期間中に事故で保険を使用し、短期で中断を復活する方には通常よりも早く事故あり期間が発生してしまいます。
②中断期間中が長期に渡ると証明書を紛失してしまう
等級の中断は保険会社によっては最長10年間等級を中断することが出来ます。中断の手続きをする時に中断証明書という書類をもらいます。そして復活するときの手続きとして中断証明書を保険会社に提出することで可能になります。
しっかり管理をしていれば中断証明書を紛失することはありませんが、人間だれしも10年前の記憶をはっきり覚えている人はいません。そのため、自身が保管したと思っていたところに証明書が無かった場合、たいてい見つからないことがほとんどです。その時にはもう一度保険会社に依頼をして中断証明書を再発行しなければなりません。
大手の損害保険会社は再発行に際して比較的簡易に作成できますが、通販型などは契約内容などの整合性が取れないと発行手続きが難しい場合もあります。当時の証券番号や車両ナンバー、車台番号などを保険会社側に伝えないと検索されず発行できないという場合もあります。なので10年間しっかりと証明書を補完しないとトラブルになる可能性があります。
③等級の進行は再開してから1年後になる
これは①の内容に近いですが、一度中断し、再度中断から復活する場合、20等級未満の等級については復活後1年経過して等級が1等級上がります。例えば、現在19等級で4月1日から1年契約で中断したタイミングが翌年の2月1日だったとします。20等級になるまで後2ヶ月でしたが、車を売却し中断をしました。
そして数年経過し再度車を購入したので中断した保険を復活します。納車日が7月1日だったのでその日から1年契約をしました。この時、保険の等級は19等級になります。20等級になるには翌年7月1日にならないといけません。
上記の事例は数年後なのであまりデメリットに感じませんが、例えば、車を売却し、2ヶ月後に新車が納車するのでそれまで中断をかけたいとなった時に、2ヶ月間中断し再度復活した場合はそこから1年後にならないと20等級にならないので19等級の期間を22ヶ月間過ごさなければならなくなります。
そのため、数ヶ月間の中断の場合は保険の開始から何ヶ月経過したか、中断することで割引率が上がらないために不利益にならないか考えた上で中断の手続きを検討した方が良いです。
以上が等級中断のデメリットになります。
中断証明書の再開方法と紛失時の対応
先ほども少し記載をしましたが、実際に中断の手続きを取る時はどのようにすれば良いのかを解説します。
中断した等級の再開方法について
等級の中断をして実際に再開する方法は以下の流れになります。
①保険会社(または代理店)に等級中断を使用したい申し出をする
その際に中断証明書を手元に証券番号、中断前の等級などを伝えます。
②復活した中断の等級による新規の自動車保険の見積もりを作成してもらう
③自動車保険の契約を締結する。その際に所有している中断証明書を保険会社に返却する。
以上が流れになります。中断証明書が手元にあれば復活する手続きは簡単に済みます。
中断証明書を紛失したときの対応
中断証明書を紛失してしまった時には以下の流れで再発行の手続きを行います。
①中断発行の手続きをした保険会社(または代理店)に連絡をして再発行の申し出をする
※この際に中断手続き当時の契約者名、証券番号、車両ナンバーなどを聞かれます。これに応えられないと再発行が困難になります。
②郵送された再発行の手続書類に必要事項を記入し提出
③中断証明書再発行の書類が届く
④中断している等級で新規の契約を行う(再発行した中断証明書を返却)
以上になります。中断証明書を紛失してしまった場合、対応が楽なのは代理店型の自動車保険です。
当社は保険代理店なのですが、仮に契約者が中断証明書を紛失していても普段から接触のある契約者なので当時の証券番号など、細かい事を聞かなくても簡単に中断内容を検索することが出来ます。
また、中断証明書再発行についてもこちらで再発行の署名書を印刷することが出来るのでお客様に持参して頂かなくても手続きすることが出来ます。
こういう柔軟さは代理店型のメリットになります。
反対に通販型は同姓同名などの中断等級の誤使用などを避けるため当時の契約者名、契約住所、証券番号などを聞かれます。覚えていればいいですが、最長で10年前の契約内容になるので確実に覚えておけるメモ帳やスマホなどで情報を入れておくことでデメリットを防ぐことができます。
一時停止後(等級中断後)保険会社を変更することは可能か?
等級を中断している10年の間には様々な事情で中断手続きをした保険会社、代理店で保険に加入できない、したくない場合もあります。しかし、多くの方が中断をした保険会社で再度契約をしないと等級は無くなってしまうと認識をされています。そこは安心してください。中断した等級は他社でも引き継いで使用することができます。
保険会社変更時に必要な手続き
中断手続きを行った保険会社とは異なる保険会社や代理店で新しい契約を行う場合、手続きはほとんど変更がありません。
中断証明書を新しい保険会社や代理店に提示することで、スムーズに中断を解消することができます。つまり、中断証明書がある限り、他社での保険契約復帰は容易です。
一方、中断証明書を紛失してしまった場合は、前の保険会社や代理店に連絡し、中断証明書の再発行を依頼する必要があります。ただし、別の会社への乗り換えに伴い、旧保険会社に再度連絡することは好ましくないため、中断証明書は大切に保管するようにしましょう。
保険会社や代理店によっては、トラブルがないように協力する姿勢を取っています。他社に移ることでトラブルが発生した場合でも、親身になって対応してくれる保険会社や代理店を選ぶことが大切です。
まとめ
今回は自動車保険の等級の一時停止。すなわち等級の中断について解説しました。
まとめると以下のようなポイントになります。
・自動車保険の等級は条件を満たせば一時停止(中断)することができる
・中断の条件は自動車を廃車または譲渡、車検切れ、盗難、次の納車まで1ヶ月以上空く場合に可能
・等級の中断は保険会社によって異なるが5年から10年間無料で中断することができる
・中断のメリットは新規の自動車契約に比べて安く入ることができる
・中断のデメリットは復活後事故有等級になる場合、短期の中断で損をする可能性がある
・中断証明書は10年間の間に紛失するリスクが有るので覚えやすい場所に保管、もしくはスマホやPCのデータに入れておく
・中断後に別の保険会社、代理店に行って保険を復活することもできる
以上になります。
中断証明は10年間という長い期間取っておける素晴らしい制度です。その反面、証明書をどこに保管したのか解らなくなる方もたくさんいるのであなたもわかりやすい方法で保管をしてください。