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    自動車事故の場合には
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自動車保険の基礎知識

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自動車保険に当て逃げは必要なのか?

自動車を持つ上で自分がいくら気をつけて運転しても相手が原因で大事な車に傷が付くことがあります。その例の一つとして駐車中のあなたの車を違う人の車がぶつけてしまい、そのまま逃げられてしまう、通称「当て逃げ」事故にあう場合があります。

非常に悪質な事故ですが逃げられてしまうと見つからない可能性は高いです。そんな時に自動車保険の補償の一つである車両保険が使えるのか?そして当て逃げに備えるために車両保険に入る必要があるのか?その点について今回は解説していきます。

当て逃げに車両保険は使えるか?

結論から申しますと当て逃げに車両保険は使えます。ただし気を付けて欲しいのは車両保険には2種類のプランがあります。そして当て逃げについてはその2つのプランで補償される場合と補償されない場合があります。さらに保険会社によってはどちらも補償される場合もあります。

当て逃げが使える車両保険の種類

確実に当て逃げまで補償する車両保険のプランは「一般条件(フルカバープラン)」になります。車両保険について詳しく説明した記事がありますのでより車両保険について知りたい場合はこちらもご参考にしてください。

フルカバータイプの車両保険は当て逃げまで補償されます。もう一つのタイプとして「車対車限定(エコノミープラン)」があります。エコノミープランはフルカバーと比べて自損事故や歩行者自転車との接触事故と転落事故、などの自車の修理費用を対象外にしたプランになります。

以前のエコノミープランは当て逃げが補償されませんでしたが、大手の損害保険会社はエコノミープランでも当て逃げを補償するようになりました。しかし、通販型含めて多くの保険会社ではエコノミープランでは当て逃げの補償は対象外になっています。

当て逃げに車両保険を使う必要があるか?

「大手の保険会社のエコノミータイプの車両保険に入れば当て逃げも補償されるので安心!」と思うかもしれませんが、大手の保険会社はいわゆる代理店型と呼ばれる自動車保険のため支払う保険料が高いです。少しでも保険料を安くしたいと考えると通販型の自動車保険の方が良いですが、そうするとフルカバーにするかエコノミーにするか迷うところです。

そもそも当て逃げで車両保険を使う人が多いのか、気になる点ではあります。

私は日々保険代理店の担当として事故の対応を行なっておりますが、私の経験上では当て逃げで車両保険を使うケースはかなり少ないです。

それではなぜ当て逃げで車両保険を使うケースが少ないのか解説をします。

当て逃げで車両保険を使うと3等級ダウン

まず、当て逃げで車両保険を使うとあなたの自動車保険の等級が3等級下がってしまいます。等級について解らない場合はこちらの記事を参考にしてください。

3等級下がると原則3年間高い保険料を支払うことになります。どのぐらい高くなるかは車種や現在の等級、年齢などによって異なりますが、少なくても3年合計で10万円前後は高くなります。10万円以上高くなっても当て逃げで大きな被害に遭う可能性もあるのでは?と思うかもしれませんが、多くの当て逃げ事故を見る中でその可能性は極めて低いです。

当て逃げだけにこだわるのであれば車両保険の必要性は低い

そもそも当て逃げをする人の心理を考えてみると解ると思います。当て逃げをする動機の多くは「ちょっとぶつかっただけでトラブルになるのも面倒だから逃げちゃおう」というケースです。大きくぶつけてしまったら人の心理として罪の意識があるので素直にぶつけたことを警察などに報告します。

もしくは逃げたいと思ってもぶつけた音が大きければ周囲の人に見られているかもしれない。自分の車の被害もそれなりにあるから傷跡や破片などでいつかバレるかもしれない。そう思うと素直にぶつけたことを報告する気持ちの方が強くなります。

中には大きくぶつかっても逃げる人もいます。しかし、その可能性は極めて低いです。私もこの仕事を10年以上行なっておりますが、当て逃げで大きな被害に遭った人は今までで2件程度です。当て逃げの報告は毎年10件近く受け付けているので経験上の可能性で言うと2%程度となります。

もちろん可能性が0ではないのであなたに当て逃げで大きな被害にあう場合もあります。しかし、それを気にして毎年高い自動車保険に入る方が無駄になる可能性は高いです。

実際に当て逃げにあった場合の対処法

以上のように当て逃げは車両保険を使う可能性の低い事故ではありますが、保険を使わない、自分の車の修理を自己負担で支払わなければなりません。完全に悪いのはぶつけた相手なのに自分が損をすると言うのは納得がいくものではありません。自動車保険で相手が100%悪い事故の場合、多くのケースで等級に影響がない、もしくはあっても1等級ダウン事故になります。

しかし、当て逃げはなぜか3等級ダウンになってしまいます。私個人としても相手が100%悪い事故なのでせめて1等級ダウンにしてあげてほしいと思いますが、おそらく当て逃げを1等級ダウン事故にしてしまうと保険会社の損害がかなり大きいと言う理由があるのだと思います。

保険を使うケースが少ないと言いましたがそれでも年間それなりの当て逃げ事故があります。また、当て逃げを悪用して保険のお金欲しさに誰かにぶつけてもらい保険を請求すると言う事例も発生します。そのような事情で3等級ダウン事故としていると推測されます。

しかし、完全に被害者が泣き寝入りするのも納得がいきません。そこで私が過去に当て逃げの犯人を見つけた事例をいくつか紹介します。この対応をすることで可能性は低いかもしれませんが何もしないよりも可能性は高まります。

警察を呼ぶ

まずは第一に警察を呼んでください。そこから始まります。警察を呼んで被害事故の報告をすることで相手がぶつけたことを連絡した時にすぐ対応できる状態が作れます。また、目撃者が出てきた時にも事故報告が上がっていることで警察が相手を特定し見つけてくれる可能性もあります。

周囲に停まっている車に傷が付いてないかを見る

スーパーなどで当て逃げにあった場合、ぶつけた人も同じスーパーで買い物をしているかもしれません。自分の傷と同じ高さに新しい傷のついた車がないか探してください。見つけた場合は相手が来るのを待って当て逃げにあった事情を話し、傷が付いている理由を聞いてみてください。

トラブルになりたくなければ先に呼んでいた警察と同行してもらい、疑いのある車両の人と一緒に話し合ってください。

目撃者を探す

近くに車を停めている人や近くに住んでいる人に当て逃げの事情を話し、ぶつけた人がいなかったか確認してください。ナンバーまで解らなくても車種やその地域の人など、多少の情報でも掴めれば見つかる可能性も広がります。

周囲に防犯カメラが設置されていないか確認

スーパーやコンビニエンスストアなどでは駐車場に防犯カメラを設置しているところもあります。警察が来てからでも良いので事情を話して防犯カメラに写っていないか確認をお願いしてください。

自分のドライブレコーダーを見てみる

駐車中に衝撃があると録画するドライブレコーダーもあります。一度録画されたデータを確認してください。

まとめ

今回は当て逃げの被害にあうことを想定して車両保険に入る必要があるのか解説しました。

・当て逃げは車両保険で補償される

・車両保険のうち、フルカバーは当て逃げの補償対象となるが、エコノミーは保険会社により異なる

・当て逃げで車両保険を使う場合は3等級ダウン事故

・当て逃げの被害は少額であることが多く、保険使用に伴う保険料の値上げよりも少ない損害になる場合が多い

・当て逃げの被害にあった時にはまず警察へ連絡。その後加害者を見つけるための行動に移る

以上が今回のまとめになります。

当て逃げの被害者になった場合、契約者も私もやり場のない怒りを感じます。大切にしている自動車を傷つけられたのに加害者が見つからずしぶしぶ自分で修理費用を出す契約者。保険で修理代を補償してあげたいけれども3等級ダウン事故のため保険料の値上げが高く力になれない私。

どちらも悲しい気持ちになります。そしてぶつけた人も多少なりとも罪の意識を持ったまましばらく日常を過ごします。近所の人の車の場合はその人と会うことを恐れて暮らすこともあります。

ご覧になっているあなたには被害にあってほしくないと願うのと同時に少しでも人の車にぶつけてしまった時には逃げずに被害者の方へ連絡をしてください。しっかりと連絡をしてお詫びをすれば大きく揉めることはございません。

当て逃げが減少することを願うのみです。

自動車保険の弁護士費用は不要なのか?~専門家が弁護士費用の必要性を解説~

初めて自動車保険に入る時や自動車保険を見直すときに「弁護士費用ってなんですか?」と質問を受けます。

自動車保険で弁護士を使うというのはあまりピンと来ないかもしれません。

中には「代理店の担当者が弁護士代わりだから大丈夫」

「保険会社が相手と直接交渉するから弁護士なんて必要ないでしょ?」

「保険会社が弁護士使うのに何で私がオプションで入らなければいけないの?」と言う声を聴くことがあります。

しかし、普段から事故の対応を行っている私の経験上、弁護士費用は絶対に付けた方が良いです。

今回は弁護士費用という補償についての説明と付けるべき理由を解説致します。

弁護士費用特約とは

弁護士費用とはあなたが運転中や自動車に伴う事故で「被害事故」に遭った場合に弁護士に交渉を依頼することができるサービスです。

ここでポイントとなるのはあくまでも「被害事故」の場合のみ使うことができるサービスです。たとえば、あなたが信号無視などで相手の車にぶつけてしまった場合は加害事故になるので弁護士費用を使うことはできません。

事故の状況によってはどちらが加害者でどちらが被害者か解らない事故があります。そのような場合、あなた自身は被害者と言う見解があれば弁護士費用を使うことは出来ます。

運転中以外にも使うことができる

保険会社によっては契約している車の運転中以外にも使うことが出来ます。たとえば、あなたが歩行中に車にぶつけられケガを負った場合、相手が無保険や賠償の交渉に応じない。このような時に契約している自動車保険の弁護士費用を使い、相手と交渉をしてもらうことが出来ます。

このように弁護士費用は被害事故において相手と交渉が必要な時に弁護士に依頼することができる補償になります。

弁護士費用が必要な事例

それでは被害事故で弁護士に交渉を依頼する事故とはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
これは私が実際に依頼をした事例ばかりです。

事故の相手が自動車保険に入っていなかった場合

当社の契約者が信号待ちの状態で追突された事故です。追突事故は避けようのない事故と判断されるため、被害者の過失はゼロになります。追突した相手が全部の損害を負います。

相手が自動車保険に入っていれば車の修理代は対物賠償から、怪我の治療は対人賠償から支払われます。しかし、相手が自動車保険に入っていない場合、修理代や治療費などを相手に直接請求しなければなりません。

さらに大変なのは、修理代や治療費などの請求をあなたが契約している保険会社で対応をしてくれません。

なぜかというと保険会社の社員が動くときは自社の保険を使用するときに限るからです。もらい事故相談サービスと言うものは保険会社にありますが、相手に直接連絡をしたり損害金の請求をしたりするわけではありません。

このような時に弁護士費用を使用すると弁護士があなたに代わり相手への連絡や損害金の請求をしてくれます。さらに相手が支払いに応じない場合、裁判まで対応をしてくれます。

私はサービスとして相手との接触をしていますが、代理店として長く働いている私でも対応には苦労します。これを事故に慣れていない方が自力で対応するのはほぼ不可能に近いです。

それを全て弁護士が対応してくれるのは助かります。相手と直接やり取りをしなくて済みますし、相手も弁護士が出てくると驚いてしっかり弁償する場合もあります。

相手の保険会社がケガの治療を止めに入った場合

相手の過失が重い事故でこちらがケガを負った場合、相手の保険会社からケガの補償をしてもらいます。しかし、ケガがまだ治っていないのに相手の保険会社が治療をそろそろやめるように言われるケースがあります。

多くの場合は首のむちうちや腰痛など目に見えない痛みに対してです。大体3ヶ月経過すると相手の保険会社から治療をストップするようにさいそくが来ます。

しかし、なかにはまだ全然治っていない方もいます。場合によっては痛くて会社を休んでいるのに治療をやめるように言われるケースもあります。

これは余分な治療費や賠償金を支払いたくないという保険会社の思惑があります。こう書いてしまうと保険会社が悪者に見えるかもしれませんが(本当に悪者の時も正直ありますが)、保険会社としては本当は治っているのに治療を続ける人が後を絶たず会社の利益を圧迫しているという事情もあります。

専門的な話をしますとケガで治療をする際に相手に対して保険会社は治療費に加えて一回の通院に当たり数千円の賠償金を支払わなければなりません。

被害者は通院回数に応じて賠償金が支払われるのです。そうすると、通院をたくさんすれば賠償金がたくさんもらえると考える人も中には出てきます。

本当はケガをしていない。ケガをしても治ったのに賠償金欲しさに長い期間治療に通う人が増えてしまい、保険業界で問題になったのです。

そういう前提があるので保険会社はむちうちや腰痛の場合、大体3ヶ月通えば治るというデータを基に治療を止めることを言ってくるのです。

しかし、3ヶ月を経過しても治らず本当にケ苦しんでいる方はいます。治療を継続したいのに保険会社からストップをかけられてしまう。そんな時に弁護士を立てることで保険会社に治療延長の交渉してもらえます。

加害者側の保険会社が提示してきた慰謝料に納得が出来ない場合

自動車事故でケガを負った場合に相手から通院回数や入院日数などに応じて被害者に対して慰謝料が支払われます。慰謝料の基準と言うのは原則は自賠責保険と言う車検を通すときに強制的に加入する保険です。この保険は言うならば国の機関が法律に則って運営しているものです。

そのため、あなたが求めている慰謝料と実際に自賠責保険の計算式で出てくる慰謝料には差が出るかもしれません。

また、自営業の場合やケガは大きくないと診断されても日常生活で不便になったなど目に見えない損失を負った時には提示される慰謝料に納得できない場合もあります。

そんな時に弁護士費用を使えば慰謝料の請求を行ってもらえます。弁護士に依頼して慰謝料を請求する大きなメリットは先ほど記載した自賠責基準というものではなく裁判例基準によって慰謝料を提示してもらえることです。

自賠責基準よりも裁判例基準の方が慰謝料が大きくなる可能性は十分あるので依頼するだけでもメリットがあります。裁判例を基準とした場合の慰謝料がいくらになるのか。交通事故の慰謝料が計算できるサイト もあります。

このようなサイトを基に慰謝料が高くなる可能性があれば弁護士に依頼すると良いです。

事故の相手と過失の内容で折り合いが付かない場合

車と車が走行中に起きた衝突事故の時、お互いに過失が発生するケースがあります。

そのような事故の場合、相手側から提示された過失割合に不服な時に弁護士を依頼して過失割合減額の交渉が出来ます。

車同士の事故で大きくもめるのはお互いの主張が食い違う時です。車同士の事故の場合、追突事故やセンターラインオーバー、信号無視以外で相手に全部の過失を負わせる事はできません。

ようはお互い走行中の事故は自分に過失は無いと思っても多くの場合少なからず過失が発生してしまいます。

しかし、事情をより詳しく聞くと確かにぶつかるタイミングやぶつかった車の傷の位置を見ると過失がゼロに出来る可能性のある事故もあります。

当社で対応した事故例として当社が直進、相手が一時停止を無視して衝突したものがあります。

通常、一時不停止による直進同士の事故は優先車2割、一時不停止車8割の過失になります。

しかし、契約者に事故の状況を聞くとぶつかるまで右側から車が来たことが解らなかったと主張されました。

私も言われた状況、契約者の損傷箇所、現場のブレーキの跡や衝撃を受けた後の動きなどを調査しました。

その結果、相手は一度も減速せずに交差点に入り、直進してきた契約者が交差点を通り過ぎるタイミングでぶつけた事がわかりました。

その結果を相手の保険会社に伝えますが通常通りの2対8を変えてくれません。

そこで弁護士費用を使い弁護士と一緒に状況の検証などを行い、契約者は交差点内に入っても気づける状況ではなく回避は不可能という内容をまとめて相手の保険会社に提出しました。

相手の保険会社も弁護士事務所からの報告書に妥当性があると判断して相手の10割の全面過失を認めました。

弁護士を間に入れなければ相手の保険会社は主張を曲げることは無かったと思います。また、こちらが相手の10割過失を求める場合、自分の保険会社は何の対応もしません。

なぜかと言うと保険会社の示談交渉サービスは契約者無過失の場合行わない契約となっています。

当社のような代理店で加入されている場合には代理店がサービスで交渉するケースもありますが、通販型や事故に慣れていない代理店は対応してくれません。

そういった点からも無過失を主張したい時にも弁護士費用は必要不可欠な補償です。

以上の事例からもいくら気を付けて運転しても他の車の状況で交渉が困難な場合もあります。そんな時の弁護士費用があると状況が好転する可能性があります。そういう理由からも弁護士費用は必要な補償と考えられます。

弁護士費用を使うと等級は下がるの?

弁護士費用の説明をすると多くの方から「でも弁護士使うと等級が下がって保険料が上がるんでしょう?」と言われます。

実は、弁護士費用を使うだけでは等級は下がりません。

確かに弁護士を使ってその結果相手の賠償分を保険で支払ったら等級は下がり保険料は上がります。保険使用と等級の変動の内容が解らないようでしたら別のページに詳しくまとめたので見てください。

もし弁護士を使って相手にこちらの保険で支払うものがない場合には等級は下がりません。もちろん弁護士には保険会社から相談費用や報酬を支払ってもらえます。

なので事故で少しでも気になる事があれば弁護士を使う方が良いのです。

弁護士はどのように選べばいいのか?

「弁護士費用の必要性はわかりました。だけど弁護士をどう選べば良いかわからない。私知り合いの弁護士知りませんよ。」

そういう不安が出るかもしれません。

ただし、弁護士を選ぶのはそこまで難しくありません。弁護士を選ぶ方法は大きく分けて3つあります。

1.自分で弁護士を選ぶ

2.保険会社に弁護士を紹介してもらう

3.代理店に弁護士を紹介してもらう

このように、弁護士は比較的自由に選べます。

1.自分で弁護士を選ぶ

知り合いに弁護士がいる場合や地域で評判の弁護士にお願いしたい場合でも弁護士費用は使えます。
当社の契約者にもこの先生が良いというリクエストを受けることがあります。

最近ではインターネットで調べて良い評価の弁護士や法律事務所にお願いしたいというケースも増えてきました。

ただし気を付けて頂きたいのは弁護士費用の報酬は保険会社が決めた報酬額になります。
そのため中には保険会社が提示する報酬額では引き受けられない弁護士もいるのでご注意ください。

2.保険会社に弁護士を紹介してもらう

知り合いや周りに弁護士がいないという場合には保険会社に紹介してもらう事ができます。保険会社から紹介してもらうメリットは自動車事故の対応に明るい弁護士に依頼する事ができる点です。

多くの保険会社は地域の弁護士と提携して事故の対応などを行なっています。そのため事故の経験が豊富である程度の案件であれば問題なく解決まで運んでくれます。

あなたがわざわざネットで調べて探すよりも手間もかからず経験豊富な弁護士に依頼できます。

反対にデメリットは自分にとって合う弁護士が選ばれる訳ではないという点です。相性が合わない恐れがあるという事です。

保険会社の担当者は多くの契約者と事故の対応をしています。事故の対応以外で契約者と接する事が無いので一人一人の契約者の性格は把握できません。そのため弁護士紹介を依頼されたら提携している弁護士を適当に選んで紹介します。

あなた自身に合う合わないはそこでは分からないので実際に弁護士と打ち合わせをして不快な思いや不安な思いを抱くかもしれません。その時に保険会社からせっかく紹介された弁護士なので変えてほしいとはなかなか言えません。

相性が合わないとあなたが思うような方向に事故対応が進まず、悪い結果になる恐れもあります。

合わなければ遠慮なく別の弁護士を依頼するなどの対策も考えてください。

3代理店に弁護士を紹介してもらう

代理店型の保険に入っている場合、弁護士を紹介してもらう方法もあります。

メリットは代理店は契約者の性格や事故の内容を考慮してその事故にぴったりの弁護士を紹介する事ができます。

私もそうですがこのような事故の場合にはこの弁護士、この契約者であればこの弁護士が合うななどと弁護士を依頼した後のことを考えて紹介をします。

契約者、弁護士どちらにも思い入れがあるので代理店としては適当ではなく慎重に弁護士を選んでくれます。

デメリットは通販型の自動車保険に入っていると紹介をする事が出来ない点です。
代理店が出来なくは無いですが契約がない以上、自分の契約者よりも真剣味は落ちます。

通販型に入っていて弁護士を紹介してもらいたい場合は加入している保険会社から弁護士を依頼してください。

弁護士費用のデメリット

弁護士費用を付けるデメリットは無いのか?そういう疑問が浮かぶかもしれません。私は今まで書いたように弁護士費用を付けることをお勧めしますが、デメリットもあると考えています。

デメリットは弁護士費用を使ったとしても、自分の思うように結論が出るとは限らないということです。

よくテレビドラマで「敏腕弁護士」がどんな事案でも勝訴させるというストーリがあります。テレビのイメージがあるので契約者からも「敏腕弁護士を紹介してください」とお願いされることもありますが、これはあくまでもテレビの中でのストーリーです。

自動車事故で相手と争い裁判まで行くケースを何度も経験していますが、弁護士の意見一つで全面勝訴という事はありません。あくまでも集められるだけの証拠を集め、こちらの内容を主張しますが、相手も自分自身の主張を通します。

その結果、裁判所はどちらの主張が正しいか一方的に決めることは無く、和解やお互いの主張の妥協案などを提示します。

たとえば、当社の契約者が裁判まで行った事故の一つとして相手が信号無視をした事例があります。
相手は高齢の方で信号無視をしたという自覚がありません。事故を見ていた目撃者でもいれば状況は変わったかもしれませんが、目撃者もいませんでした。

こちらは当然相手の信号無視で起きた事故なので相手が全過失で全ての損害を支払ってもらうように主張しました。相手は黄色ぐらいで自分は入ったのでこちらの方が赤信号から見切り発車したという主張でした。

これは裁判まで争いましたが、最終的には和解案として相手から8割、こちらが2割の損害負担することになりました。当社の契約者は相手が10割負担するために争いましたので、不服な結果になってしまいました。

これ以外にも過失割合などで裁判までするケースはありますが多くの場合でこちらの主張が全部通るという経験はありません。相手がいる以上裁判所もお互いの主張を吟味して折り合いが付きそうな案を出してきます。

なので、弁護士に依頼すればあなたの主張が通せるとは限らないと思ってください。

まとめ

今回は弁護士費用について解説してきました。弁護士費用を付けると自動車保険の支払いも多くなるので本当に必要なのか疑問に思うかもしれませんが、多少保険料が高くなってもつけることをおすすめします。

おすすめの理由を含め今回書いた内容をまとめます。

・弁護士費用は自動車事故で被害にあった時に相手側との交渉を弁護士に依頼できるサービス

・自分の車に乗っている事故だけではなく歩行中に自動車にひかれるなどの事故にも対応できる

・事故の相手が無保険の場合、弁護士費用が無いと直接交渉する可能性がある

・相手の保険会社との交渉で弁護士に依頼すると賠償金や治療期間の延長などを交渉してくれる

・お互いに過失がある事故で相手と過失割合でもめた場合、弁護士が交渉してくれる

・弁護士費用を使うだけなら等級は下がらない

・どの弁護士に依頼するかは契約者で決めることが出来る

・どの弁護士に依頼して良いか解らない場合は保険会社や代理店に紹介してもらう事も出来る

・弁護士費用のデメリットは自分自身の主張が必ず通るわけではない

以上になります。

自動車保険はいざという時に役に立つ保険です。弁護士費用はいざという時に役に立つ補償なので必ず加入することをおすすめします。

もし、弁護士費用に入りたくても予算オーバーになってしまうという場合には一括見積もりサイトなどで一番安い保険会社を調べて会社を乗り換える方法もあります。

必要な補償を削って支払いをおさえるのではなく、保険会社を乗り換えて支払いをおさえる方がいざという時に役に立つ保険になります。

対物超過修理費用は不要か? 保険のプロが解りやすく解説

対物超過・対物全損修理は必要か

あなたは自動車保険で「対物超過修理費用」もしくは「対物全損時修理差額費用」という言葉を見たことはありますか?

見たことはあったとしてもどのようなサービスなのか解らないかもしれません。

また、もし補償内容が解っていても「対物超過修理費用に入る必要があるの?」、「自分にとって不要なのでは?」と疑問に感じるかもしれません。

しかし、結論から申しますとこの対物超過修理費用は入る必要があります。

「なぜ?」と思うかもしれませんので、今回はこの対物超過修理費用について詳しく解説していきます。

対物超過修理費用とは

まずは対物超過修理費用、もしくは対物全損時修理差額費用の補償内容について説明します。

ソニー損保の説明文の一部を引用します。

「相手車の年式が古い場合、修理費が時価額を超えることがあります。相手車の時価を超える修理費については法律上の損害賠償責任がないため、対物賠償では補償できません。相手方が修理を希望した場合、対物超過修理費用で修理費と時価額の差額にお客様の過失割合を乗じた額(ただし限度額あり)をお支払いします。」

この内容を更に解りやすく説明をしていきます。

対物賠償保険は時価額まで

自動車保険には対物賠償という補償があります。あなたが事故をしたときに相手の車の損害額(修理費など)を補償する保険です。

対物賠償保険について詳しいページがありますのでもっと詳しく知りたい場合にはこちらを参照してください。

多くの方はこの対物賠償を無制限で入っています。なので無制限にしておけば相手にかかった損害額を全額補償してもらえると思うかもしれません。

しかし、対物賠償は原則、時価額までしか補償しません。なぜかというと法律上、相手への賠償は時価額まで補償すれば良いからです。

たとえば相手の修理代が50万円掛かることになりました。しかし、保険会社が計算したところ相手の車の時価額は30万円でした。

対物賠償で支払うのは時価額の30万円になります。差額の20万円は補償されません。なぜなら法律上時価額までの補償となっているためです。

自動車保険は基本、法律上契約者が負担するものを保険でカバーするというものです。そのため法律で決められた賠償以上の物は原則支払うことはできません。

対物超過は時価を上回る修理補償

あなたがもし誰かに追突事故を起こされて車が大きく壊れたとします。そして修理をしてもらおうと思ったのに修理代よりも時価額が下回ったので差額は自腹で支払ってくださいと言われたとします。そう言われて「はい解りました」と素直に回答できないですよね。

「なんで一方的にぶつけられたのにこっちが差額を自腹で払わなきゃならないの!」と怒るかもしれません。

対物賠償 時価額 トラブル 解りやすく説明

差額を自腹で払ってくださいと言われて素直に了解もらうことはまずありません。法律上と言われても納得できない方が普通の心理です。

そこでトラブルを避けるために対物超過修理補償があるのです。

対物超過修理費用 対物全損時修理差額 しくみ 仕組み

このように対物超過修理補償があれば時価額を超えた修理代を補償してくれるのです。

対物超過特約は入った方が良いのか

「対物超過の仕組みはわかった。しかし法律上私が補償すれば良いのは時価額までなら差額の支払いは保険会社が相手に交渉すれば良いんじゃないの?」と疑問に思うかもしれません。対物超過補償は一部の保険会社は自動で付いていますが、それ以外の保険会社は別途契約なのでプラスの出費となります。

私は自動車保険を日々販売しています。以前契約者からこんなことを言われたことがあります。

「保険会社に交渉は任せているんだから差額の支払いは保険会社が交渉するんでしょ?保険会社が交渉をしやすいように対物超過があるとしたらそれを私が保険料として支払うのはおかしい」

簡単に言うと保険会社が交渉をしやすくするためのサービスのような気がするのに、なぜそのサービスを契約者が負担しなければいけないのかと言われたのです。

この意見は理解できます。法律上は時価額まで賠償すれば良いですからね。そこで対物超過特約に入るメリットを紹介します。

対物超過特約のメリット

対物超過修理特約に入る一番のメリットは被害者である相手との交渉をスムーズに終わらせることができるという点です。

先ほども書きましたが、法律上は時価額までと相手に言っても納得してもらえることはまずありません。

そうすると相手はこちらの保険会社だけでなく加害者のあなた自身にも怒りをぶつけてくることがあります。

対物超過は無いために起きたトラブル(実話)

私が実際に経験した対物超過が無いために起きたトラブルを紹介します。

①相手が契約者の自宅に押し掛けてきた

この契約者は対物賠償保険は無制限の補償だったものの対物超過については必要ないと言われていました。

そして追突事故を起こしてしまいました。相手の車両は乗ってから13年経過した軽自動車でした。

修理費は全部で約40万円となりましたが、時価額は13万円でした。対物超過に加入されていないので相手に支払える金額は13万円です。

相手は残りの27万円を自己負担することに納得いかず、最初はこちらの保険会社、及び私に対して何度も詰め寄ってきました。

こちらも気持ちは十分わかるものの法律上も保険契約上も支払いが出来ない点を何度も伝えました。

とうとう納得できない相手はこちらの契約者の自宅に押し掛けました。

「ちゃんとした保険に入っていないおまえが悪い!自分のせいで事故を起こしたんだから残りの27万円をおまえが払え!」と言ってきました。

あわてた契約者は私に連絡を入れてきました。私も契約者宅にあわてて向かい、相手と話をしました。

気持ちは十分わかるものの、法律上加害者が賠償する補償の範囲は時価額までとなっている。相手が当社の契約者に自己負担を強要するのはやってはいけないことと説明をしました。

相手は納得しない様子で何度も詰め寄ってきましたが、こちらは法律上の責任は果たした。これ以上の請求は認められないという主張をし続けました。

結果相手は納得しないもののこれ以上要求されることは諦めました。

しかし、契約者は罪悪感にかられ対物超過の必要性を実感し、翌年からは対物超過をオプションで付けることになりました。

②相手が契約者に免許の減点、罰金を強く求めてきた

この事故も①と同じような状況です。当社の契約者が追突をして相手の修理金額が時価額より下回った形です。

納得いかないと詰め寄る相手に私は①と同じように「法律上は・・・」と切り返していました。

すると数日後に相手から「事故の時に負ったケガがあったから警察の届けを人身扱いに切り替える」と言ってきました。

事故が起きて警察を呼んだ時にはお互いにケガが無かったので「物損扱い」という警察の手続きをしていました。後からケガが出るというのは良くある話ですが、そのまま物損扱いでケガの対応をする事も多いです。

しかし、今回は相手が人身扱いに切り替えると言ってきたのです。物損扱いと人身扱いの違いは加害者に減点、罰金が付くか否かです。

物損扱いでは減点、罰金はありません。しかし、人身扱いは減点、罰金が発生する可能性が高いのです。

そして減点、罰金の内容は被害者のケガの状態(全治〇週間などにより変わる)、被害者が加害者に対して罰則を望むかどうかによって変わります。

今回の事故の場合、相手がこちらの契約者に対して人身扱いに切り替えさせ、なおかつ警察に対して「より重い罰則を付けてください」と言ってきました。

その結果、契約者は減点3、罰金12万円となってしまいました。

もし対物超過に入っていれば相手との交渉はスムーズに済んだ内容でした。対物超過の保険料を節約した代償はあまりにも大きい額になってしまいました。

③相手が過失の交渉に応じなくなった

コンビニの駐車場内でこちらが区画に入ろうとバックをしていた時に相手がバックから出てきたという事故です。

区画からバックで出ようとしてきた相手は「後方をちゃんと見てなかった」と当初は言っていました。

こちらの主張は相手7割、こちら3割で交渉を行うことにしました。

しかし、修理費用が相手の時価額を大きく超えてしまい、対物超過を使わないと足りない状況になってしまいました。

相手はこちらからの修理費用が全額でないことに納得ができず過失の交渉に応じなくなりました。

私有地内の過失は5対5からのスタートという原則を出してきて、これ以上の譲歩は認めないと主張するようになりました。

その結果、裁判まで行うことになり、結論はこちら4割、相手6割になりました。

事故から最終的な結果が出るまで約1年もかかりました。契約者も対物超過の大事さを知ったと言っていました。

3つのエピソードのように対物超過は実際に自分の身にふりかからないとわかりづらい補償です。しかし、一度このように相手が感情的に迫ってくると二度と味わいたくないと口を揃えて言います。

対物超過ではまかなえないトラブル(全損)

対物超過修理補償のデメリットを説明します。対物超過修理補償は全ての対物賠償の問題を解決できる訳ではありません。

それは相手が修理を選択せず廃車を選択した場合です。

たとえば、相手の損害が50万円で保険会社が出した時価が20万円だったとします。相手が修理を選べば差額の30万円は対物超過修理補償で支払うことができます。

しかし、相手が修理ではなく車の買い替えを要望したとします。その場合、相手に支払う金額は時価までの損害額である、20万円しか相手に支払うことはできません。

対物超過修理補償に入っていてもこの金額は一緒です。

このように買い替えの場合も相手が納得しないでこちらに詰め寄ってきます。しかし、この場合、こちら側が主張するのは対物超過修理補償を使えば修理代の全額が出る交渉ができます。修理なら全額支払えるけど、買い替えなら時価額まで。

どちらかを選ぶかは相手の判断です。「全額が出ない買い替えを選んだのはあなたなのだからこれ以上の金額は支払えません」と強く主張することができます。修理も買い替えもどちらも全額支払えない状況よりも相手は感情的にはなりません。こちらに強く言いよることもありません。

対物超過修理補償に入るメリットの方が大きいです。

対物超過が自動で入っている保険会社

対物超過は契約者にとっても保険会社にとっても加入しているとメリットが多い補償です。

そのため対物賠償保険に加入するとオプションではなく自動で付いてくる保険会社もあります。

以下の保険会社が対物超過を自動で付けている会社になります。

・損保ジャパン日本興亜

・東京海上日動

・三井住友海上

・あいおいニッセイ同和

・ソニー損保

・セコム損保

特約(オプション)で入れる保険会社

反対に契約者がオプションで選ばないと入れない保険会社はこちらになります。

・SBI損保

・アクサダイレクト

・三井ダイレクト

・セゾン自動車火災(おとなの自動車保険)

・イーデザイン損保

・チューリッヒ保険

特約でつける保険会社に加入する時にはしっかりと対物超過を特約でつけたか確認をする必要があります。

以上のように対物超過を自動で付いてくる会社とオプションで付ける会社に分かれています。

もしあなたが対物超過を必要と考えるのであれば自動でついてくる保険会社の中から値段と補償のバランスが良い会社を優先候補にした方が良いかもしれません。

まとめ

今回は対物超過修理についてまとめました。対物超過修理についてポイントは以下のような事になります。

・保険では相手の損害(対物賠償)を時価額が上限になりそれ以上は補償されない

・対物超過修理は相手の損害(修理費)が時価額を超えた時に差額を支払う補償

・対物超過修理に入る目的は事故の相手とのトラブルを回避するため

・保険会社だけでなく契約者もトラブルに巻き込まれることもある

・対物超過修理は自動でついている保険会社と特約としてオプションでつける保険会社に分かれている

以上になります。

この補償は事故の相手とのトラブルを回避するためにも必要な補償になります。

2016年頃まではこの補償はほとんどの保険会社がオプションの補償としていました。しかし、それ以降は対物賠償保険に加入する契約者には自動で付ける保険会社も増えてきています。

それだけこの対物超過の補償が必要不可欠になっているという証拠です。

一括見積もりサイトで各保険会社の保険料が出た時にこの対物超過が自動で付いている保険会社と見積もりに対物超過が含まれていない会社があるかもしれません。

一見すると高いと感じる保険会社の方に、実は対物超過が自動で付いている可能性もあります。

そのため一番安いと感じた保険会社で再度補償内容を見て自動で付いていない場合には対物超過を付けた保険料で再度見積もりをし直すことをおすすめいたします。

【初めての方必見】自動車保険を新規で入るうえで知っておくべき選び方

「初めて保険に入るけどできる事ならある安くすませたい」

「通販型自動車保険は安いと聞いたことあるけど新規で入っても大丈夫なのか?」

「保険のことは良くわかってないから代理店で入るのが良いと思うけど、高そう。それに一度話を聞いたら入らなきゃいけない雰囲気に習うだから簡単に聞けない」

あなたは今自動車保険に初めて入るにあたってこんな不安を感じてませんか?

車の購入をきっかけに初めて保険に入るのであればなおさら保険にお金をかけたくないですよね。安く保険に入りたいけど通販型自動車保険のことも分からないので不安になる気持ちはわかります。

自動車保険のことは知らないからプロである代理店に任せようかなという気持ちもあるかもしれません。

しかし、代理店型はインターネットで加入できる通販型と異なり保険料は高いです。新規契約であれば数万円の差になってしまいます。

車を維持するために高い保険料を支払った結果、生活が苦しくなり普段の食費をおさえたり、遊びに行くのを控える人もいます。あげくの果てに車を買った本来の目的であるドライブをひかえる人も出てきます。

そうなると車を買った意味がなくなってしまいます。それではあまりにも寂しいですよね。

しかし、通販型や代理店型の特徴や補償内容、自動車保険制度の特徴を理解することで、安く、さらに自分でも納得できる形で自動車保険を選ぶことができるようになります。

今回は新規の自動車保険に入るための選び方を徹底解説して行きます。

自動車保険を新規で選ぶうえで大事な保険の全体像を解説

代理店にしても通販型にしても、あなたが自動車保険を選ぶうえでしっかり理解しなければならないポイントがあります。ポイントを理解することで変な補償をすすめられても断ることが出来ます。

とくに通販型自動車保険に入りたいと思っているのであればより理解を深めてください。通販型の場合、このポイントを理解しないとやみくもに補償内容を決めてしまい、その結果事故が起きたときに補償が効かないということになるかもしれません。

例えば免責という言葉が出てきたときに良く解らず5万円と選択したとします。免責とは自己負担と同じ意味なので、事故の時にあなたが5万円は自腹を切る事になるのです。このように言葉を理解しないで何となく補償内容を決めてしまうと予想外の自己負担にあうことが出てしまうのです。

知っておくべき自動車保険のポイント

全体像の解説をしていきます。自動車保険を理解するうえで以下のポイントを理解してください。

・年齢条件&運転者条件

・使用目的&走行距離

・補償内容

・特約(オプション)内容

・自動付帯サービス(ロードサービス等)

・等級制度

自動車保険はこの6つのポイントがあります。すべてを細かく理解しようとすると混乱しますので、「自動車保険は6つのポイントがあってこれが全体像なんだな」とイメージできれば大丈夫です。

年齢条件・使用目的などについて

それでは具体的に6つのポイントをそれぞれ解説していきます。まず年齢条件です。

年齢条件とは保険会社が設定した年齢に合わせて保険料を変える条件です。自動車事故の統計を取ると若い人ほど事故の件数、損害額が多いという結果があります。

年齢条件は保険会社によって異なりますが、18歳から運転できる全年齢、21歳以上、26歳以上、30歳以上、35歳以上などがあります。35歳が一番安い計算になります。年齢条件はあなたの年齢に合わせて設定する必要があります。

年齢条件にあてはまらない状態で運転すると保険がききません。例えばあなたが25歳なのに26歳以上に年齢条件をしてしまうと事故が起きた時は保険がききません。詳しい内容をまとめたものがありますのでご覧になってください。

→年齢条件を詳しく知る

運転者条件とは

運転者条件とは自動車保険の使える人(運転者)を決める条件です。あなただけが契約した車に運転するのであれば、本人限定とすればいいのです。運転者限定は保険会社により条件が異なりますが、「本人限定」、「本人・配偶者限定」「家族限定」「運転者限定なし」という分け方になります。

運転できる人を多くすると当然事故の起きる可能性があるので保険料は高くなります。つまり、本人限定が一番保険料が安く、運転者限定なしが一番高い保険料になります。運転者限定についてさらに詳しく知りたいようでしたらこちらのページを参考にしてください。

→運転者限定を詳しく知る

使用目的とは

使用目的とはあなたがどのように車を利用するかによって保険料が変わる仕組みです。車を運転する回数が多い人ほど事故にあう可能性が高いです。休みの日に利用する方は日常、レジャー使用を選択します。

通勤や通学で使用する方は通勤・通学使用。仕事で使用する方は業務使用となります。日常・レジャー使用が一番保険料が安く、業務使用が一番高くなります。詳しい使用目的の説明は別のページに書いてあるので参考にしたください。

使用目的を詳しく知る

走行距離とは

走行距離によって保険料を変える会社もあります。通販型は走行距離を採用している会社が多いです。先ほどの使用目的と同じ理論です。

走行距離が長い人ほど事故にあう可能性が高いため、走行距離の長い人は保険料が高くなります。詳しい説明を別ページでまとめてますので詳しい事を知りたい時は見てください。

→走行距離について詳しく知る

以上が6つのポイントの2つである、年齢条件と使用目的(走行距離)の説明になります。これから新規で保険に入る場合、1つずつ細かい説明をしてしまうとよりわかりづらくなるのでおおまかな説明をしました。

「保険を入る時に年齢条件と使用目的があってそれによって保険料が変わるんだな」とイメージしてもらえれば大丈夫です。

新規の契約で重要な補償内容の理解

先ほどまでは新規で保険に入るときにイメージしにくい年齢条件や使用目的などの話をしました。「年齢条件や使用目的によって保険料が変わるんだあ」と知ってもらうための内容でした。そしていよいよ自動車保険のメインの部分である補償内容を説明します。

何度も言うのでくどいと思うかもしれませんが、通販型に入ろうと思った時に補償内容を理解していないと正確な見積もりを作ることが出来ません。また、適当に補償内容の金額を入力してその内容で契約をしてしまうと取り返しのつかないことになります。

よくあるのは保険で補償されると思っていたら補償されないケースです。その中でも車両保険というあなたの車を補償するサービスに入ったつもりが入って無くて保険がおりないという話はよくあります。

そうならないためにも補償内容の基本を理解して保険選びをしてください。

自動車保険の補償内容は大きく分けて4つの補償になります。

・対人賠償

・対物賠償

・人身傷害(搭乗者傷害)

・車両保険

順番に説明をしていきます。

・対人賠償とは

対人賠償とは事故で相手にケガを負わせてしまった場合の治療費や賠償金などを補償します。良く「人を車ではねることなんてしないですよ」と言う方がいます。これは大きな勘違いで対人賠償は歩行者だけでなく、追突事故で相手の車に乗っていた人でケガを負わせても対人賠償を使います。

また、あなたが全面に悪い事故だけではなく、お互いに過失が出るような事故でも、相手の方が過失が重い事故でも相手にケガを負わせたら対人賠償を使用することになります。

対人賠償は最低金額5000万円から設定できます。しかし、私は無制限にしなければ入る意味がないと思っています。

なぜ無制限にする必要があるかという説明についてはより詳しいページがありますのでそちらを参考にしてください。

→対人賠償を詳しく知る

・対物賠償とは

対物賠償とはぶつけてしまったものに対する修理代などを支払う補償です。多くの場合、相手の車の修理、損害を賠償します。相手の車以外にも電柱やガードレールの損害などもあります。店舗にぶつけた場合は修理代やその間営業出来ない時は休業費用を補償します。

対物賠償の補償額は無制限にしている方も多いですがまだまだ500万円や1000万円に設定している方もいます。

私は無制限をお勧めします。どんな事故が起きるかは誰もわからないですし、相手の賠償がどのぐらいになるかわからないなかで保険料を安くしたいために補償額を安くするのは危険だからです。

それ以外も無制限を勧める理由はありますが、長くなるので無制限に納得できない場合は詳しい内容を書いた記事があるので参考にしてください。

→対物賠償について詳しく知る

・人身傷害(搭乗者傷害)とは

人身傷害はあなた自身やあなたの車に一緒になっていた人がけがを負った場合に支払われる補償です。一番わかりやすい例は電柱などにぶつかるような自損事故でケガをした場合です。自損事故以外でも車と車の事故で相手が無保険の場合も人身傷害が補償してくれます。

似たような補償で搭乗者傷害補償もあります。同じくあなた自身や同乗している人のケガを補償します。人身傷害との違いは支払い方法です。搭乗者傷害はケガの症状によって定額のお金を支払われたり通院回数や入院日数によって支払われたりします。

人身傷害が治療費をあなたに代わって支払うのに対して搭乗者傷害は治療が終了した後支払います。その間はケガをした人が病院に治療費を支払わなければなりません。全ての治療が終わらないと支払えないのはデメリットが大きいです。

そのため人身傷害の方が今は主流の補償になってます。搭乗者傷害だけに入る人は少ないです。
人身傷害の補償額は3000万円から入ることが出来ます。私は5000万円以上をおすすめしてます。理由については詳しく解説したページがあるので参考にしてください。

→人身傷害について詳しく知る

・車両保険とは

車両保険は事故であなたの車に損傷が出た場合、修理費用を補償します。自然劣化による故障などは補償されません。

車両保険は二つの補償プランがあります。電柱などに自らぶつかった、自損事故を含めるプランと含めないプランです。

自損事故を含めないプランをエコノミープランや車対車Aプランなどと呼びます。車両保険を入れるのと入れないのではあなたの保険料が大きく変わります。車両保険について詳しく知りたい場合には下のページを参考にしてください。

→車両保険について詳しく知る

以上が自動車保険の補償内容になります。補償内容を設定する時にある程度の知識が必要になります。

しかし、あまり細かく知らなくても大丈夫です。「補償内容について良く解らない」「自分がどのぐらい補償を設定して良いか迷う」と言う場合にはおすすめの補償内容をまとめたページがありますので、
そちらを参考にして見積もりを依頼してみてください。

→自動車保険の仕組みついて詳しく知る

特約、自動サービスについて

特約とは基本の自動車保険の補償とは別に追加で付けることが出来る補償です。自動車で言うとオプションのようなものです。基本の補償があれば自動車保険として最低限の安心は得られます。特約を付けることは保険料が上がることになるので付けたくない方もいるかもしれません。

しかし、日々事故対応を行う私としては必ず入った方が安心と思える特約もあります。詳しい特約の内容は後ほど説明します。

自動サービスとは自動車保険に入ると自動(無料)で付いてくるサービスです。特約も自動サービスも全部の保険会社が用意しているサービスもあれば、数社しか取り扱っていないサービスもあります。どのような補償があるのかを知ることで保険会社を選ぶ判断材料にもなります。

自動で付いてくる補償サ―ビス比較表

それでは具体的に各保険会社の自動で付いてくるサービスを比較してみましょう。一つ一つの補償内容は聞きなれないものばかりです。

これを全て説明するとかえって混乱をするので、各サービスの項目にリンクを貼りました。気になる補償内容があればリンクをクリックして説明文をご覧になってください。

損保ジャパン日本興亜 東京海上日動 三井住友海上 あいおいニッセイ同和 SBI損保 ソニー損保 アクサダイレクト 三井ダイレクト損保 セゾン自動車火災 イーデザイン損保 チューリッヒ保険会社 セコム損保
対物差額修理費用補償特約 〇 〇 〇 〇 ×(オプション) 〇 ×(オプション) ×(オプション) ×(オプション) ×(オプション) ×(オプション) 〇
他車運転特約 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
自動更新サービス特約 〇 〇 ×(オプション) ×(オプション) ×(オプション) 〇 〇 × × × 〇 ×
無過失事故の特則 〇 〇 〇 〇 × × × × 〇 〇 × 〇
車両全損時修理諸費用 〇 〇 〇 〇 ×(オプション) 〇 〇 〇 〇 〇 〇 ×(オプション)
ロードサービス 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇

※見えない部分は横にスライドしてください。

一括見積もりサイトなどで見積もりを取っても解りづらいのが各社の自動で付いているサービス(自動付帯サービス)などです。

自動付帯サービスは軽く見られがちですが、人によっては優先の高いサービスもあります。たとえば、自動更新サービスです。これは、契約者が保険更新の連絡をしなくても自動で更新をするサービスになります。

代理店型の保険会社の場合には代理店から更新の確認について連絡がひんぱんに来ますが、通販型についてはメールとはがきぐらいしか来ません。メールを定期的にチェックをしない方やポストに大量に不要なはがきやDMが来る方は見落とす可能性があります。

そうすると更新に気が付かない方も出てきます。その場合、うっかり更新の連絡をしない為に保険が切れたり、せっかく積み重ねた割引の等級を失ってしまう可能性があります。

このような恐れがある場合には自動更新サービスのある保険会社を優先的に検討した方が良いかもしれません。

もう一つは、無過失事故の特則です。これは追突事故などで相手に100%過失のある事故でトラブルになった時に役に立ちます。たとえば、追突してきた相手が保険に入っていない場合です。通常であれば相手の保険会社からすぐに修理代を支払ってもらいますが、無保険なので相手が全額自腹で払う形になります。

しかし、なかには自腹では払えないと言ってくる場合もあります。そんな時に自分が入っている車両保険から自分の修理代を払う方法があります。

その時に「無過失事故の特則」があれば通常、車両保険を使うと保険料が高くなってしまうのを回避することが出来ます。後述する等級制度で車両保険を使うと3等級下がるのが、この特則があると等級が下がらずに済みます。

あなたが車両保険に入る予定であれば、これが自動で付いているのと付いていないのでは大きな違いになります。

また、対物差額費用特約も相手とのトラブルを回避するために必要な補償です。しかし、自動で付いている会社とオプションで別料金の会社がありますので、保険料を比較するときには注意が必要です。

このように自分にとってどの補償が必要なのかを理解し、その補償が付けられる保険会社を候補にすることも出来るのです。

各保険会社の特約(オプション)を比較してみる

続いて基本補償以外の追加で付けることが出来る特約(オプション)の内容を比較していきます。

損保ジャパン日本興亜 東京海上日動 三井住友海上 あいおいニッセイ同和 SBI損保 ソニー損保 アクサダイレクト 三井ダイレクト損保 セゾン自動車火災 イーデザイン損保 チューリッヒ保険会社 セコム損保
入通院一時費用 〇(有料) 〇(10万円は自動)但し倍額は有料 〇(10万円は自動)但し倍額は有料 〇(有料) 〇(搭乗者傷害) 〇(搭乗者傷害) 〇(搭乗者傷害) 〇(搭乗者傷害) 〇(搭乗者傷害) 〇(搭乗者傷害) 〇(搭乗者傷害) 〇(搭乗者傷害)
車両新価特約 〇 〇 〇 〇 × 〇 × × 〇 〇 × ×
地震・噴火・津波車両全損時一時金特約 〇 〇 〇 〇 × × 〇 × × × 〇 ×
代車費用特約(30日型) 〇 〇(15日型は無料) 〇(無料自動付帯) 〇 〇 〇 △盗難時のみ 〇 〇 〇 〇 〇
ドライブレコーダー特約 〇 〇 〇 〇 × × × × × × × ×
ファミリーバイク特約 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
弁護士費用特約(日常生活&自動車事故型) 〇 × 〇 〇 × 〇 〇 × × × × ×
弁護士費用特約(自動車事故限定型) 〇 〇 〇 〇 〇 〇 × 〇 〇 〇 〇 〇
個人賠償責任特約 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
車両積載動産特約 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇
全損時諸費用倍額払特約 〇 〇 〇 〇 × × × × × × × ×

※見えない部分は横にスライドしてください。

自動付帯サービスでもそうですが、代理店型では付けられるサービスが通販型では付けられないサービスがあります。必要の無い方にはどちらでも良いのかもしれませんが、あなたがこれから車をどう乗るかによっては必要になる特約もあるかもしれません。

私がおすすめする特約は「車両新価特約」です。もしあなたが新車、もしくは新車から3年落ちぐらいの車を購入されるのであれば付けることをおすすめします。

この補償は新車を購入後数年間で事故が起きた場合に新車購入価格の半分以上の損害に達すると新車相当額を支払うサービスです。たとえば、200万円で購入した車が事故でこわれて110万円の修理代がかかることになりました。

通常は110万円を修理会社に保険会社から支払ってもらいます。しかし、車両新価特約があれば、200万円の新車相当額をあなたに支払われます。あなたはそのお金でまた同じ車の新車を購入することが出来るのです。

せっかく新しい車を買ったのに、買ってすぐに大きな修理をするのは嫌だという方もいます。そんな時にこの特約は非常に役に立ちます。

通販型で車両新価特約が付けられるのはセゾン、イーデザイン、ソニーの3社だけです。このように欲しい特約を付けられる会社かどうかで保険会社を判断する方法もあります。

それぞれの特約を見てどの特約が必要かをかんがえ、その特約を付けられる保険会社を優先的に見てみるのもおすすめです。

等級制度について

自動車保険は契約者それぞれの加入状況に応じて等級と言う割引制度を採用しています。なぜ契約者それぞれ異なるかと言うと保険に入っている年数や保険を使用する頻度が人それぞれ異なるからです。

たとえば、自動車保険に10年入っていて一度も保険を使っていない方がいます。もう一方で今年初めて自動車保険に入る方がいます。初めて入った方はまだ運転に慣れていなくて事故を起こしてしまいました。

その結果、自分の車の修理代と相手の車の修理代、相手にケガも負わせたのでケガの治療費と賠償金を自動車保険から支払ってもらいました。保険会社は合計で300万円保険金として掛かりました。

10年間一度も保険を使わない方と一年目ですでに300万円の保険を使った方が同じ保険料金だったら不公平ですよね。

事故が無いのは良い事ですが、10年間保険会社に料金を払い続けて何の見返りもない方と、1年目で大きな恩恵を受けた方が同じ保険料は納得がいきません。

このような不公平をなくすために等級制度と言うのがあります。等級制度はまったくの新規契約の場合、6(S)等級からスタートします。そして毎年保険を使わなければ1等級ずつ上がります。等級が上がれば上がるほど保険料の割引が上がっていきます。

最大は20等級の63%まで割引率が上がります。反対に事故で保険を使うと翌年の等級は3等級下がります。また、3等級下がったうえに割引率も事故有り料率と言う通常よりも割高な保険料金になります。

等級について詳しいページがありますので、より詳しく知りたい場合にはこちらをご参照ください。

→等級制度について詳しく知る

等級は同居の家族観で引き継ぐことも出来ます。割引率によって保険料は大きく変わります。家族全体の保険料を安くする方法などもあるので、詳しく知るとお得な面があります。

割引率によって保険料が大きく変わるという事を覚えてください。

保険会社について

あなたが初めて自動車保険に加入するときに通販型と代理店型のどちらを選べば良いのか迷うかもしれません。なぜ迷うのかというと、通販型、代理店型共にメリット・デメリットがあるからです。

通販型が値段も安く、サービスも良いという事であれば迷うことなんてないですよね。どちらを選ぶかで重要なのは自分にとってどちらがメリットが多いのかを見極めることです。

これから通販型と代理店型のメリットとデメリットを解説しますので、あなたにとって通販型、代理店型のどちらがメリットが多いのか比較してください。

通販型のメリット

通販型というのは保険会社が直接希望者と自動車保険を契約する形を取ります。契約方法は保険会社の社員が直接訪問する形ではなくインターネットや電話で契約の申し込みをします。通販型のメリットは何と言っても保険料の安さです。代理店型と比べると保険料は数万円の差にもなることがあります。

下の表はヴィッツの2015年モデルで保険料を試算したものです。細かい条件などは省略しますが、通販型3社(セコム・SBI・イーデザイン)と代理店型1社(東京海上日動)の保険料になります。

トヨタ ヴィッツ 自動車保険 比較

会社名 セコム損保 SBI損保 イーデザイン損保 東京海上日動
年間保険料 56,030円 53,690円 53,160円 90,220円

イーデザイン損保と東京海上の保険料の差は約37,000円の開きがあります。先ほどの自動付帯やオプションの比較図で解ったと思いますが、通販型の保険が代理店型の補償内容をカバーしているわけではありません。そのため、通販型では補償されないものが代理店型では補償されるものもあります。

しかし、基本的な補償内容である、対人賠償、対物賠償、人身障害、車両保険に差はありません。どうしてもこの補償が必要と言うものが無ければ通販型の方が保険料が安くすみます。

通販型のデメリット

通販型のデメリットは契約者へのフォローやサービスが薄いという点です。契約者との接点はあるものの、親身になって対応やサービスを提供しているかと言うと「薄い」内容になっています。

例えば、契約内容の変更をする時には契約者が保険会社のホームページから手続きをする必要があります。その他にも補償内容を詳しく知りたい、自分にとってどのような補償内容が適正なのか相談したいと思ってもコールセンターに連絡、もしくはチャットでやり取りする形になります。

専任の担当者が付くわけではないので一般的な説明をコールセンターやチャットで返答するのみです。

また、事故の対応についても専任担当者はいますが、親身に対応してくれるとは言えません。こちらの要望を相手や相手の保険会社に真剣に交渉してくれるかと言うとそこまでは期待できません。なかには親身にしてくれる担当者もいるかもしれませんが、期待しない方が気持ちとしては楽です。

代理店型のメリット

代理店型と言うのは大手の損害保険会社、東京海上や三井住友などの保険商品を保険代理店が販売をする契約になります。通販型と異なり保険会社の社員と契約をするのではなく販売を委託された代理店が契約を行います。

代理店型のメリットは保険に精通したプロから直接サービスを受けることができる点です。あなたが自動車保険に入りたいと相談したら、家族全体の自動車保険の内容から調べ、最適なプランを最適な価格になるように提案をしてくれます。

また、契約内容の変更や補償内容の質問についても代理店と直接連絡を取り対応をしてくれます。代理店担当者は契約者へのサービスを第一に考えているので少しでも困ったことや相談があれば親身に対応します。

また、事故が起きた時の相手との交渉や契約者の不安な点などを丁寧に対応をします。相手の交渉については契約者に不利益にならないように真剣に交渉を行います。代理店は契約者にとってコンシェルジュやコンサルタントのような立場です。専門知識と経験に基づき対応を行ってくれます。

代理店型のデメリット

代理店型のデメリットは保険料の高さです。先ほどの表のとおり代理店型と比べると保険料は数万円の差になります。

メリットで書いたように代理店は顧客に寄り添ったサービスを提供します。通販型との差額をコンサルタント代やサービス料と捉えて高いか安いかを判断するのも良い方法です。

また、もう一つのデメリットとして代理店、代理店社員によりサービスにばらつきがあります。
素晴らしい知識、経験を持ち、顧客のために労力を惜しまない担当者もいれば、自動車保険を片手間で扱うようなところもあります。

代理店ならどこでも良いというわけではないのでその点は契約者自身が探して見つける必要も出てきます。おすすめは周りで自動車保険に入っている人に良い代理店を紹介してもらうことです。

自分の入っている保険が良いと思う方は喜んで紹介してくれます。いまいちと感じている方は逆にお勧めしないとはっきり言ってくれます。こうやって選ぶと良いです。

もし周りに保険に入っている方がいないようでしたら、地域の保険会社に代理店を紹介してもらうという方法もあります。

スマホなどであなたの地域にある保険会社の支社の連絡先は調べられるので、そこに直接連絡をして保険を検討している旨を伝え、良い代理店を紹介してほしいと要望を言ってください。保険会社は変な代理店を選ぶと後で問題になると嫌なので本当に地域の良い代理店を紹介してくれます。

通販型と代理店型のどちらにした方が良いのか?

通販型と代理店型のどちらを選べばいいかという質問を多く頂きます。しかし、それぞれメリットとデメリットがある以上、どちらの方が良いというのは回答できません。人それぞれ異なるというのが結論です。

その中で、あなたがどちらを選べばいいかの判断として、通販型と代理店型の良い点を並べてみて、どちらが自分にとって無いと困るかで見定めるのが良いです。

例えば、通販型の最大の魅力である保険料の安さと、代理店の魅力であるきめ細かい対応。このどちらを失うのが怖いか、後悔するかを選んでみます。次に補償内容です。代理店型の方であなたにとってこれを失うのは怖い、入りたいという補償内容は無いか見てください。

特に無いようでしたら通販型でも良いという事になります。

このようにメリットについてはどちらのメリットを失ったら自分が困るかを選ぶ。デメリットについては、どちらのデメリットの方が我慢できるか。気にならないか。これを意識して見定めることをおすすめします。

まとめ

今回は初めて自動車保険について詳しく調べているあなたに保険の選び方について解説しました。今回書いた内容をまとめますと以下のことを理解すれば自動車保険選びには困りません。

・年齢条件、運転する目的などを考える

・自動車保険の補償内容を覚える

・各保険会社の自動で付くサービスやオプション内容を理解する

・通販型と代理店型のメリット・デメリットを比較する。

・通販型と代理店型を選ぶ基準は無いとあなたが困る方を選ぶ

以上になります。

通販型も代理店型もとりあえず見積もりを一度取ったうえでじっくり検討したいと考えるようでしたら、一括見積もりサイトで各保険会社の見積もりを取り揃えて検討することをおすすめします。

保険料を見比べたうえでどの保険会社が魅力的なのかを判断する方が、保険会社を決めてから見積もり取るよりも楽になります。

自動車保険は最初解りづらい点もあります。しかし、最初のうちにしっかり調べておくと補償内容が良く解るようになり、自分にとってどの補償が大事なのかを判断することが出来るようになります。

その結果、無駄な補償にお金を懸けることもなくなり、補償内容が不足して自腹を切るようなこともなくなります。

自動車保険の内容と仕組みをまずは理解をして、自分にとって一番良い補償内容、保険会社を見比べるようにしてください。

うっかり自動車保険の更新をしないままだった!〜更新しなかった時にやるべき手続きの方法〜

自動車保険 更新しない

「自動車保険の満期日をすっかり忘れていて更新をうっかりしなかった!」

私の周りで自動車保険の更新をうっかり更新しなかった人がけっこういます。

代理店型の自動車保険に入っている人は代理店から更新の連絡が来るかもしれませんが、通販型はメールやはがきだけです。

確かに自分が何月ごろ自動車保険に入ったかしっかり覚えている人はほとんどいないと思います。様々な理由でうっかり更新をしなかったとしてもそのまま自動車保険に入らないのはとてもリスクです。

なぜなら自動車保険に入らず事故を起こしてしまうと自己破産するぐらいの出費が出る可能性があるからです。

今回はうっかり更新しないあなたに対して確認してほしい点や再度自動車保険に入る手続きの点を説明していきます。

更新手続をしないと契約が切れてしまうのか?

更新の連絡をしなくても契約が切れていない場合もあります。保険会社の中には自動更新サービスを付けているところもあります。

契約をしていた会社に確認をせずに「更新の連絡をしていないからもう契約が無い」と思っているようでしたらこれから説明する内容をみてください。

自動的に車の保険に更新サービスが付いている場合

あなたが代理店型の自動車保険に入っていたのであれば更新の連絡をしなくても自動更新になっている可能性があります。

自動更新がオプションではなく自動で付いている保険会社は以下の会社になります。

自動更新が自動で付いてくる保険会社

・東京海上日動

・損害保険ジャパン日本興亜

・あいおいニッセイ同和損保

・チューリッヒ保険

・アクサ損保

オプションで自動更新サービスを提供している会社

先ほどは自動車保険に入れば自動更新サービスが原則ついている会社を書きました。先ほどの会社以外にも自動更新サービスを提供している会社はあります。

しかし、自動で付いているのではなく契約時に自動更新サービスを付けるかどうか選択できる会社もあります。オプションとして付ける形です。その会社が以下の会社になります。

オプション(特約)で自動更新を付けることができる保険会社

・三井住友海上

・ソニー損保

自動更新にならない保険会社はどこか?

自動更新のサービスがある会社を書きましたが、あなたが入っている保険会社が含まれていないかもしれません。自動更新が付いていない会社も当然あります。主な保険会社で自動更新サービスが付いてない会社もまとめてみました。

自動更新サービスを導入していない保険会社

・AIG損保

・日新火災海上

・楽天損保(旧朝日火災海上)

・三井ダイレクト

・SBI損保

・イーデザイン損保

・セゾン自動車火災(おとなの自動車保険)

このまま更新をしないで車に乗っても大丈夫?

「うっかり保険の更新をし忘れちゃったけど、今まで事故も起こしてないしお金ももったいないからしばらく保険に入らなくてもいいや」

更新しないとこのような考えになるかもしれません。今まで事故を起こしてないから車の保険を重要と考えず、更新をすることを忘れてしまうのです。

しかし、更新しなかったからと言って保険に入らないという考えはやめた方がいいです。

私は自動車保険を取り扱うプロです。私は今まで数多くの無保険事故を取り扱って来ました。ほとんどが無保険者に取って地獄のような日々になる状況が多いです。

私が経験した中で一番お金がかかった無保険者の例を出します。これは当社の契約者から相談を受けて欲しいと依頼をされた案件です。

【相談者】

・30代前半の男性

 

・通販型自動車保険に入っていた

 

・2年前に引っ越しをしていたが住所変更を保険会社に知らせていなかった

 

・更新の案内が引っ越し先の住所に送られなくなった

 

・案内が来なかったので更新の時期が来たのを忘れてそのまま放置していた

 

・そんな中、追突事故を起こしてしまう

 

・引っ越しをしたなどの事情を更新しなかった保険会社に説明したが、
終了となった事実は変わらず

 

・その結果、無保険(全額自己負担)で相手の補償をすることに

 

・相手(被害者)は無保険と知ると態度を変え、修理費などを払えるのか毎日のように連絡を入れる

 

・その後、相手は自分の保険に付いていた弁護士費用特約を利用して弁護士を代理に立てる

 

・相談者の自己負担額は相手の修理費120万円
相手のケガの治療費、賠償金30万円、自身の車ので修理代80万円

合計230万円を自己負担する結果に

 

・相談者は自分の貯金では足りず、親からもお金を借りて相手と自分の損害を支払う事になった

このように更新をしないで保険料が高くなるからと言って保険に入らなかった結果、数百万円の自己負担を支払うこともあるんです。

これは極端な例と思うかもしれませんが、私が実際に対応した事例です。そして、更新をしない方や他の事情で自動車保険を解約して無保険で車に乗る人の事故は一年を通して数件見ています。それだけ無保険による事故は起こる可能性があるんです。

保険料が高いと感じるのであれば一括見積もりサイトなどで一番安い保険会社を調べてでも入ってください。

専門家からの意見としては補償内容やあなたに一番要望に合う保険会社を選ぶのをお勧めしたいですが、保険に入るのが無駄と感じる方にはまず一番安い保険に入って欲しいです。保険に入れば数百万円の自己負担をしなくて済むからです。

更新しない人が自動車保険に入りなおす方法

今までの内容を見て自動更新ではなく満期を過ぎてしまった方が入り直すためにはいくつかの方法に分かれます。

・今までの等級(割引率)を引き続き利用できる方

・新規契約から入る方

・5等級以下の等級を引き継ぐ方

・事故で保険を使用した方

自動車保険にはあなたの保険料を決める等級制度というものが使われています。詳しい内容はこちらのページを参考にしてください。

それでは順番に説明をしていきます。

今までの等級(割引率)を引き続き利用できる方

自動車保険の等級は契約終了後7日以内であれば引き続き同じ等級を使うことができます。

もし契約満期日が7日以内であれば今までと同じ等級が使えるので今すぐ保険会社に連絡をして更新の手続きをしてください。

新規契約から入る方

更新をしないで7日間以上経ってしまった場合は残念ながら新規契約となります。

新規契約の場合6(S)等級からのスタートになります。

6(S)等級の割引率は4%の割増となります。7等級に上がると30%の割引になるので一年経過すると一気に安くなります。それだけ新規の6(S)等級は高い保険料になることを知ってください。

しかし、もしあなたが一者に住んでいる家族で別の自動車保険に入っていてその保険が11等級以上であれば「セカンドカー割引を使うことが出来ます。7(S)等級になると割引率は34%です。6(S)等級よりも38%も安くなります。具体的な手続き方法はこのページに書いてありますので参考にしてください。

新規契約になり、今までの等級が引き継げず保険料が高くなるかもしれません。

それが原因で無保険のまま運転する人もいます。しかしその結果事故を起こしてしまったら数十万、数百万円のお金を自腹で支払わなければなりません。

少しでも新規契約で安く入る方法は通販型の自動車保険に契約することです。

一括見積もりサイトで一番安い保険会社を調べてまずは自動車保険に入ってください。

5等級以下の等級を引き継ぐ方

先ほどは契約満期から7日以内で更新手続をしないと等級がなくなるという話をしました。

しかし、あなたの更新前の等級が5等級以下の場合は異なります。5等級以下の方は契約終了後13ヶ月経過しないと消滅しません。

理由は7日以内で事故あり等級や5等級が消滅した場合、契約者が得をしてしまうからです。新規契約の時、等級は6等級からスタートします。

等級 1 2 3 4 5 6(F)
無事故 64%

割高

28%

割高

12%

割高

2%

割引

13%

割引

19%

割引

事故あり

※新規の6(S)等級と保険使用などによる新規ではない6(F)等級は割引率が異なります。

5等級以下の場合6等級より割引率が低いので高い保険料になります。保険会社は5等級以下の契約者がわざと更新をしないで6等級にされてしまうと損をしてしまいます。そのため7日以内ではなく13ヶ月まで伸ばしているのです。

「5等級以下だから13ヶ月はガマンして保険に入らないでおこう」と考えるかもしれません。

しかし、13ヶ月保険に入らないのはとても危険です。5等級以下ということは1回以上事故で保険を使っているのです。

事故の原因は様々かもしれませんが、1回でも事故で保険を使用されているのであれば今後も事故が起きる可能性は十分あります。

少し保険料は高いかもしれませんが、保険に入らないで事故をしたときの自己負担と比べれば安いものです。

5等級以下の場合は通販型自動車保険に入るのは難しいかもしれません。代理店型の自動車保険の中で一番安い会社を見つけて入る工夫が必要になります。一括見積もりサイトでも代理店型の自動車保険の見積もりが取れます。

あなたの自動車保険の等級が5等級以下の場合は13ヶ月以内の場合、今の等級を引き継いで保険の契約をしてください。

事故で保険を使用した方

事故で保険を使用した方も13ヶ月を経過しないと事故あり適用期間を外すことが出来ません。理由は5等級以下の方と一緒で事故で保険を使用した人が得をしないようにするためです。

事故で保険を使用した方が13ヶ月以内に更新をした場合、このような形になります。

自動車保険 更新しない 事故あり等級残るのか

事故で保険を使用した方は6等級以上の場合には等級は6等級に戻されますが、事故あり期間は残りの年数持つこととなります。例えば、9等級で事故あり期間が1年の状態で更新をしない場合、新たに契約をするときは6F等級事故あり1年となります。

事故で保険を使用した方も事故あり等級となってしまい、保険料は高いですが、保険には入る必要があります。通販型自動車保険でも1回の事故であればほとんどの会社で契約が出来ます。一括見積もりサイトなどで一番安い保険会社を探してとにかく自動車保険には入るようにしてください。

まとめ

今回は自動車保険を更新しなかった時にどのように対応して良いかまとめました。更新をしない理由は様々ありますが、自動車保険を更新しないまま運転をするのは危険です。

今回の書いた内容を参考に更新や契約をし直してください。また、通販型で契約をしてうっかり更新手続きをしない方は自動更新の付いた会社に契約をするなど更新切れを未然に防ぐ方法も検討してください。

セカンドカー割引は別の保険会社でも入れるの?~条件や手続き方法含め詳しく解説~

セカンドカー割引他社でも使える

家族で新たに1台車を増やすと自動車保険にも1台新規で加入することになります。私は保険代理店に勤めているので日々車の保険を契約しています。そんな中で私が増車分の自動車保険を新規で契約するときにお客さんから「保険料が高い」という声を多く聞きます。

想定するよりも1台増えた自動車の保険は高いのです。増えた分の自動車保険を少しでも安くする方法としてセカンドカー割引があります。また、このセカンドカー割引は今の保険会社だけでなく他の保険会社で入りたい場合にも利用できるサービスです。

今回はセカンドカー割引の仕組みを覚えて少しでも保険料を安くする方法を説明します。

セカンドカー割引とは

セカンドカー割引とは2台目以降で初めて契約する自動車保険に対して割引をすることが出来ます。通常の新規等級である6S等級から一つ上の7S等級で契約をすることが出来ます。自動車保険の等級制度の仕組みが解らない場合はこちらの記事を参考にしてください。

セカンドカー割引は同じ新規でも値段が安い

6S等級で新規契約をするのとどのぐらい保険料に差があるのか、具体的な事例を基に見ていきます。
対象となる条件はこちらになります。

〇見積もり条件例
保険契約者(記名被保険者)
・23歳男性(両親と同居中)
・免許の色:ブルー
・車名:トヨタ・プリウス(型式:DAA-ZVW30)
・初度登録:平成26年5月
補償内容
【年齢条件】:21歳以上
【運転者限定】:なし
【使用目的】:通勤・通学使用
【対人賠償】:無制限
【対物賠償】:無制限
(対物全損時修理差額費用特約付き)
【人身傷害】:5000万円(乗車中のみ)
【車両保険】:一般条件
(自損事故まで補償するタイプ)
車両価格145万円 自己負担0円・2回目以降0万円
【その他特約】:弁護士費用特約(自動車事故のみ)

このプリウスの条件でが6等級とセカンドカー割引の7等級で見積もりを出した金額が下記になります。

プリウス6等級と7等級の保険料

このようにセカンドカー割引を使うと、保険料が目に見えて安くなります。等級制度の仕組みから説明すると通常の新規等級である6S等級は4%割増なのに対してセカンドカー割引の7S等級は34%割引になります。38%も割引に差が出ることになります。なお、この割引率は代理店型と通販型とでは異なる場合がありますが、いずれにしても6等級と7等級では大きな差があります。

以上のことからセカンドカー割引を使うことで保険料を安くすることが出来るようになります。

私はセカンドカー割引を使えるの?

先ほど例に挙げたプリウスの保険料の通り、新規契約でセカンドカー割引を使う事は大きなメリットがあります。

しかし、誰でもセカンドカー割引を使うことが出来るのかというとそういうわけではございません。具体的にセカンドカー割引を使うことが出来る条件を説明します。

セカンドカー割引は11等級以上の車が一台必要

セカンドカー割引を使う上で以下の二つの大きな項目があります。

・自宅に11等級以上の自動車保険が1台ある

・13ヶ月以内に廃車や売却、その他の事情で解約した自動車保険が無い

この条件が大前提になります。順番に説明していきます。

・自宅に11等級以上の自動車保険が1台ある

「セカンドカー」という言葉の通り自宅にもう一台車があり、その車の自動車保険が11等級以上なら対象となります。自宅にある車の等級が何等級なのかを調べる一番簡単な方法は保険会社から契約時に送られてくる保険証券を見ることで解ります。

・13ヶ月以内に廃車や売却、その他の事情で解約した自動車保険が無い

13ヶ月以内に自動車保険契約していた車を手放している場合、手放した車の等級が残っているのでセカンドカー割引を使うことが出来ません。これはあなたの支払い保険料を決める等級制度において、以前使用していた等級は消滅するまで13ヶ月残るというルールがあるからです。

例えば5ヶ月前まで車を持っていました。保険は5等級だったとします。車を手放したので保険も解約しました。今月に入り新しい車を買い、自宅にある12等級のセカンドカーとして契約しようと思いました。

しかし、残念ながらこの場合は13ヶ月以内に該当するので以前の5等級を利用することになります。6等級以下の場合は13ヶ月以内の等級が反映されます。

13ヶ月以内に7等級以上の保険を保有していた人は6等級からのスタートになってしまいます。保険料の支払いをせず解除になったり、廃車や譲渡で解約して中断手続きという等級を10年間取っておくことが出来る方法を行っていない場合、6等級からのスタートになります。

13ヶ月以内の契約があったのを忘れたり隠したりして申告せず契約を行っても、ほとんどの保険会社が共有しているデータがあるので見つかってしまいます。13ヶ月以内に等級が無いのを確認してセカンドカー割引の手続きをしてください。

自分が2台以上所有してないと使えないの?

「セカンドカー」というと一人の人が2台目を所有イメージがあります。しかしセカンドカー割引は同居の家族内で1台車が増えれば使えます。またセカンドという言葉から家族内で3台目以降使えないと思われます。しかし3台目以降もセカンドカー割引は使えます。

同居の家族で台数関係なく1台増えたらセカンドカー割引の対象になると覚えてください。

一人暮らしで実家のセカンドカー割引は出来るの?

一人暮らしの子供も家族だから子供が1台車買ったらセカンドカー割引使えるの?と質問を受けます。残念ながら別居の家族はセカンドカー割引を使う事が出来ません。もし一人暮らしの子供が住所異動せず住民票では同居扱いであればセカンドカー割引を使う事が出来ます。

保険会社は車検証の住所を確認するからです。所有者が一人暮らしの子供でも車検証の所有者住所が実家になってればセカンドカー割引が使えます。

事故あり等級でも11等級以上ならセカンドカー割引可能

11等級以上の等級を持っていても3年以内に事故で保険を使用すると事故あり係数という高い保険料になります。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

事故ありでも11等級以上なら大丈夫です。また今の段階で11等級でも契約期間中に保険を使用して次回の更新では11等級以下になるのが確定している人でもセカンドカー割引は使えます。あくまでも車が増える日の時点で11等級以上であればセカンドカー割引の対象になります。

大型のダンプやトラックもセカンドカー割引使えるの?

自営業で新たに2トンを超えるダンプカーを買った場合、セカンドカー割引は使えるのでしょうか?

これは残念ながら使えません。セカンドカー割引の対象は自家用8車種という決まりがあります。自家用8車種は以下の種類になります。

・自家用普通自動車(プリウス・ヴェゼルなど)

自家用普通自動車 画像

・自家用小型乗用車(アクア・ヴィッツなど)

自家用小型自動車 画像

・自家用軽四輪乗用車(NBOX・タントなど)

自動車保険 自家用軽四輪自動車 画像

・自家用小型貨物車(プロボックス・ハイエースなど)

自動車保険 自家用小型貨物車 画像

・自家用軽四輪貨物車(Nワゴン・キャリィなど)

自動車保険 自家用軽四輪貨物 画像

・自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下:グランドハイエースなど)

自動車保険 普通貨物自動車 画像

・自家用普通貨物車(0.5トン超2トン以下:平ボデートラックなど)

自動車保険 普通貨物車2トン以下 画像

・特種用途自動車(キャンピング車・ポンプ車など)

自動車保険 特殊用途自動車 画像

上記以外の2トンを超えるような大型ダンプカーや大型のトラック、営業車ナンバー(普通車は緑で軽自動車は黒のナンバープレートの車です)などはセカンドカー割引の対象にはなりません。

バイクにもセカンドカー割引で入れるの?

現在バイク保険に加入していて等級が11等級以上の場合にはセカンドカー割引が使えます。しかし、現在自動車のみ所有している人はバイクのセカンドカー割引は利用できません。あくまでバイクを現時点で1台以上所有し、なおかつバイク保険が11等級以上の場合のみセカンドカー割引が使えます。

セカンドカー割引が一番効果で高い家族状況

セカンドカー割引は先ほど書いたように通常新規で入る6等級と比べて割引率が〇%になります。割引率が高いという事は基本の金額が高いものに対して効果があります。自動車保険において基本金額の高いものと言えば未成年です。

未成年者が免許を取った場合

家族の中で高校を卒業してすぐ免許を取り車も併せて購入予定の場合はセカンドカー割引を有効に利用した方が良いです。未成年の自動車保険はかなり高額になるので家庭で加入している自動車保険の等級をうまく組み替えて家族全体で保険料を抑える方法をお勧めします。

基本的には26歳以上の家族で11等級以上の等級を持っている人の等級を未成年の家族に譲り、譲った人がセカンドカー割引を使い新規契約するのが家族全体では保険料が安くなります。しかし、中には譲らない方が安い場合もあります。

例えば11等級以上であっても事故あり等級の場合、割引率が低く、セカンドカー割引の7等級の方が安い可能性があります。

7Sと事故有の割引境界

上の図は代理店型のセカンドカー割引の境界です。代理店型は年齢条件関係なく7S等級は34%割引になります。通販型は年齢条件などによって割引率が異なります。特に21歳以上までは割増になる保険会社もあります。

割増になっている保険会社の場合は11等級以上の事故ありでも安い可能性が高いです。

現在家族にある自動車保険の証券を良く見直し、セカンドカー割引を誰の保険に交換すべきか、それとも未成年の保険に使うべきかを検証してください。

一台目と別の保険会社でもセカンドカー割引で入れるのか?

「家族の11等級を使いセカンドカー割引を使用したくても自分が入りたい保険会社は別の所なので諦めなければならない」私の知り合いからこういう話を聴いたことがあります。セカンドカー割引という名称が同じ保険会社で入る代わりに行うサービスという印象を持つのかもしれません。

しかし、この割引制度は保険会社とは関係なく利用することが出来ます。未成年の自動車保険料はとても高いのでセカンドカー割引を使って通販型の保険に入りたい場合には是非利用してください。

他の保険会社でセカンドカー割引を使用し契約する方法

手続き方法としては申し込む際に11等級以上ある保険の保険会社と証券番号を入力するだけです。これは今入っている保険会社で手続きする時も一緒です。

必要なもの:11等級以上の自動車保険の証券

自動車保険 証券 見本

理由:保険会社の名称と証券番号を申込書に記載、入力するため

11等級以上の保険会社と証券番号に誤りが無ければ何の指摘もなくすんなり他の会社と契約が成立します。
セカンドカー割引申込手続き方法 画像

上の図は通販型の申込書画面になります。契約を申し込むときにセカンドカー割引を選択した場合、このような画面が出てきます。ここで用意した証券を見ながら必要な個所を選択、入力を行ってください。証券があれば手続きは簡単に完了します。

もし証券が見当たらない場合は現在の保険会社に問い合わせれば数日以内に証明書を発行してくれます。気を付けて頂きたいのは証券の再発行はとても時間がかかるので現在の補償内容が解る証明書を送ってくださいと依頼してください。

まとめ

今回はセカンドカー割引について説明しました。今回の内容を簡単にまとめます。

・セカンドカー割引は11等級以上の自動車保険が家族にある場合に利用できる

・家族とは同居の家族に限られ別居している家族は対象外

・セカンドカー割引は通常6等級からの新規契約を7等級からスタートできる

・セカンドカー割引で一番効果があるのは未成年のいる家族

・セカンドカー割引は他の保険会社で加入したい場合でも利用できる

・セカンドカー割引を利用したい場合には対象となる11等級以上の保険の証券を用意して手続きをする

以上になります。セカンドカー割引を上手に利用して少しでも家庭の自動車保険の金額を減らしてください。

自動車保険の等級制度について詳しく解説

あなたは自動車保険の等級制度について,普段は特に意識していないと思います。しかし、知り合いの方が保険料が安かったり、事故を起こして保険料が一気に上がったりすると等級制度について詳しく知りたいと思うようになりませんか?

そこで今回は自動車保険の等級制度について詳しく解説していきます。

なぜ自動車保険には等級制度があるのか

等級制度がなぜあるのでしょうか?

それは保険に加入する人の間に不公平が生じないためです。

例えば、何度も事故を起こして、自動車保険で1000万円の損害を保険会社に支払ってもらった契約者がいるとします。

一方で20年間自動車保険に加入し、一度も事故を起こさず保険会社に支払ってもらったことが無い契約者がいます。

もしこの両者が毎年保険会社に支払う保険料が10万円だったら無事故の人に対して不公平になってしまいます。この不公平をなくすために等級制度があるのです。

自動車保険の「等級制度」とは?~仕組みについて解説~

等級制度の仕組みについて解説していきます。等級制度とは、簡単に言うと、「あなたの自動車保険の割引率」を決めるものです。

自動車保険の保険料は様々な要因で計算されて決まります。土台となる保険料に対して、等級制度によって決めた割引率で保険料が安くなるのです。

等級は1等級から20等級まであります。新規で自動車保険に加入するときは6等級からスタートします。(家族に11等級以上の等級を持っている人は7等級からスタートします)

各等級の割引率は下記になります。

等級 1 2 3 4 5 6(F) 7(F) 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
無事故 64%

割高

28%

割高

12%割高 2%

割引

13%

割引

19%割引 30%割引 40%割引 43%割引 45%割引 47%割引 48%割引 49%割引 50%割引 51%割引 52%割引 53%割引 54%割引 55%割引 63%割引
事故あり 20%割引 21%割引 22%割引 23%割引 25%割引 27%割引 29%割引 31%割引 33%割引 36%割引 38%割引 40%割引 42%割引 44%割引

※右にスクロールすれば全体を見ることが出来ます。

一年間保険使用しないと1等級上がります。等級が上がれば上がるほど割引率が高くなります。上の図で言いますと、6等級と20等級では割引率が44%も違います。

反対に保険を使用すると、翌年3等級下がります。さらに保険を使用すると「事故あり」の割引率に変わります。細かい説明は後ほどします。

また、等級は他の保険会社に引き継ぐことが出来ます。例外としていくつかの共済で引き継ぐことが出来ません。詳しくはこの記事で書いてますので参考にしてください。

前の会社の証券番号などがあれば簡単に等級は引き継げます。一括見積もりサイトで様々な保険会社の保険料を比較するメリットはここにあります。

今の保険会社から他社に移っても等級が引き継げるため、どの保険会社が自分に取って一番安いか比較することが出来ます。

等級が変わるとどのぐらい保険料が変わるのか?

実際にどのぐらい等級によって保険料が異なるか見ていきましょう。

下記のような条件で保険料を決めるとします。年齢条件や車の種類などによって土台の保険料が決まり、そこに等級による割引率に基づき保険料が安くなります。

実際に等級の違いにより保険料がどこまで変わるのか、具体例で見ていきましょう。

【対象条件】

保険契約者(記名被保険者)

・32歳男性

・免許の色:ゴールド

対象自動車:トヨタ・プリウス(型式:DAA-ZVW30)

初度登録:平成26年5月

【年齢条件】:26歳以上

【運転者限定】:本人・配偶者限定

【使用目的】:通勤・通学使用(年間走行距離10000キロ)

〇補償内容

【対人賠償】:無制限

【対物賠償】:無制限

(対物全損時修理差額費用特約付き)

【人身傷害】:5000万円(乗車中のみ)

【車両保険】:一般条件(フルカバータイプ)車両価格145万円 自己負担0円・2回目以降0万円

【その他特約】:弁護士費用特約(自動車事故のみ)

この条件をもとに新規の6等級と最高割引の20等級の保険料の違いが下記になります。

等級 代理店型 通販型(イーデザイン損保)
6(S)等級 205,770円 131,710円
20等級 86,330円 49,830円

図のように新規で加入する6等級と最高等級の20等級では保険料が大きく異なります。先述の通り、保険を使用しない人は保険料が安くなり、不公平感が無いという事になります。

自動車保険の等級の引き継ぎについて

等級は同居の家族の間で引き継ぐことが出来ます。子供が進学や就職で別居の場合は等級を引き継ぐことが出来ません。

等級を引き継ぐには一定のルールがあります。

・同居の家族内で車が一台増える場合

・同居の家族内で車が一台減車する場合

このように家族内で車の増減がある場合、等級が引き継げます。車の買い替えなどの増減なしでは引き継げません。

等級を引き継ぐ一番多いケースは、免許を取った子供に親の等級を引き継ぐ場合です。詳しくは別の記事にまとめてますので参考にしてください。

それ以外にも増車や減車を機に一番高い保険料の車に割引率の高い等級を引き継ぐ事もあります。

自動車保険 等級を増車で入れ替え

家族内で等級をうまく引き継いで保険料を安くおさえる事をおすすめします。

保険使用した後の「事故あり等級」ついて

先ほどの説明で一年間保険を使用しなれば1等級上がると説明しました。それでは保険を使用した場合はどうなるのでしょうか?

原則、保険を使用した場合は3等級下がることになります。そして、保険で3等級下がる場合には「事故あり」等級となり、通常の割引率と異なる料率になります。これは事故によって保険を使う人と使用しない人の不公平感を無くすためです。

上の図で説明しますと、現在14等級で事故が無かった場合、来年は15等級になります。割引率は「無事故」なので51%の割引になります。

反対に事故で保険を使用した場合、来年は11等級になります。保険を使用したので「事故あり」の25%割引になります。現在が50%の割引なので、25%高くなることになります。

また、3等級ダウンになった場合、3年間「事故あり」の割引率になります。事故ありで11等級になった場合、翌年は事故あり12等級で27%割引になるという事になります。「無事故」の割引に戻るのは3年経過した14等級になった時です。

それでは、具体的にどのぐらい保険料が変わるのか先ほどのプリウスの補償条件を基に説明します。

現在の等級 代理店型 通販型(イーデザイン損保)
14 (50%割引) 115,090円 70,260円

◎保険を使用した場合としなかった場合の比較表

①保険を使用しなかった場合
等級(無事故) 代理店型 通販型
15 113,000円 69,000円
16 110,000円 67,000円
17 108,000円 66,000円
②保険を使用した場合
等級(事故あり) 代理店型 通販型
11 173,000円 105,000円
12 168,000円 103,000円
13 163,000円 100,000円
保険を使用した場合としなかった場合の差額保険料(①-②)
代理店型 通販型
3年間の差額合計 173,000円 106,000円

上記の保険料はあくまでも目安の保険料です。翌年以降の保険料は様々な要因で変更します。この差額保険料は、保険使用の有無でどのぐらい保険料が変わるのかという目安として見てください。

この表で見ると、事故で保険を使用した場合、代理店型では17万円、通販型でも10万円以上の保険料の差額が出ます。

これは10万円程度の損害の事故であれば保険を使用せず、自己負担で支払う方が安いという事になります。

事故で保険を使用する場合には3年間の保険料の値上げがどのぐらいになるのか確認したうえで使用するかどうかの判断をします。

保険使用による等級ダウンの一覧

先ほど保険を使用した場合、「原則3等級下がる」と説明しました。原則と書いたのは「例外」があるからです。自動車保険の中には保険使用した場合、3等級ではなく、1等級ダウン、等級ダウンなしのケースもあります。

なぜ保険を使用しても1等級ダウンや等級ダウンなしに場合があるのかというと、契約者が被害者の立場で保険を使わざるをえない状況があるからです。

具体的に1等級ダウン、等級ダウンなしの事例を挙げます。

1等級ダウン事故事例

等級ダウンなし ノーカウント事故 事例

このように人身傷害補償を使うだけの場合やロードサービスのみの利用は等級ダウンなしになります。人身傷害の詳しい内容についてはこちらの記事を参考にしてください。

また、車両保険で盗難やいたずらなど予期せぬ事態で保険を使わなければいけない場合は1等級ダウンの事故となります。

事故あり等級を消滅することは難しい

先ほど事故で保険を使用した後の保険料の違いを説明しました。3年間で12万円以上の保険料の値上げになると「何とか値上げをしない方法はないのか」と考えてしまいます。一番イメージが付きやすい方法としては、事故あり等級を消滅する方法です。

しかし、実際に事故あり等級を消滅することはかなり難しいです。

なぜなら保険会社も事故によって大きなお金(損害金)を出しているからです。また、簡単に等級を消滅や事故あり等級を逃れる方法があると、事故あり等級で3年間高い保険料をしっかり支払う人と不公平が生じてしまいます。それを避けるために保険会社は事故あり等級の消滅をさせないようにしています。

私の契約者が実際にやろうとした、事故あり等級を逃れることが出来そうな方法をいくつかあげます。

①他の保険会社に新規で入る

「自分の事故を知らない保険会社で新規で入れば保険が安くなる」と考えて保険会社を変えてもバレてしまいます。

なぜなら前の保険会社から「この契約者は事故を起こしてます」という情報が送られるからです。事故あり等級や5等級以下の等級は保険会社同士で情報が共有されています。

この等級に該当する人は事故で保険を1回以上使用しているからです。他の契約者に不公平を生じさせないために、事故で保険を使用した人を情報共有しているのです。

②一度保険を解約・解除して7日間経ってから新規で入る

自動車保険に詳しい人で、解約してから7日以上空白期間を作り、新たに保険に入ると前の等級は消滅するという方法で加入した人がいます。

しかし、事故あり等級や5等級以下の契約者は7日間のルールは適用しません。やはり保険使用後の保険料逃れを防ぐためです。

事故あり等級や5等級以下の等級契約者の等級が消滅するには13ヶ月空白期間が無いといけません。その間に事故があると全額自己負担となります。場合によっては数百万、数千万円の自己負担となる可能性もあるので、13ヶ月保険に加入しないで車に運転することは絶対にやめてください。

③事故した車から新しい車を購入し新規で入る

車を買い替えるから前の等級を引き継がずに新規で入り直したいという相談も多いです。しかし、新規で入りなおすことはできません。先ほど等級を家族間で引き継ぐには増車、減車が必要になると書きました。

このルールが車の入れ替えの時も適用されます。前の車を廃車や下取りに出して新しい車を買う場合は増減0台になるため前の等級を引き継がなければならないのです。

このように高い保険料を逃れるための方法はまずないと思ってください。

等級をリセットする方法

事故あり等級をリセットするのはかなり難しいと先ほど書きました。しかし、やむを得ない事情でどうしてもリセットしたいという場合もあります。そんな時に私が知る等級のリセットする方法を紹介します。

先ほど等級を引き継ぐには増車か減車をする必要があると書きました。このルールに沿ってやる方法です。

1.増車を利用して等級をリセット

事故で車を廃車にしても良いという方におすすめの方法です。事故に伴い新しい車を購入する際に、それまで乗っていた車をすぐ手放さず、少し家に置いておく形にします。

増車による等級リセットの方法

通常は新しい車が来たのと同時に前の車は手放します(車両入替)。このパターンではすぐに手放さず増車という形にします。

そうすると増車の車には新規等級を付けることが出来ます。事故あり等級の前の車は1ヶ月ぐらい置いて廃車や譲渡手続きをします。この結果、事故あり等級は車が無くなるので実質消滅することになります。

気を付けて頂きたいのは完全に消滅するまでは13ヶ月かかります。そのため、この間に新しい車を増やすとその車に事故あり等級を付けなくてはなりません。

このように新しい車を購入する人で事故あり等級を消滅させたい場合はこの方法が使えます。

2.減車を利用して等級をリセット

「増車をしたいけど家に車を置くスペースがない」という方で一台近々廃車予定という人は減車を利用する方法もあります。

減車により等級をリセット ローテーションする方法

事故で保険を使用した車を引き続き乗る場合にこの方法はおすすめです。減車することで他の家族内の等級を入れ替えることが出来ます。この方法でも気を付けてほしいのは新しく車を増やすと事故あり等級が付いてしまいます。

この方法も廃車から13ヶ月以上経たなければ事故あり等級は消滅しないので気を付けてください。

このように増車・減車をうまく利用すれば事故あり等級はリセットすることが出来ます。もしどうしても事故あり等級を消滅させたいという理由がある場合には、この方法を試してください。

まとめ

今回は等級の仕組みから事故あり等級のリセット方法まで幅広く説明しました。今回のポイントは以下になります。

・等級は支払い保険料を決める一番重要なポイント

・新規は6等級からスタート(同居の家族で11等級以上を所持していれば7等級スタート)

・事故がなければ毎年1等級アップ

・事故で保険を使用すると原則3等級ダウン

・保険使用すると事故あり等級となり3年間高い保険料になる

・等級は空白期間が8日以上空いた場合、実質消滅し6等級に戻る

・ただし、事故あり等級や割増がかかる5等級以下は簡単にリセット出来ない。13ヶ月保険に加入しなければリセットが出来る

・同居の家族内で減車や増車があれば等級を入れ替えることができる

等級をより理解することであなたの保険料は安くすることが出来ます。是非等級の仕組みを理解してより安い保険料で快適なカーライフを過ごしてください。

「自動車を買ったら車両保険をつけた方が良いの?」失敗しない加入の判断

あなたは新しい車を購入し、良い状態を出来るだけ長く保つためにも車両保険の加入を検討していませんか?

しかし、車両保険の事について詳しく知らないので、どのような場面で保険が効くのか知りたいと思いませんか? 保険料はどのぐらい高くなるのか不安もあると思います。

そこで、今回は車両保険の補償内容の説明と、車両保険に入る必要があるかどうかの、加入の目安を解説していきます。

まずは車両保険の仕組みを理解「車両保険とは何?」

まず車両保険の仕組みについて解説していきます。

自動車保険の「車両保険」とは自分の車が事故などで破損や損害に合った場合、自分の車の損害金を補償する保険です。

例えば、車両保険に入っている自分の車が、他人の車に追突事故を起こしてしまった場合、相手の車は対物賠償保険で治しますが、自分の車は車両保険で治すことが出来ます。

これが車両保険に入ってない場合は相手の車の修理代のみ契約している自動車保険で補償されます。

車両保険の補償の対象となるのは以下のような場合です。

・他車との接触事故(3等級ダウン)

 

走行中に他の自動車と接触した事故


・車両単独事故(3等級ダウン)

誤ってガードレールや電柱などの他物と接触した事故。歩行者や自転車との接触事故も車両保険では「単独事故」に含まれます。


・当て逃げ(3等級ダウン)

駐車中や停車中にぶつけられ、ぶつけた加害者が逃げてしまった事故


・自然災害に伴う事故(1等級ダウン)

火災、豪雨、台風などの自然災害で車が破損、走行不能になってしまう事故(地震・噴火・津波は対象外)


・いたずら(1等級ダウン)

他人にひっかきキズや、らくがきをされてしまう事故


・飛び石によるガラス破損(1等級ダウン)

走行中や停車中に他車のタイヤに踏まれて飛んできた石がフロントガラスなどにぶつかり破損する事故


・盗難(1等級ダウン)

駐車場に停めていた時に他人から盗まれてしまう事故


このような事故により自分の車が壊れ、修理や交換が必要になる場合に車両保険を使うことが出来ます。

また、それぞれの項目に「〇等級ダウン」の記載をしました。これは事故で車両保険を使った場合、翌年の保険料が上がるからです。

車両保険は事故の内容に応じてダウンする等級が変わります。3等級ダウン、つまり3年間高い保険料になる事故と1等級ダウン、1年間高い保険料になる事故があります。等級ダウンの詳しい説明はこちらの記事を参照にしてください。

車両保険は使用後の等級ダウンによる保険料の値上げと、損害金を比較しながら使用するかどうかの判断をしてください。

車両保険の車両価格の設定方法について(初回の設定方法新車と中古車の場合)

「車両保険は最大いくらぐらい補償されるのだろう」と疑問に思いませんか?

新車は買った車の購入金額が車両保険の設定金額(保険価額)になります。中古車も買った金額を基本に設定します。しかし中古車の場合、買った金額より車両保険の保険価額が前後することもあります。

例えば、実際の市場価格より極めて安く車を買った場合、保険価額は購入金額より高く設定されるかもしれません。

またカスタムにこだわった車や、限定車で市場価格より高い金額で買った車の保険価額は購入金額より低くなる場合もあります。中古車の場合は設定金額に注意が必要です。

あなたが購入した中古車の車両保険の設定金額がいくらかを正確に知りたい場合には、どの保険会社でも構いませんので、メールやチャットで質問してください。あなたの車の保険価額を教えてもらえます。

より正確な保険価額を出してもらう方法は保険会社に車検証をメールやチャットに添付して査定してもらう方法です。車検証にはその車の正確な仕様が記載されてます。

私は普段自動車保険を販売してますが、契約者の車両価額の設定に困る場合は必ず保険会社に対象の車の車検証を添付し、正確な車両価額の設定を依頼します。

もし車検証の内容を出す事で、個人情報が漏れるのが怖い場合、車検証の名前や住所は消して送っても大丈夫です。

このように車両価額設定で必要な情報は枠線で囲った部分です。自分自身の住所や名前などは車両価額を設定するうえでは必要ないので、見えないように消して送ってください。

以上のように、中古車の車両価額は購入金額と異なる場合があります。より正確な保険価額を知りたい場合は保険会社に問い合わせてください。

車両保険の「免責」とは?

車両保険に加入しようと見積もりを依頼した時に「免責○万円」という表記が出てきます。この「免責」とは車両保険からお金が支払われる際に差し引かれる「自己負担額」のようなものです。

例えば「免責5万円」と設定したとします。事故で自分の車が30万円の損害になりました。免責無しの場合、損害した30万円がそのまま保険から支払われます。しかし免責5万円の場合、30万円から5万円を差し引かれた25万円が保険から支払われます。

このように免責を付けてしまうと自己負担が発生することになります。免責を付けるメリットは保険料が安くなることです。免責を付けることで保険料が数千円安くすることが出来ます。

「車両保険は付けたい。でも、保険料がどうしても予算内に入らない」という時に保険料を安くする一つの手段として利用できます。

車両保険のタイプは一つではない

先ほど車両保険の補償の対象となる一覧を載せました。車両保険に加入する場合、一つのパターンだけではありません。車両保険には二つの加入するタイプから選べます。

車両保険のタイプ「一般とエコノミーの違い」

車両保険は一般条件(フルカバータイプ)と車対車A(エコノミータイプ)の二つのタイプがあります。
二つのタイプの違いを簡単にまとめると、車両保険の補償を全部使用できる一般条件と、補償内容が限定的な車対車Aになります。それぞれの違いを表にまとめてみました。

事故例 一般条件 車対車A
他の自動車との衝突 ○ ○
盗難 ○ ○
火災・爆発 ○ ○
台風・洪水・竜巻・高潮 ○ ○
落書き・いたずら ○ ○
物の飛来・落下物 ○ ○
電柱・ガードレール等に接触 ○ ×
自転車・歩行者に接触 ○ ×
当て逃げ ○ ×

一般条件と車対車限定の違いは自損事故や当て逃げを補償するか、しないかという点です。単純に補償の違いだけで見ると、自損事故を含めた一般条件を選びます。

しかし、二つのタイプがあるという事は、当然契約者が支払う保険料が異なります。どのぐらい保険料が変わるかをこれから説明していきます。

車両保険を付ける付けないで保険料は大きく変わる

車両保険の説明をするとほとんどの人は加入を検討します。そして一般条件と車対車Aの違いを説明するとほとんどの人は一般条件を検討します。

しかし、実際には車対車Aを選ぶ人や車両保険に加入しない人も出てきます。理由はなぜか?保険料がそれぞれ大きく異なるからです。

実際にどのぐらい保険料が変わるのかを比較表を作りましたので見ていきましょう。

車両保険有無による保険料の比較

具体的な車や条件を出しながら保険料の比較をしていきます。対象条件はこのようになります。

【対象条件】

保険契約者(記名被保険者)

・32歳男性

・免許の色:ゴールド

・等級:16等級

※等級とはその人の事故状況によって保険料を決める、ランクのようなものです。最初は6等級から始まり、無事故であれば毎年1等級ずつあがり、最大20等級まであがります。

対象自動車:トヨタ・プリウス(型式:DAA-ZVW30)

初度登録:平成26年5月

【年齢条件】:26歳以上

【運転者限定】:本人・配偶者限定

【使用目的】:通勤・通学使用(年間走行距離10000キロ)

〇補償内容

【対人賠償】:無制限

【対物賠償】:無制限

(対物全損時修理差額費用特約付き)

【人身傷害】:5000万円(乗車中のみ)

【車両保険】:車両価格145万円 自己負担0円・2回目以降0万円

【その他特約】:弁護士費用特約(自動車事故のみ)

この条件をもとに車両保険の二つのタイプと、車両保険に入らない場合の保険料の違いを算出しました。また、より分かりやすいように、通販型と代理店型で保険料でまとめてみました。

車両保険の種類 代理店型 通販型(イーデザイン損保)
一般条件 119,180円 67,510円
車対車A 82,710円 46,710円
車両保険なし 51,700円 30,630円

いかがでしょうか。比較するとそれぞれのタイプで保険料に大きな差があります。フルカバーの一般条件と車両保険なしでは保険料が倍以上変わるのです。車両保険に加入するうえで一番悩ましいのが、この保険料の差が大きい事なのです。

車両保険を付けることのメリット・デメリット

車両保険の加入したいと思っても先ほどのように保険料が自分の想定よりも高いため悩んでしまうかもしれません。そこで車両保険を付けるデメリットとメリットを見て行きましょう。

車両保険を付けることのデメリット

まずはデメリットですが、やはり保険料が高額になってしまうことです。

また、車両保険を使うと保険料が上がってしまいます。そのため場合によっては自己負担で修理代を払ったほうが安いこともあります。具体的な自己負担の目安は後述します。

車両保険付けることのメリット

大きい事故で自分の車の損害が大きい場合や、水没や盗難など自分が全く悪くない損害を被った時に車両保険で補償されるのはとても助かります。

デメリットで保険を使用すると保険料が上がるという話をしましたが、保険料の値上げと損害額がさほど変わらない場合には車両保険の価値はわかりづらいです。

しかし、自分の車に大きな損害が出た場合、車両保険で補償されるのとされないのでは大きな差があります。保険料の値上げが小さく思えるぐらいです。

私は普段保険代理店で働いているので、数多くの車両保険の支払い手続きをして来ました。私が普段から事故対応をしていて、お客さんが「車両保険に入ってて良かった!」と車両保険のメリットを感じてもらう場面の4つを発表します。

1.盗難

「自分の車は盗まれることはない」と思いがちですが、盗難の被害は意外と多いのです。毎年全国で1万件以上の盗難被害が出ています。盗難される場所のほとんどは、自分が普段駐車している自宅の駐車場や屋外駐車場で発生しています。

当社でも毎年1台は場所や車種問わず被害にあいます。たしかに狙われやすい車種もありますが、中には乗り捨て用として盗難される年数の経過した車もあります。

盗難にあった人に話を聞くと、血の気が引くと言います。そんな時でも車両保険に入ってれば、設定した保険金額が支払われて新しい車を購入出来ます。

2.水没

多いのは河川敷に駐車していて川が氾濫し車が水につかってしまったという事例です。それ以外にも、道路が冠水しているなか走行していたら、エンジンが水につかってしまい、車が壊れる場合もありました。

大雨などの被害で自動車が動かなくなった場合、車両保険に入ってれば設定した保険金額が補助されます。車両保険に入ってなければ一切補償はありません。

ちなみに、津波は地震と同じ扱いなので車両保険は使えません。その点をご注意ください。

3.飛び石

近くの車が運転中に小石をタイヤの端で踏みつけて、自分のフロントガラスに小石がぶつかり割れてしまう事故です。高速道路を走行中に石が飛んでくる場合が多いです。走行中に限らず、道路沿いの駐車場に停めていて破損した例もあります。

ちなみに私も駐車中に飛び石でガラスを破損した一人です。

飛び石でガラスにひびが入った場合、ほとんどがガラスを交換しなければなりません。しかし、車によってはガラス交換だけでも20万円近くかかります。自動ブレーキシステムの車でフロントガラスにカメラが付いているものはさらに高い交換費用になります。

ガラスとはいえ大きな損害になるので、車両保険が役に立ちます。

4.いたずらによるひっかきキズ

自分の知らない間に何者かによってキズをつけられたり、らくがきをされた場合です。近所の子供がひっかいた事例もありますが、意外にも職場や近所の知り合いから逆恨みされ、キズをつけられる場合もあります。

このように車の接触事故以外に自分の予期せぬ状況で被害にあった場合、車両保険は大きく役立ちます。また、上記の4つの事故の場合、保険料の増加は1年だけなので、少ない自己負担で大きな補償を受けられます。

利用後の保険料負担の増加

それでは実際に車両保険を使った場合どのぐらい保険料が値上げするのか見て行きましょう。
先ほどの車両価格の時に利用したプリウスの保険で見てみます。

3等級ダウン、事故あり期間3年の保険料

①保険を使用しない場合の保険料
翌年 2年後 3年後
等級 17 18 19
事故有期間 0 0 0
保険料 100,000円 98,000円 96,000円
②保険を使用した場合の保険料
等級 13 14 15
事故有期間 3 2 1
保険料 151,000円 147,000円 143,000円
①-②差額保険料 51,000円 49,000円 47,000円

3年間の差額保険料の合計(概算):147,000円


1等級ダウン事故あり1年の差額保険料

①保険を使用しない場合の保険料
翌年 2年後 3年後
等級 17 18 19
事故有期間 0 0 0
保険料 100,000円 98,000円 96,000円
②保険を使用した場合の保険料
等級 15 16 17
事故有期間 1 0 0
保険料 143,000円 102,000円 100,000円
①-②差額保険料 43,000円 4,000円 4,000円

3年間の差額保険料の合計(概算):51,000円

自損事故や車と車の事故の場合、3等級ダウンの事故になります。車両保険のデメリットで書きましたが、自損事故で自分の修理代が13万円だった場合、車両保険の使用による値上げの方が高くなります。

私の経験でも慎重に運転をしている契約者は自損事故を起こしても数万円程度になる場合が多いです。数万円程度の修理代であれば一般条件に入るメリットは少ないです。

あなたがもし運転技術に自信があり、多少のすりキズ以外の自損事故が起きにくいのであれば、一般条件ではなく車対車Aに加入して保険料を抑えるのも良いかもしれません。

ただし、これはあくまでも概算となります。値上げの金額は違う車や年齢、等級などで異なります。あなたの購入した車で保険料を算出し、保険会社に3年間、1年間の値上げ金額を確認してみてください。

値上げの計算は簡単に出してもらえますよ。

車両保険を付ける判断基準

車両保険は自分の車を補償する便利な保険です。しかし、それがゆえに保険料が高く、使用するとさらに料金があがります。

保険を販売する私にとってもお客さんに車両保険を勧めて「こんなことなら入らなければ良かった」反対に「なんで車両保険を付けるように言ってくれなかったの」と言われないために判断基準をお客さんに伝えます。

そうすることで保険を売る側も、保険に入る側も納得した形で決められます。

車両保険がいらない、オススメできない場合

車両保険に加入するうえで重要なのは「高い保険料に見合う自動車なのか」という点です。上述のように車両保険付けるのと付けないのでは保険料が倍ぐらい異なります。そして、いざ保険を使用するような事故が発生した場合、保険料が3年間で14万円以上も変わります。

その点を考えると、それだけの保険料を支払ってもお得になるぐらいの車両価格で無ければ意味がありません。

このような理由から以下の二点のような場合、私だったら車両保険は付けません。

・中古車で車両保険の価格が40万円以下の場合

・購入した中古車が6年以上経過した車の場合

二点とも車両保険の価格が40万円以下になる可能性が高いです。高い保険料を払うお金があれば、その分貯金をして次の車を購入する資金に回すことをお勧めします。

オススメできない場合

次に「車両保険を付ける必要はない」とまでは言いませんが、保険料の車両保険のバランスが悪いのでおすすめしない場合が下記の項目になります。

・年齢条件21歳以下で新規に保険に入る場合

年齢条件を21歳以下にして自動車保険を新規で入る場合、保険料が非常に高額になります。詳しくはこちらの記事を参照にしてください。この条件も先ほどの車両保険がいらない場合と一緒の理由になります。支払う保険料と事故したときの保険金のバランスが非常に悪いです。

もし新車を購入し、どうしても車両保険を付けたいのであれば、先ほどの記事に安くする方法をいくつか紹介してますので、そちらの方法で車両保険に加入してください。

車両保険があった方が良い場合

・新車購入の場合

・車両保険の価格が60万円以上の場合

・ローンで車を購入した場合

車両保険を付けた方が良い車は新車や車両価格の高い中古車を長く乗る予定の場合です。

新車を購入する場合や中古車で車両価格が高い車を購入する際にローンを組む可能性もあります。ローンを組むという事は完済するまでその車を乗ることを想定しています。

まだローンを完済する前なのに大きな事故で車が全損した場合、車両保険に入っていないと、残りのローンだけを支払うことになります。車両保険に入っていれば保険金がおりますので、引き続き乗ることが出来ます。

全損になるような事故を想定した場合に大きなお金が入る新車や60万円以上の中古車であれば、保険使用後の値上げを考慮しても車両保険に入るメリットは大きいです。

車両保険をお得に入る方法

車両保険に一番安く入りたいと思ったら一括見積もりサイトで保険料を比較することをおすすめします。なぜなら車両保険は保険料が一番変化しやすい補償だからです。同じ条件でも保険会社によって車両保険付きの保険料に差がでます。

例えば、先ほどのプリウスと同じ条件でも保険会社によって保険料は大きく変わります。下記が一括見積もりサイトから集めた保険会社の見積もりになります。

対象条件の一括見積もりサイトでの保険料ベスト3

1位:アクサダイレクト 49,410円

2位:SBI損保 54,950円

3位:チューリッヒ保険 58,430円

 

対象条件の保険料ワースト3

1位:ソニー損保 73,950円

2位:おとなの自動車保険 72,950円

3位:イーデザイン損保 67,510円

このように通販型の保険会社でも一番高い会社と一番安い会社の保険料は約14,000円も違います。車両保険付きの保険料には大きな差が出ます。

今回の対象条件ではこのような結果になりましたが、車種や保険条件などで一番安い保険会社は変わってきます。あなたの買った車は別の結果が出るかもしれません。一括見積もりサイトであなたの車で一番安い保険会社はどこなのか、比較検討してください。

まとめ

今回は車を買った後に車両保険を検討するための判断基準を説明しました。ポイントはこちらになります。

・車両保険は自分の車が事故したときの修理代や交換費用を補償する保険

・事故だけではなく盗難やいたずら、水没なども補償される

・車両保険を付けると保険料は高くなる

・車両保険を使用すると保険料の値上げが大きい

・新車や60万円以上の中古車には車両保険を付けることを検討した方が良い

・保険会社によって保険料が大きく異なるので一括見積もりサイトで値段を比較してみる

車両保険の保険料は高いですが、いざという時に自分の車にとって大きな補償になります。今回の内容を車両保険の判断の参考にしてください。

自動車保険の人身傷害はいくらに設定すればいいか?

人身傷害 いくらにすれば良いの?

あなたは自動車保険に入ろうとしていて、初めて目にする「人身傷害」という言葉にとまどっていませんか?

また、インターネットで「人身傷害」の補償額をいくらにすべきか検索すると、それぞれ意見が分かれて困ってませんか?

戸惑うのも無理ありません。今まで自動車保険に加入したことがない方にとって、人身傷害がどういう補償なのかイメージがわきません。

しかし、人身傷害保険は自動車保険でとても重要な補償の一つです。事故にあった時に、意外な場面で人身傷害保険の補償を受けられる場合もあります。

例えば、相手から治療費を支払ってもらえず困った時に、人身傷害保険から治療費を支払ってもらえます。

人身傷害保険を深く理解することは自動車保険に入る時に非常に役に立ちます。

そこで今回は人身傷害についての説明と、補償額をいくらにすれば良いかを解説していきます。

人身傷害保険とは

それでは人身傷害とはどのような補償なのか説明していきます。

「人身傷害」とは、自分が運転する車で事故が起きた時に、運転している方や一緒に乗っている方のケガの治療費などを補償するものです。

対人賠償が事故の相手のケガの補償に対して、人身傷害は自分の契約する車の補償になります。簡単に言うなら「自分の車に乗っている人のけが」を補償するものです。

どのような場合に人身傷害保険は支払われるのか

どのような場合に人身傷害保険は支払われるのか、事例を紹介していきます。

◎単独で事故を起こしてケガをした場合

誤って電柱や壁などに自分の車をぶつけてしまい、車内の運転手や同乗者がケガを負った場合は人身傷害保険を使いケガの治療費を補償してもらいます。

◎無保険の車とぶつかり自分たちがケガをした場合

車と車の接触事故であなたがケガを負った場合、通常は相手が契約している「自賠責保険」で治療費を支払います。しかし、相手が自賠責保険に加入してなかった場合、相手からの補償はありません。そうするとケガの治療費を自己負担で支払わなければなりません。

人身傷害はそのような場合、あなたと一緒に乗っていた人のケガの治療費を補償することができます。治療日の自己負担を防ぐことができます。

◎車と車の事故で自分に過失がある場合

車同士の事故の場合、お互いに走行中であると、状況に応じて過失が両方に発生します。車の修理費などは過失割合に応じて修理費を支払います。

ケガの場合は少し異なります。まず、自賠責保険の限度額の120万円までは相手の自賠責保険から治療費を支払ってもらいます。

しかし、自賠責保険のケガの損害額の上限である、120万円を超えた場合、自分の過失分は自己負担になってしまいます。その場合、人身傷害が自己負担分を補償してくれます。

以上のように、人身傷害は車に乗ってケガをした場合の自己負担の治療費を補償してくれる保険です。

人身傷害の対象者の範囲

人身傷害の補償をしてもらえる対象者の範囲を説明します。人身傷害で治療費などが補償されるのは、契約した車に乗っている方全員になります。

人身傷害の対象者について

車に一緒に乗っている方全員が人身傷害保険の補償の対象になります。

ただし、友達や知り合いを乗せて事故に遭い、死亡や寝たきりになるほどの後遺症を追った場合(重度後遺障害)、人身傷害の補償額を超える治療費や損害額が出る可能性があります。

人身傷害の補償額を超えるような場合、友人や知り合いなどは一緒に乗っていても対人賠償の上限まで補償することができます。理由は被害者救済のためです。人身傷害の補償額がたりない場合、自分の家族であれば我慢をすれば良いですが、友達や知り合いにそれは通用しません。

しかし、人身傷害のたりない分を自己負担するには金額が高額になってしまいます。それを避けるために他人が同乗中の場合は対人賠償で補償されるのです。

知り合いなどの遺族とトラブルにならないためにも対人賠償は無制限にしてください。
人身傷害保険の補償額を決める上で大事なのは、自分や家族にいくらの補償を設定するかになります。

等級に影響しない補償

先ほどの説明で人身傷害は多くの自動車事故で補償されることがわかりました。しかし、「便利な補償でも治療費もらったら保険料が上がるんでしょ?」と思いませんか。

実は、人身傷害だけを使用する場合は保険料の値上げはありません。人身傷害だけを使う場合は自動車保険の保険料を決める等級に影響がありません。つまり保険料が上がる事を気にせず使うことができます。

ただし、人身傷害以外の対人や対物、車両保険を一緒に使った場合は等級が下がり保険料が高くなります。

人身傷害保険だけ使用する場合は保険料の大きな値上げはないと覚えてください。

人身傷害をいくらに設定すれば良いか

人身傷害の補償額は3000万円から無制限まで設定出来ます。人身傷害の補償額について、自動車保険を販売する専門家でも意見が分かれます。自動車販売の会社(カーディーラー)のような、自動車保険を多く販売しているところでも、3000万円を勧めている担当者が多いです。

しかし、結論から言うと私は3000万円では少ないと考えます。その理由を人身傷害の補償額の仕組みを含めて説明していきます。

人身傷害の設定金額

人身傷害の補償額の設定は保険会社ごとに異なりますが、多くの保険会社で最低3000万円から設定できます。選択できる補償額は「3000万円」から「2億円」までは1000万円単位で設定することが出来ます。「2億円以上」を設定したい場合には「無制限」の補償になります。

人身傷害の支払い事例

人身傷害の補償額を設定するにあたり、過去に人身傷害でどのような支払いがあったのか、支払い事例を調べることで設定額をイメージすることが出来ます。

しかし残念なことに、保険会社のホームページやパンフレットで人身傷害の高額支払い事例の記載はありませんでした。

そこで、自動車事故のうち運転者が大けがをした人身事故の高額支払い事例を見ることで、人身傷害の補償額がいくら必要になるのか見ていくことにします。なぜなら、人身傷害は対人賠償と同じく、運転者や同乗者のケガや死亡による治療費や賠償を補償する保険だからです。

過去の裁判で確定した高額な人身損害額の一部を紹介します。この事例は「保険毎日新聞」に掲載されていた記事を一部抜粋したものです。事例を基に、交通事故でどのような場合で人身傷害の補償が必要となるかを説明します。

事例1

被害者:23歳女性

事故状況:原付運転中、赤色点滅の原付と黄色点滅の乗用車が出合い頭に衝突

事故後の状態:後遺障害1級3号(両腕のひじ以上が失われた状態)

人身損害額:3億2,955万円

【過失割合】:60%(1億9,773円が自己負担)

 

事例2

被害者:45歳男性

事故の状況:乗用車運転中、信号のない交差点で右折をしようとしたところ、直進乗用車と衝突

事故後の状態:後遺障害1級3号

人身損害額:3億1,231万円

過失割合:40%(1億2,493万円が自己負担)

2つの事例で共通するのは大けがを負った被害者側にも過失が発生している点です。

交通事故の場合、ケガの大小にかかわらず、過去の裁判事例などをもとに、事故の状況に応じて一方かお互いに過失が生じます。

先ほども記載しましたが、120万円以上の人身損害が出た場合、損害額から自分の過失割合を差し引いた金額が相手の自動車保険の対人賠償から支払われます。過失割合分は自己負担ということになります。

人身損害額が今後の生きるうえでかかる治療費という事ではありません。しかし、相手からもらった賠償額が実際の治療費より少ない場合は自己負担で治療をすることになります。場合によっては後遺障害により仕事を辞めて自宅で治療に専念するかもしれません。

収入が途絶えたなかで治療費を自己負担するのを想像してください。今後の生活がとても不安に感じると思います。

また、人身事故でこちらに過失が無かった場合であっても、相手が自動車保険に加入していない場合もあります。その時は相手から損害額を受け取ることはほぼ不可能になります。その結果、自己負担で治療費を支払うことになってしまいます。

このような時にも自分の人身傷害の補償額が多ければ、自分の過失分や相手が無保険のような状況でも、十分な補償を受け取ることが出来ます。

人身傷害補償額ごとの値段の比較

当社のお客さんに人身傷害の増額を勧めると「他の代理店では3000万円を勧めるぐらいだから、設定額が大きいと保険料も結構上がるんでしょ?」と質問を受けます。

そこで実際に人身傷害の補償額を比較してみます。比較する保険料の対象条件はこの内容で計算します。

【対象条件】

保険契約者(記名被保険者)

・26歳男性

・免許の色:ゴールド

・等級:16等級

※等級とはその人の事故状況によって保険料を決める、ランクのようなものです。最初は6等級から始まり、無事故であれば毎年1等級ずつあがり、最大20等級まであがります。

対象自動車:トヨタ・プリウス(型式:DAA-ZVW30)

初度登録:平成26年5月

【年齢条件】:26歳以上

【運転者限定】:本人・配偶者限定

【使用目的】:通勤・通学使用(走行距離5000~10000キロ)

〇補償内容

【対人賠償】:無制限

【対物賠償】:無制限

(対物全損時修理差額費用特約付き)

【人身傷害】:車外事故特約あり

【車両保険】:一般条件

(自損事故まで補償するタイプ)

車両価格145万円 自己負担0円・2回目以降10万円

そして、この条件で通販型自動車保険と代理店型自動車保険の保険料の比較をします。

人身傷害補償額 通販型(イーデザイン損保) 代理店型自動車保険
3000万円 102,840円(0円) 119,140円(0円)
5000万円 103,810円(+970円) 120,020円(+880円)
7000万円 104,770円(+1,930円) 120,350円(+1,210円)
1億円 106,210円(+3,280円) 120,840円(+1,700円)
2億円 108,000円(+5,160円) 121,850円(+2,710円)
無制限 108,270円(+5,430円) 121,980円(+2,840円)

カッコの中の数字は人身傷害の補償額3000万円と比較した保険料の差額です。通販型の方が3000万円と無制限の保険料の差が代理店型よりも大きいです。

理由は通販型の自動車保険は保険料を安くする代わりに必要以上の出費を控えたいからです。通販型の保険会社は人身傷害で大きい損害額の支払いを避けるために、7000万円以上の保険料を高く設定しています。

3000万円から7000万円に補償を上げても年間で2,000円以内に収まります。2,000円の差について高いとみるか安いとみるかは個人差があるかもしれませんが、万が一大きな障害を負った時にもらえるお金が3000万円と7000万円ではもらえるお金が倍以上変わります。

文字だけを見ると3000万円、7000万円というのはイメージ湧きにくいと思います。しかし、実際に大けがを負ったことを想定してください。

先ほどの両腕がひじ以上失われたことを想定してください。両腕がないので食事も手伝ってもらえないと出来ません。仕事も手が無ければかなり制限されます。仕事を辞めざるをえないかもしれません。そうなると生活費も必要になります。

両腕が無いことで介護用の設備を整えないといけません。事故直後だけでなく数年単位で切断された腕の部分の手術も必要になります。介護費用、介護設備費用、手術などの医療費もかかります。

さて、このもろもろの出費を考えた時にどうでしょうか? 人身傷害から3000万円もらえるのと7000万円もらえるのではどちらが大きな安心感があると思いますか?

さらに重度後遺障害の場合には人身傷害は倍額支払います。3000万円の契約者は6000万円です。7000万円の人は1億4000万円です。働けなくなり、ずっとこの先自宅で療養をすると考えた時にどちらを選びますか?

人身傷害3000万円と7000万円の支払う保険料の差額は約2000円です。

当社に保険の見直しにくるお客様に3000万円と7000万円の差額の説明をすると多くの方が年間2,000円の差では思ったより変わらないと回答します。

なぜか3000万円をすすめる人が多い

私は普段から自動車保険を販売しています。先ほど紹介したカーディーラーのように、保険を販売する人でも人身傷害の補償額についてしっかりとした根拠をもって保険を売っている人は少ないです。

なぜなら、他の保険会社から私の会社に乗り換えるお客さんの多くが明確な理由もなく人身傷害の補償を3000万円にしているからです。人身傷害の補償をなぜ3000万円に設定しているのか、私は必ずお客さんに理由を聞きます。

すると、「前の保険代理店の人が3000万円で良いと言っていたから」と答えます。他の理由としては「一番安いから」、「何となく」という回答が多いです。

どちらにしても安易な考えで決めています。同業者に人身傷害の補償額について聞いても「あまり人身傷害使う機会がないでしょ」「生命保険もあるからいざの時は他の保険でカバーできる」などと答えます。

しかし、私はどれも間違った答えだと思います。先ほど紹介した人身事故の損害は億単位の自己負担になります。また、下記の表のように年代別の損害額を見ても3000万円で足りる場合は極めて少ないです。

人身傷害 年齢別平均損害額

このように人身傷害3000万円でまかなえるのは、65歳以上の一部の条件ぐらいです。ほとんどの世代で3000万円ではまかなえないのです。

生命保険や国の補償である程度まかなえるという理由をいう人もいます。しかし、家族全員が生命保険に入っているわけではありません。たとえば小さい子供に生命保険を加入する人はほとんどいません。また、70歳を過ぎて高額な死亡保障の生命保険に入っている人も少ないです。

生命保険に加入しているという理屈からすると、ずっと生命保険に加入しなければならなくなります。それを支払う保険料の方が高額になってしまいます。

国の補償(遺族年金)についても、18歳未満の子供がいる両親が亡くなれば遺族年金は出ます。しかし、19歳以上の子供しかいない家族には遺族年金が払われません。

生命保険の加入している年齢、期間、遺族年金の保障される年代をしっかり理解していればこういう発想は出ません。

そうはいっても、人身傷害の補償額が3000万円と無制限の保険料の差額が通販型で5,430円です。保険料の差額は決して安いとは言えません。そのため、全ての人に無制限をおすすめすることはしません。

人身傷害の補償額は車に乗る方の年齢などを想定して決めることをお勧めします。

タイプ別の補償額の目安

先ほど説明しましたが、一緒に乗る人でも友人や知り合いなどは死亡や後遺障害の場合、対人賠償として補償されます。そのため、人身傷害の補償額は運転手の年齢と一緒に乗る家族の年齢が設定の目安になります。

無制限にすればいざという時は安心しますが、車に乗る人が70歳以上の人だけの場合、無制限の補償額は無駄な保険料を支払うだけになってしまいます。

そこで、運転する人の年齢や家族の年齢ごとにどのぐらいの補償額が必要になるか目安になる表を作りました。

年代別の人身傷害補償額設定表

年齢 扶養家族の有無 お亡くなりに

なった場合

重度後遺障害を

被られた場合 ※

人身傷害補償額

の目安

0歳から20歳 ー 5500万円 1億4000万円以上 8000万円~

1億円以上

25歳 あり 6500万円 1億5000万円 8000万円~

1億円以上

なし 5500万円 1億4000万円
30歳 あり 7500万円 1億7000万円 8000万円~

1億円以上

なし 6000万円 1億6000万円
35歳 あり 8000万円 1億9000万円 1億円以上
なし 6500万円 1億8000万円
40歳 あり 8000万円 1億9000万円 1億円以上
なし 6500万円 1億8000万円
45歳 あり 7500万円 1億8000万円 9000万円以上
なし 6000万円 1億7000万円
50歳 あり 7000万円 1億7000万円 9000万円~

8000万円以上

なし 5500万円 1億6000万円
55歳 あり 6500万円 1億5000万円 8000万円~

7000万円以上

なし 5000万円 1億4000万円
60歳 あり 5500万円 1億2000万円 6000万円以上
なし 4500万円 1億1000万円
65歳 あり 3500万円 9000万円 5000万円以上
なし 3000万円 8000万円
75歳~ あり 3000万円 6000万円 3000万円以上
なし 3000万円 5000万円

※重度後遺障害の場合、多くの保険会社で人身傷害補償額の倍額の補償を受けることができます。

※横にスライドすると全体が見えるようになります。

先ほど記載したように、人身傷害の設定額は同居の家族で一番年齢の低い人を目安にします。イラストで具体的な使用方法を解説します。

人身傷害設定額早見表 設定事例

図のように一緒に乗る家族で一番若い人を目安にこの表を使って補償額を設定してください。

人身傷害の車外事故について

人身傷害のオプション(特約)として車外事故特約というものがあります。これは契約している車以外で事故にあった場合も補償できるサービスです。

対象者は車を主に乗る人(記名被保険者)と一緒に住んでいる家族です。また、アパートなどに住んでいる未婚の子も対象になります。

人身傷害 車外事故の補償内容について

※損保ジャパン日本興亜ホームページより抜粋

他人の車に乗っていてその車で事故に遭った場合、通常であれば乗っていた車がぶつけられた場合には相手の自動車保険でケガの補償をしてもらいます。

しかし、相手の車や自分の乗っている車が自動車保険に入っていなかった場合、自分のケガの治療費が出ない可能性があります。その時にこの車外事故に入っていれば治療費が補償されます。

歩いている時の事故に遭った場合も同様です。原則、ぶつけてきた人の自動車保険でケガの治療費は補償されます。

しかし、こちらにも大きな過失がある場合(例えば信号無視で横断など)や、ぶつけてきた人が無保険の場合などの場合、治療費が自己負担になる可能性があります。その時に車外事故補償が使えます。

それ以外にも使えるのが、家族にケガを負わせてしまった場合です。通常、自分の家族を車で引いてしまった場合、対人賠償では補償されません。これは別の記事で書きましたので参考にしてください。

しかし、このような場合でも車外事故特約に入っていれば家族のケガも補償されます。

以前、当社であった事故を紹介します。お客さんが夫婦でスーパーに買い物に行った時の話です。お客さんはいつも奥さんが運転するときにご主人は後部座席に座るようにしていました。

その日も買い物を終えて車に荷物を入れて運転席に座った奥さんは後部座席にご主人も座ったと思いエンジンを掛けて発進しました。

どころが、ご主人はまだ車に乗って無かったのです。後ろのドアノブに手を掛けている時に奥さんが発進してしまったのです。

発信した勢いでドアノブに手を掛けていたご主人は横転してしまいました。大きなけがには至りませんでしたが、擦り傷や打撲などで病院に行くことになりました。

この場合、対人賠償は使えません。対人賠償は家族にけがを負わせた場合は補償対象外だからです。そこで人身傷害の車外事故特約を使い、治療費を補償することが出来ました。

このように家族内での事故によるケガにも車外事故特約が使えるのです。

車外事故は重複をしないように

「車外事故補償に是非入りたい」と思っても、少し待ってください。

もし、あなたの同居の家族の中ですでに自動車保険に入っている方がいたら、その家族の補償内容で車外事故特約に入っているか確認してください。

車外事故特約に他の家族が入っているようでしたら、あなたの自動車保険に車外事故を付ける必要はありません。二重で補償する形になってしまいます。

車外事故の補償範囲は一緒に住んでいる家族と別に住んでいる未婚の子供です。家族で1件入っていれば全員が補償されます。

一家で二件同じ車外事故に入ってしまうと、二重に補償される状態になります。二重に入っても補償されるのはどちらか一個の契約のみです。つまり無駄な保険料を支払うだけなのです。

必ず家族の他の自動車保険の内容を確認したうえで車外事故特約の加入を検討してください。

まとめ

今回は人身傷害保険の補償について説明しました。人身傷害保険のポイントをまとめます。

・自分の車に乗っている時の運転手や同乗者がケガをした場合の治療費の保障

・人身傷害の補償額の設定金額は3000万円から無制限

・補償額が3000万円で足りる人は極めて少ない。5000万円以上からがおすすめ

・補償額の設定は家族の一番若い人の年齢を基準にする。

・車外事故特約は家族の誰かが他人の車に乗った場合や歩行中に起きた事故で使用することが出来る

・車外事故特約は一緒に住んでいる家族と別居の未婚の子供まで補償される

・車外事故特約は一家族1個の自動車保険に付ければ良い

以上になります。

「人身傷害の大切さはわかりました。しかし、人身傷害を5000万円以上にすると自分が支払おうと考えている保険料より高くなってしまう。」

あなたがもし5000万円以上に人身傷害を設定したいと考えても保険料が高いので迷っているのであれば、一括見積もりサイトで一番安い保険会社を見つけることをおすすめします。

一括見積もりサイトでは人身傷害の補償額も設定できるので人身傷害5000万円で安い会社、7000万円で安い会社を見つけてみてください。

毎月や毎年の支払い保険料を安くすることはとても大事です。しかし、保険料を安くすることが目的になり、必要な補償を削ってしまっては自動車保険に入る意味がありません。自動車保険はいざとなった時に自分も事故の相手も満足のいく補償を受けることが本来の目的です。

必要な補償はしっかり入る。その中で一番安い保険料の会社を一括見積もりサイトで探すという順番を間違えないでください。

「人身傷害」以外にも「対人賠償」、「対物賠償」、「車両保険」は重要な補償のポイントになりますので、しっかりと理解して自動車保険を選んでください。

対物賠償の金額はいくらに設定すれば良いか?

あなたは自動車保険のサイトから見積もりを作り始めて「対物賠償保険」という項目を見かけて、「対物賠償保険ってなに?」「相手の車にぶつけた時に支払う保険なのかな?」「対物賠償保険をいくらに設定して良いか解らない」という疑問を持っていませんか?

「対物賠償保険」という用語について、保険会社のホームページで解説が載っていますが、具体的な事例などが少ない解説がほとんどなので解りづらいです。

そもそも「対物賠償保険は補償をいくらに設定する必要があるのか」明確な理由が解りません。しかし、理解があやふやなままで補償額の設定をしてしまうと、大きなトラブルに発展することもあります。

今回は「対物賠償保険」という言葉の意味と、補償額の設定について解説していきます。

対物賠償保険とは

対物賠償保険とは車を運転中に、他人の所有物に危害を加えた場合に補償する保険になります。ここからは「対物賠償」と略して書きます。

対物賠償の代表例として、車を運転中に他人の車と衝突した場合があります。他人の車が壊れて修理をしなければいけないので、その修理費を補償するのが対物賠償になります。

対物賠償の補償範囲

多くの人が「対物賠償=相手の車の修理代」とイメージをしています。確かに相手の車の修理代も補償しますが、対物賠償は相手の車の補償だけではありません。対物賠償の補償範囲は大きく分けて「直接損害」と「間接損害」の二つがあります。

直接損害と間接損害

直接損害とは目に見えて壊れたと解る物の損害になります。相手の自動車、自転車、お店、他人の家など、他人の所有物自体に損害を出してしまうことです。

間接損害とはものが壊れたことが原因で発生する、目に見えない損害の事です。店舗の売上などが該当します。

例えば、あなたが運転中にあやまってコンビニの店舗にぶつかったとします。壊してしまった店舗の修理をするために、店舗を数日間休みにしなければいけない状況になりました。

事故が無ければそのコンビニは休まず営業して売上を出すことが出来るます。しかし、事故のせいで修理している間、売上が出ません。この売り上げが「間接損害」になります。対物賠償はこの本来営業していれば発生した売上も補償します。

対物賠償をいくらに設定すれば良いか

対物賠償の補償額は設定金額を選択する形式になっています。保険会社により設定金額は多少異なりますが、「500万・1000万・2000万・3000万・5000万・無制限」という設定金額に分かれています。

いくらに設定するかについては保険を販売する人でも意見が分かれます。私は保険代理店で保険を販売しています。他の代理店から当社に保険を乗り換える人の補償を見ると、「500万円」や「1000万円」の設定額になっている人がいます。

事情を聴くと、以前の代理店から「そんなに運転をしないのであれば、事故の可能性が低いから対物賠償は500万円で良い」、「高級車にぶつけても1000万円あれば十分だ」と言われてその金額に設定したようです。

しかし、この理屈では先ほど記載した間接損害を想定していないのです。保険を販売する人でも間接損害による対物賠償の補償のイメージが出来ないのが現状です。

それでは対物賠償の補償額はいくらにすれば良いのでしょうか。私はお客様に対物賠償は無制限以外の選択肢はないとアドバイスします。

なぜ無制限にしなければならないのか、これから理由を説明していきます。

無制限の理由

当社のお客様に無制限を勧めると、「近所を運転するぐらいだから、そんなに必要ないでしょ?」「高級車が前にいたら慎重に運転するから大きな補償なんていらないよ」と最初は言います。

しかし、「近所を運転する」と言っても多くの人はスーパーやコンビニへ買い物をする時に車を利用します。

その場合、先ほど記載したように店舗にぶつけてしまった場合には休業中の店舗の売上を補償しなければなりません。売上を補償しなければいけない場合、一日でも数百万の補償になる可能性があります。

高級車にはぶつけないという人も、目に見えて高額に見える車だけが大きな損害になるわけではありません。

例えば、荷物を運ぶトラックの中に数億円の高額な商品を輸送している場合もあります。その場合、賠償額が億単位になります。下記は過去に発生した対物賠償の高額支払い事例になります。

交通事故高額判決例(物損事故)
認定総損害額* 裁判所 判決年月日 事故年月日 被害物件
2億6,135万円 神戸 1994年7月19日 1985年5月29日 積荷(呉服・洋服・毛皮)
1億3,580万円 東京 1996年7月17日 1991年2月23日 店舗(パチンコ店)
1億2,037万円 福岡 1980年7月18日 1975年3月1日 電車・線路・家屋
1億1,798万円 大阪 2011年12月7日 2007年4月19日 トレーラー
1億1,347万円 千葉 1998年10月26日 1992年9月14日 電車

出典:ファクトブック2015日本の損害保険(一般社団法人日本損害保険協会)

(※)認定総損害額とは、被害者の損害額(弁護士費用を含む。)をいい、被害者の過失相殺相当額を控除する前の金額を表しています。

積荷の事故は、先ほど書いた商品の破損による補償になります。店舗、電車は修理費の他に売上の賠償により高額になります。トレーラーも特殊なトレーラーの場合、修理費の他にトレーラーを使えない期間の売上を補償するため高額になったと考えられます。

このように、自分が想像する以上に対物賠償の補償範囲は広く、間接損害による支払いが高額になる可能性があります。仮に対物賠償を500万円に設定した人が1億2000万円の損害を出した場合、保険で補償されるのは500万円だけです。

差額の1億1500万円は全額自己負担で支払わなければなりません。普通の家庭では破産してしまうぐらいの金額になります。

「それだけ自己負担が抑えられるなら無制限にすると保険料高いでしょ。」とおもいませんか?

実は対物賠償500万円と無制限の支払う額(保険料)の差は年間でたった900円前後です。年間900円で億単位の自己負担を抑えることができるのです。

以上ことから対物賠償は無制限にすることを勧めます。

無制限なら全てが安心か

対物賠償を無制限で契約するお客さんから、「これで相手から要求された賠償を無制限に支払ってもらえるから安心です」と言われることがあります。しかし、相手の要求する賠償額を全て支払えるわけではありません。

対物賠償で支払える賠償額にはルールがあります。

対物賠償の補償額は時価額まで

対物賠償の補償は「壊れた物」に対して、「時価額」を上限として補償するというルールがあります。時価額とは壊れた物を買い替える場合、中古で出回っている市場価格のことです。

例えば、事故した相手の車が8年前のプリウスだったとします。プリウスが今後乗れないぐらい壊れてしまった場合、同じプリウスを中古市場で購入すると平均で120万円で購入できると判明しました。その結果、壊れたプリウスの時価額は120万円となります。

もし仮に相手が、「こんなひどい目に遭ったのだから、新車のプリウスを用意しろ」と言われても時価額の120万円以上は出せないのです。

新車購入まで行かなくても、「自分のプリウスは市場に出ている中古のプリウスと違って、色んな装備が付いているから120万円じゃ足りない」と主張してくる場合もあります。

しかし、車それぞれのこだわりを時価額に計算できるわけでは無いので、あくまでも120万円まで補償することになります。

このように対物賠償は相手の要望通りに賠償が出来るわけではないことを理解してください。

時価額を超えた修理金額を補償するオプション

対物賠償の賠償で一番トラブルが多いのが、相手の車の修理費についてです。この修理費のトラブルをある程度回避してくれるのが「対物超過修理費用」というオプション(特約)です。

この特約は各保険会社によって名前が異なります。「対物超過特約」、「対物全損時修理差額費用」などと呼んでいる会社もあります。

具体的に説明します。あなたが運転中に誤って前方の信号待ちの軽自動車に追突したとします。相手の車をあなたの自動車保険の対物賠償で修理する事になります。修理費用は全部で50万円という事になりました。

しかし、相手の車が乗り始めてから10年経った車で時価額が30万円ということになりました。先ほど書いたように対物賠償の補償は時価額が限度になります。

その結果、相手の修理費が50万円であっても保険で補償する金額は時価額の30万円になります。差額の20万円は相手の自己負担で修理をしてもらうことになります。

当然、相手は不満を言ってきます。「なんで自分は悪くないのに20万円も自己負担で修理しなければいけないのか?」と言い寄ってきます。

あなたの保険会社は時価額以上の金額を出すことはありません。時価額までの補償が自動車保険の対物賠償の上限だからです。交渉もここまでになります。その場合、もしかしたら相手があなたに「差額の20万円を支払え!」と詰め寄ってくるかもしれません。

このようなトラブルの時に「対物超過修理費用」が役に立ちます。

対物超過修理費用とは

対物超過修理費用とは相手の修理費が時価額を超えてしまった場合、その差額の費用を補修します。先ほどの例で言うと時価額30万円に対して修理費が50万円でした。差額の20万円を対物超過修理費用で支払うことになります。

対物超過修理費用は時価額と修理費の差額を最大50万円まで補償します。差額の修理費を50万円まで補償すれば、ほとんどの修理費についてのトラブルは回避できます。

注意点は、被害者が「修理」ではなく、車の「買い替え」を要望した場合、支払えるお金は修理代ではなく、時価額までとなります。

先ほどの図を例にすると、相手が「修理」を要望した場合は130万円まで補償されます。しかし、「買い替え」を要望した場合、相手には時価額の100万円まで補償されます。対物超過修理費用は、あくまでも修理を要望された場合のみ補償されます。

時価額を超えても修理を希望してくる人の例として、壊れた車がすでに販売していないような車や、愛着のある車の場合などがあります。

対物超過修理費用はソニー損保などでは自動で付いています。しかし、多くの保険会社はこの対物超過修理費用は「オプションを選択する形」になります。

私は自動車保険を提案する際にこの補償は必須で入れてもらいます。時価額と修理費の差額についてのトラブルを契約者の多くが経験しているからです。

事故を起こしても安心して相手の修理費を補償したいのであればこの特約は必ずつけてください。

まとめ

今回は対物賠償保険について書いてきました。対物賠償保険で抑えてもらいたいポイントはこちらになります。

・対物賠償とは相手の物に対する賠償

・対物賠償は目に見える物(直接損害)だけでなく、売り上げなどの間接損害も発生する

・対物賠償保険の補償額は無制限にすべき

・対物賠償は時価額までしか補償されない

・修理費と時価額の差額を補償する「対物超過修理費用」はおすすめ

以上が対物賠償についてのまとめになります。対物賠償以外にも自動車保険にはいろいろな補償があります。

全てを理解するのは大変ですが、基本の4つの補償である、「対物賠償」「対人賠償」「人身傷害」「車両保険」これだけは理解して保険に加入することをおすすめします。

自動車保険を契約する人に知ってほしい対人賠償保険について

あなたは初めて自動車保険について調べたとき、「当たり前のようにどの保険会社も対人賠償って書いてあるけど、対人賠償ってそもそも何?」「対人っていうぐらいだから人に対しての補償だろうけどどこまでの人を補償するの?」と疑問に思いませんか?

自動車保険の中で「対人賠償責任保険」と「対物賠償責任保険」は基本の補償になります。しかし、基本の補償の中に様々な内容が含まれているため、専門家でも間違えてしまうぐらい奥の深い補償でもあります。今回は「対人賠償責任保険」について詳しく解説します。

対人賠償責任保険とは

対人賠償は「対人賠償保険」「対人賠償責任保険」と呼ばれる保険です。このページでは「対人賠償」と呼ぶことにします。

対人賠償は車を運転中に事故で人を死傷させてしまった場合に補償する保険になります。

よく、「対人賠償って人にぶつけた場合の保険ですよね?」と言われますが、人(歩行者)だけでなく車との事故で相手を死傷させた場合も対人賠償の補償になります。

対人賠償の金額はいくらにすれば良いのか?

対人賠償という言葉の意味が解っても、「対人賠償の補償額はいくらにすれば良いのか?」という疑問がうまれます。

自動車保険での対人賠償は設定金額として「5000万円」から1000万円単位で「2億円」まで設定可能ですが、それ以上の補償は無制限を選択することになります。

私は保険代理店を経営していますが、私のお客さんには全員に無制限をおすすめしています。おすすめするというよりは、「無制限以外なら当社では契約できません」と言います。

それは、人に対しての賠償額というのは高額になるからです。下記は車の事故で相手側に支払った高額賠償額の一部です。

認定損害額 性別・年齢 職業 損害
約5億2,800万円 男性・41歳 医師 死亡
約3億9,700万円 男性・21歳 大学生 後遺障害
約3億8,200万円 男性・29歳 会社員 後遺障害
約3億7,800万円 男性・23歳 会社員 後遺障害
約3億6,700万円 男性・38歳 医師 死亡
約3億6,500万円 男性・14歳 中学生 後遺障害

(損保ジャパン日本興亜ホームページより一部抜粋)

事故で亡くなる場合より、事故により大きな後遺障害を負わせる方が高額な賠償になります。今後の生活に多額の経済的な損失を負わせてしまうからです。

もし対人賠償の補償額を「5000万円」にして上記のような高額な賠償を負うことになったら、あなたはどうしますか?

保険で支払う5000万円以上は全額自己負担です。億単位の自己負担が発生することが理解できれば無制限以外に選択する考えは出ません。

ちなみに、「5000万円」と「無制限」の契約者が支払う保険料の差はいくらか想像できますか?

5000万円から無制限に補償を上げても年間で約3000円から5000円です。このぐらいの保険料の差で億単位の自己負担をする必要がなくなるのです。

以上のことから、対人賠償の補償は「無制限」をおすすめします。

誰が対人賠償を使えるのか?(被保険者の範囲)

対人賠償は誰でも保険を使うことが出来る訳ではありません。むやみに保険を使用されるのを避けるためです。

例えば、無断で第三者が勝手に車を運転して事故を起こし対人賠償を使いたいと言われても、契約者は困ります。

そのため「被保険者」と呼ばれる、保険を使うことが出来る人があらかじめ決まっているのです。対人賠償を使える運転者は図の人たちになります。

このように契約者、もしくは主に運転をする人(記名被保険者)の家族及び記名被保険者が使用を認めた人が車を運転した場合に対人賠償は使用することができます。

先ほど記載した通り、自分の知らないところで事故を起こされ、保険を使用されると困ります。そのようなトラブルを避ける意味でも、対人賠償を使える人の範囲は決まっています。

対人賠償で保険が支払われない場合

対人賠償で補償をして欲しいと思っても保険の支払いが出来ない場合もあります。どのような時に対人賠償で保険が支払われないのか解説します。

①契約者、記名被保険者などの故意によって事故が起きた場合の損害

「故意」とは「わざと」という意味です。誰かにケガを負わせたいとわざとぶつかった場合は対象外となります。

②戦争、内乱、暴動などの異常な事態によって生じた損害

日本では起きにくい話ではあります。上記のような状態で交通ルールを無視して道路に車や人が押し寄せている状態で事故が起きても補償ができません。

③地震・噴火またはこれらによる津波によって生じた損害

地震・噴火・津波は大規模な災害になります。地震・噴火・津波で対人賠償の事故を起こした件数が1件だけということにはなりません。他の人も同じような状態で事故を起こします。その結果、かなりの数の対人賠償を保険会社が支払わなければなりません。

そのようなことをしてしまうと保険会社が倒産してしまうので、支払いの対象から外しています。これは対人賠償に限らず、自動車保険や火災保険などの損害保険全体に言えることです。

④台風、洪水、高潮によって生じた損害

これも③の災害と同じ理屈になります。災害は自分でコントロールできない状態で事故が起きてしまいます。例えば運転中に洪水で流され、避難している人や建物にぶつかってしまう場合です。

これは自らコントロールできない状態での事故になります。そして災害の場合、自分自身だけでなく災害にあった地域全てに起こりうる事故になります。

多くの事故が起きてしまう可能性の高い災害の場合、対人賠償は支払うことができません。

⑤被保険自動車を競技、曲技もしくは試験のために使用すること、または被保険自動車を競技、曲技もしくは試験を行うことを目的とする場所において使用することによって生じた損害

サーキットやレース場で速さを競うような使用時、もしくは映画やドラマの撮影で派手なカーアクションの撮影時などで起きる対人賠償は補償の対象外となります。

自動車保険は一般の道を運転している時に起きる事を想定しています。一般道での運転に比べてレースやカーアクションなどの激しい運転では事故を起こす可能性が全く異なります。このような場合には補償されません。

⑥契約者又は記名被保険者、運転していた被保険者の家族を死傷させた場合の損害

家族を死傷させた場合、対人賠償は自分の家族には補償されません。自宅の敷地内で運転していて誤った走行で敷地にいた家族にケガを負わせた場合です。被害者とその家族へ賠償するのが保険の前提です。

この場合、賠償金を加害者の家族に支払うということになるため補償の対象外となります。簡単に言えば「家族内の事故は自己責任でやってください」という事です。ただし、家族の定義が一般的な家族とは異なります。下記が対人賠償における家族の範囲になります。

このように事故を起こした被保険者の兄妹は対人賠償の対象となります。細かい理由は保険会社の社員に聞いても解りませんでした。おそらく親や子供よりは親族による交流が少ないという点だと考えられます。

遺産相続などで争うのも兄弟同士が多いので、親子関係と比べて兄弟間は事故したときに恨まれる可能性が高いのが理由なのかもしれません。

無免許や酒気帯び運転の事故は補償されるのか?

無免許運転や酒気帯び運転も①と同じような故意による事故で補償されないのではと思いませんか?

しかし、無免許運転や酒気帯び運転は対人賠償が補償されます。これは被害者救済の観点から補償されます。運転者に過失のある事故ではありますが、被害者が憎くて起こす故意の事故とは異なります。

無免許運転、酒気帯び運転の事故は対人賠償で補償されるのです。

対人賠償は同乗者も補償される

あまり知られていませんが、対人賠償は自分と同じ車に乗っている人も補償されます。家族以外の人を乗せていて事故が起きた場合、対人賠償を同乗していた人に利用することが出来ます。

友人や知人などは対人賠償で補償できるという事です。なお、先ほど記載した保険が支払えない内容の通り、運転者の家族は補償されません。

当社でも契約者と同じ車に乗っている人に対人賠償で保険を使った例があります。

友達を助手席に乗せて運転していた時に誤って壁に衝突した事故がありました。運転者である当社の契約者と同乗している友達それぞれケガを負ってしまいました。その時、運転者の友達は対人賠償補償を利用しました。

同乗している友人に万が一のことがあった時にしっかり補償できる対人賠償を適用することで、安心して治療に専念できます。このように対人賠償は単に事故の相手だけではなく、家族以外の同乗者も補償されます。

対人賠償と自賠責保険との関係

自賠責保険というのは対人賠償と同様の補償になります。つまり、運転中に他人を死傷させてしまった場合に補償されます。自賠責保険は「自動車損害賠償保障法」という法律により原付自転車を含めた全ての自動車に加入が義務付けられる保険です。

当社の契約者から「対人賠償と自賠責保険の違いって何ですか?」という質問をされることがあります。私はその時に「相手にケガを負わせた場合に最初に自賠責保険からお金を出します。自賠責の補償の上限を超えたら対人賠償から相手にお金を出します」と説明します。

自賠責保険は自動車を購入する際や車検を通す際に合わせて加入することが多いです。自賠責保険は加入が義務付けられているので「強制保険」、自動車保険は「任意保険」と呼ばれます。

自賠責保険の補償には上限があります。その上限を超えた補償が出た場合、自動車保険の対人賠償が補てんをする形になります。

このように、自賠責保険の上乗せとして対人賠償の補償があるのです。一番気を付けてほしいのは「自賠責保険に入らず自動車保険の対人賠償の補償をすることはできない」という点です。

たまに車検を通すことを忘れてそのまま車に乗っている人がいますが、それ自体が違反行為になります。

そして、車検を通さないと自賠責保険も期限が切れていることが多いです。そのような時に事故を起こして相手にケガをさせた場合、いくら自動車保険に入っていても自賠責保険に入っていなければ補償がされないのです。

自動車保険の対人賠償はあくまで自賠責保険の上乗せの補償だからです。家で例えると家の土台が無いのに屋根を付けることが出来ないのと一緒です。

自動車保険に入ることも大事ですが、それ以上に自賠責保険の補償を切らさないことが大事です。簡単にチェックする方法は車検の期限を覚えておいて車検を必ず通すことです。車検の検査項目に自賠責保険の加入の有無も含まれているからです。

自賠責保険の上乗せで対人賠償の補償があるというのを覚えてください。

まとめ

今回の対人賠償についての説明を簡単にまとめます。

①対人賠償は事故で相手を死傷させた場合に補償される保険

②自賠責保険の賠償の上乗せで自動車保険の対人賠償がある

③対人賠償の補償は無制限に設定する

④対人賠償を使える人には範囲がある

⑤対人賠償では支払われない場合もあるので注意が必要

⑥同乗している友人、知人も対人賠償の対象になる

以上が対人賠償についてのまとめになります。対人賠償以外にも自動車保険には様々な補償があります。

すべてを理解する必要はないですが、基本の4つの補償である、「対人賠償」「対物賠償」「人身傷害」「車両保険」これだけは理解して自動車保険に加入することをおすすめします。

日常・レジャー使用なのに通勤中に事故!~使用目的外の自動車保険の補償について~

あなたは、保険契約の時に決めた使用目的以外で事故が起きた場合、保険は適用されると思いますか?

これは実際に私の所へ事故相談として入ってきた事例です。相談者は普段、電車通勤でマイカーを利用するのは休日ぐらいでした。自動車保険の契約で「使用目的」は「日常・レジャー使用」でした。ここまでは何の問題もありません。

相談者が転勤を機にマイカー通勤になりました。相談者は通勤も「日常」だと思い、そのままの「日常・レジャー使用」でマイカー通勤をするようになりました。そんなある日、通勤中に事故を起こしてしまいました。保険会社に連絡をしたところ「契約者様の使用目的は日常・レジャー使用のため、通勤中の事故は補償されません」と言われてしまいました。

この相談者のように今まで休日以外にマイカーを利用する人が「使用目的」について深く理解しようと思う機会は少ないです。

しかし、実際に事故が起きた場合に「使用目的を理解していませんでした」と言っても、保険会社は補償しないかもしれません。使用目的を理解することはとても重要なことです。このページを読んで、ぜひ使用目的を理解してください。

自動車保険の使用目的とは何か?

「使用目的」と聞いても、良く解らない人もいるのではないでしょうか。まずは自動車保険における「使用目的」の定義、仕組みについて説明します。

使用目的の仕組みについて

「使用目的」とは、契約者が自動車を普段どのような目的で運転するかを区別するための仕組みです。主な使用目的は、「日常・レジャー使用」「通勤・通学使用」「業務使用」の3つです。それぞれの使用目的の説明をまとめました。

このように、「日常・レジャー使用」が一番運転する機会が少ない人になります。反対に「業務使用」の人は自分の車を運転する機会が一番多い人です。仕事中でも休日のドライブ中でも事故の場合は保険で補償されます。

なぜ使用目的を細かく分けるかというと、使用目的ごとに事故率が変わるからです。当サイトの別記事で走行距離と事故率が比例すると記載しましたが、それと理屈は同じです。

自動車の運転を休日に利用する人と、通勤で利用する人では運転する頻度も距離も違います。

国土交通省の「現状の交通等の分析」という統計によると、「日常・レジャー使用」の人の走行距離は約35キロになります。 「通勤・通学使用」の人の一日の平均走行距離は約10キロです。それを一週間のうち5日間通勤と計算しますと、1週間の走行距離は約50キロになります。

業務で利用する人の走行距離は一日約14キロになります。通勤と含めますと一日24キロになります。業務使用の一週間の走行距離は約120キロになります。日常レジャー使用の一週間の走行距離は一週間で約35キロなので、業務使用と日常レジャー使用の一週間走行距離の差は85キロになります。これだけ使用目的の違いで、一週間の走行距離は変わります。

このように、使用目的と走行距離には因果関係があることが判ります。おのずと走行距離の多い使用目的の場合、事故率も上がるのです。

走行距離で保険料を変えるのと同様で、それぞれの目的ごとに異なる事故率に対して保険料の不公平感をなくすために使用目的を設けています。

使用目的ごとの保険料について

先述のように使用目的ごとに保険料は変わります。それでは実際に、使用目的ごとにどのぐらい保険料が変わるのでしょうか。ここでは使用目的ごとにどのぐらい保険料が変化していくのか見ていきます。

具体的な対象車両と補償内容は以下の設定になります。

【対象条件】

保険契約者(記名被保険者)

・37歳男性

・免許の色:ゴールド

・等級:16等級

※等級とはその人の事故状況によって保険料を決める、ランクのようなものです。最初は6等級から始まり、無事故であれば毎年1等級ずつあがり、最大20等級まであがります。

対象自動車:トヨタ・プリウス(型式:DAA-ZVW30)

初度登録:平成26年5月

【年齢条件】:35歳以上

【運転者限定】:本人・配偶者限定

 

〇補償内容

【対人賠償】:無制限

【対物賠償】:無制限

(対物全損時修理差額費用特約付き)

【人身傷害】:5000万円(乗車中のみ)

【車両保険】:一般条件

(自損事故まで補償するタイプ)

車両価格145万円 自己負担0円・2回目以降10万円

【その他特約】:弁護士費用特約(自動車事故のみ)

上記の条件を基に、それぞれの使用目的の保険料を下記にまとめました。

使用目的ごとの保険料比較

使用目的 日常・レジャー使用 通勤・通学使用 業務使用
保険料  84,520円  90,940円 98,120円

~代理店型損害保険会社にて見積もり~

日常・レジャー使用と業務使用では保険料の差額が13,600円になります。かなりの差額が発生します。

正しく決めなければならない使用目的

先ほどの図からもわかるように、使用目的ごとの保険料に差額が出ます。しかし、使用目的で保険料の差額があることを知らない人も多いです。

「そこまで徹底して使用目的を明確にしなければならないの?」「使用目的が変わっても保険会社に連絡する必要あるの?」と質問をされることもあります。しかし、使用目的は自分の運転する目的に合わせて正確に設定しなければなりません。その理由をこれから説明していきます。

使用目的の告知義務

自動車保険を契約するにあたり、保険会社は契約者に対して使用目的を告知義務としています。

~損保ジャパン日本興亜㈱重要事項説明書より一部抜粋~

なぜ契約者が保険会社に告知義務をするのかというと、告知義務の該当項目には保険料の変動が生じるためです。

例えば告知義務に「記名被保険者の生年月日の告知」があります。「記名被保険者」とは契約自動車を主に運転する人の事です。年齢条件について詳しく書いた記事がありますが、記名被保険者の年齢によって保険料は大きく変わります。

使用目的もこれとおなじです。保険料に反映される項目である以上、使用目的は正しく正確に告知する義務があるのです。

使用目的に対する告知義務違反

使用目的を告知するときに嘘をついた場合は、告知義務違反として補償されない可能性があります。先ほど記載した通り、告知義務の項目は保険料に反映されます。

記名被保険者の生年月日を例にすると解りやすくなります。例えば年齢条件で21歳以上の条件に当てはまる人が、高い保険料になるのを避けるため、記名被保険者の生年月日を35歳以上に設定できるように嘘の告知をしたとします。

その結果、保険料は安くなります。しかし、実際に事故が起きた時に記名被保険者の生年月日は保険会社にばれてしまいます。なぜなら、警察に届け出る事故証明で免許提出の義務があるからです。

保険会社は事故証明書を取り付けた結果、告知義務違反と判断し、保険は効かない(補償されない)ことになります。

このように、告知義務違反というのは保険の補償を受けられない可能性があります。

使用目的以外で運転中に事故を起こしてしまった場合

使用目的について契約者は正確に告知する義務があることは理解できたと思います。しかし、月に数回程度通勤で使う人は「通勤・通学使用」にしなければならないかというと、必ずしもそうではありません。

保険会社によっては使用目的の境目があいまいな場合があるからです。例えば、東京海上日動火災の使用目的ごとの目安がこちらになります。

業務使用:契約の自動車を年間を通じて平均月15日以上仕事(通勤を除きます。)に使用する場合

 

通勤・通学使用:契約の自動車を年間通じ平均15日以上運転者自らの通勤・通学に使用する場合

このように、日常・レジャー使用の契約者が月平均で14回程度の通勤使用や業務使用した場合でも補償されることがあります。使用目的以外の使用でも、上記の条件を満たせば補償される可能性があるのです。しかし、「使用目的外で事故をした場合でも本当に補償されるの?」という疑問が出てきます。

そこで、私の経験も踏まえながらどのような場合には目的以外の利用でも補償されるのか。反対に補償されないのか。説明いたします。

使用目的外の事故で保険が支払われる事例【代理店型】

東京海上日動、三井住友海上などの大手損害保険会社の自動車保険。いわゆる「代理店型」の使用目的外の事故については、補償される可能性が高いです。

代理店型の自動車保険は通販型自動車保険と異なり、「走行距離」の告知はありません。そのため、使用目的外で事故をした場合にどのぐらいの頻度で目的外の利用をしたか確認をされることはありますが、走行距離を調べるなどの細かい調査は入りません。

当社で実際にあった使用目的外の事故を例にします。当社の契約者が日常・レジャー使用目的であったにもかかわらず、職場の駐車場で事故を起こしたときがありました。

当然職場の駐車場の事故では日常・レジャー使用とは言えません。完全な通勤使用になります。保険会社から使用目的外の指摘を受けました。

しかし、普段は自転車通勤でその日はたまたま自動車通勤という話をしたところ、細かい調査は無しで保険使用を認められました。

この経験から、使用目的外でも初回の事故については比較的簡単に補償されると言えます。

使用目的以外の事故で保険が支払われる事例【通販型】

通販型の保険会社も日常レジャー使用と通勤使用の境目はあいまいです。上記の図と同じような規定の保険会社が多いです。

ただし、代理店型と異なるのは「走行距離」で保険料が変動する会社の場合です。

先ほどと同じ状況を踏まえて説明します。「日常・レジャー使用」の契約者が勤務先で事故をしてしまった場合、代理店型の会社は先述の通り通勤で使用する場合の頻度をヒアリングされたのみでした。しかし、走行距離で保険料が変わる通販型の会社では頻度以外に「走行距離」の調査やヒアリングを実施されるかもしれません。

「通勤使用は週1回程度です」と主張しても、調査により走行距離が契約当初に申告していた走行距離を超えていた場合、ほぼ毎日通勤で使用していると判断されます。この結果、保険の使用が認められない可能性もあります。

走行距離を申告する通販型保険会社の場合、使用目的については代理店型よりも慎重に選択する必要があります。

使用目的以外の事故で保険が支払われない事例【代理店型】

代理店型で保険金が支払われない事例もあります。私の経験としてあるのは、数回使用目的外の事故で保険金を支払った場合です。

これは少し特殊な例なので今回の内容に該当するか難しいですが、使用目的外により補償できないという判断だったので紹介します。

それは当社に予約なしで来店してきた人の話です。その人は自動車保険の新規契約を希望してきました。新規契約は今まで自動車保険に加入したことがないということです。しかし見た目は40代前半ぐらいの人なので、今まで自動車保険に未加入なのは怪しいと判断しました。そこで、とりあえず契約手続きをして、その人の過去の保険契約した履歴があるか保険会社に依頼しました。

その結果、保険会社よりこの人が別の保険会社で以前トラブルがあったことが発覚しました。以前の保険会社で使用目的外の複数使用で最終的に保険の使用を認めないことが判明しました。

恐らくその人は別の保険会社ならバレないだろうと当社に予約なしに来店し契約を希望したのだと思います。

具体的な規定は無いので何回というのは難しいですが、保険会社は一度目の目的外使用の際に使用目的の変更を促します。そのまま変更せずまた使用目的外で事故をした場合に、細かい調査が入るかもしれません。

そのため今後も目的外使用が続くようであれば、使用目的の変更をお勧めします。

使用目的以外の事故で保険が支払われない事例【通販型】

通販型の場合は代理店型よりも使用外目的で補償が支払われない可能性が高いです。代理店型よりも通販型の方が支払いに厳しい理由は、契約者からの保険料の安さで差別化を図っているからです。無駄な出費を抑えなければ保険料の安さを維持できないため、事故の保険金の支払いに厳しくなるのです。

通販型の保険会社に使用目的外利用について確認したところ、明確な回答をもらうことはできませんでした。しかし、以前通販型保険会社に質問をした際に下記のような回答をもらったことがありました。

上記の内容で「告知義務違反、通知義務違反では保険金を支払わない」と記載されています。使用目的は「告知義務」で、使用目的の変更は「通知義務」になります。これに違反すると「補償されない。契約解除される場合がある」と回答がきました。

通販型の使用目的外の事故は初回から補償されない場合や徹底した調査をされるかもしれません。日常レジャー使用で通勤に使用する回数が、一ヶ月に12から14回程度の人は念のため通勤使用にする方が良いかもしれません。

使用目的を迷った時にどちらにするかを選ぶ方法

今までの内容から見て使用目的外の車の利用について、告知義務違反という厳しい面もありますが、「反対に使用回数が月平均14回以下なら日常レジャー使用で大丈夫」など非常にあいまいな部分が見られます。

「月平均14回以下の使用なら良いと記載されているのに、なぜ二度使用目的外の利用で補償されないの?」と感じる人もいるでしょう。

しかし、保険会社の立場とすると正確な告知をして通勤使用の保険料を支払う人と、保険料を安くするために虚偽で日常レジャー使用と告知する人の不公平を出してはいけません。

そうは言っても自分がどちらの使用目的を利用すべきか迷う原因にもなります。

無駄のない使用目的の決定方法

そこで使用目的の選択に迷った時にどちらにした方が良いか、一つの指標としてフローチャートを用意しました。

私の経験上、代理店型と通販型には保険支払いについて明確な優劣があります。代理店型は保険料が高いですが、非常に融通が効きます。そのためフローチャートでも「平均月15日以上の通勤通学使用しない人」で代理店型を選択する人は日常・レジャー使用にしました。

通販型は保険料が安い分、保険金支払いは非常に厳格です。そのため月平均10日程度でも、日常レジャー使用の人と同じぐらいの走行距離(10,000キロ以下)を申告する人は「通勤・通学使用」をお勧めします。

「日常・レジャー使用」にしてしまうと使用目的外の事故で補償されない可能性があるからです。通販型の「通勤・通学使用」にしても、代理店型の「日常・レジャー使用」よりも保険料は安いかもしれません。

一括見積などで「日常・レジャー」と「通勤・通学使用」で通販型と代理店型の両方から見積もりを取って比較してみてください。見積もりの結果、通販型の通勤使用が代理店型の日常レジャー使用より安い結果が出るかもしれません。保険料で保険会社を選定する場合には利用してください。

使用目的を契約途中で変える

通勤使用の頻度が日常レジャー使用の範囲に入るため、どちらにすべきか迷った場合には契約途中で使用目的を変えることも保険料を抑える一つの方法です。契約途中で使用目的を変更した場合、月単位で保険料が変動します。

例えば契約当初は週に1回程度の通勤使用と想定した人が、使用目的を日常レジャー使用にしたとします。しかし、月を重ねるたびに通勤使用の頻度が多くなりました。週に3回程度利用することになった時点で使用目的を変更するのです。

そうすればその月から残りの契約日までの保険料が通勤使用の保険料になります。この場合、契約当初から通勤使用にした人と比べると年間保険料を抑えることが出来ます。

このように契約の開始時点で通勤使用の頻度が少ない場合、日常レジャー使用で契約をします。そして契約途中から通勤使用の頻度が多くなった場合、使用目的を変更します。こうすることで契約開始から通勤使用で契約するよりも保険料が年間で3,000円近く安くなります。

この方法を利用すると補償されるか否かの心配する必要もなくなり、保険料も抑えられます。

契約するときに使用頻度が月15回前後のあいまいな場合には、このように契約途中の使用目的の変更も検討してください。

まとめ

車を買ったばかりでこれから通勤・通学でどのぐらい利用するのか解らない人は、使用目的を決めるのは難しいです。先ほどのフローチャートを見ながら使用目的を決めるのも解決の一つです。とりあえず使用目的を日常レジャーにしておいて、契約途中で通勤通学使用に変更するのも一つの方法です。

しかし、どちらの方法でも不安が残る場合には使用目的を「通勤・通学」使用にする事をおすすめします。日常レジャー使用で契約しておきながら通勤で使う場合、「保険が効かなかったらどうしよう」と心配しながら運転するのは良くありません。

保険料を安く抑えることも大事ですが、補償内容や使用目的などの契約条件で嘘をついてまで保険料を安くしても意味がありません。結果嘘がばれてしまった時、保険会社は一切お金を支払ってくれないからです。

もしそれでも保険料を安くしたいと思うのであれば、使用目的などの条件をしっかりと申告する中でどの保険会社が一番安いかを選べばいいのです。

一括見積もりサイトで使用目的を「通勤・通学使用」に選択をして一番安い保険会社を検討する。これを行えば運転するときに「保険が効かなかったらどうしよう」と心配することもなくなります。

使用目的を正しく理解してそれに対応した条件で保険に加入することが一番大事です。

走行距離で保険料が変わる自動車保険の注意点

自動車保険のテレビCMで「保険料は走る分だけ」などと言う内容をよく見ます。当社の契約者からも「走行距離で保険料が変わるの?」という質問を良く受けます。

「なぜ走行距離で保険料が変わるのか?」「変わることにより契約者にとってメリットがあるのか?」「契約した走行距離より多くなると、いざ事故の時保険が使えるのか?」など、様々な疑問が出てきます。

仕組みを良く理解することで保険料を安く抑えることも、保険が使えないというトラブルを抑えることも出来ます。今回は走行距離によって保険料が変わる仕組みについて詳しく解説します。

走行距離により保険料が代わる理由

それでは走行距離で保険料が変わる理由を説明していきます。そもそもなぜ走行距離で保険料が変わるのでしょうか。それは走行距離と事故を起こす確率には因果関係があるからです。

なぜ走行距離の多い人が事故率が高いのか

走行距離が多いほど事故を起こす可能性が高いことには根拠があります。公益社団法人日本交通政策研究会の調査によると、走行距離に応じて事故を起こしかねない「ヒヤリ・ハット」の回数は走行距離1万キロあたり6回発生する可能性があります。

「ヒヤリ・ハット」とは、運転中にもう少しで事故になりそうな時に運転者が「ヒヤリ」と冷や汗をかいたり、急な歩行者の飛び出しなどで「はっ」と驚いたりする状況のことを言います。

この「ヒヤリ・ハット」の回数が、100回に1回の確率で物損事故(車と車の接触事故や電柱などにぶつかる事故)になる可能性があります。

人身事故(歩行者をぶつけてケガをした事故や相手車の搭乗者がケガを負う事故)の場合は、ヒヤリハットが1000回に1回起きる可能性があります。

ヒヤリハットの回数が増えると事故が起きる可能性が上がり、ヒヤリハットの回数が走行距離と比例します。

走行距離の多い人は日々の運転の頻度も多くなります。運転頻度が多いと運転に慣れてしまうので、最初の頃のような緊張感や注意力がつい失われてしまいます。また、普段同じ道を通る以外の慣れない道も運転することも多くなります。そうすると予期せぬ飛び出しや見通しの悪い道などに遭遇し、ヒヤリハットの可能性も高くなります。

このように、走行距離が多い人はヒヤリハットの頻度が多くなるので事故率も高くなるのです。

走行距離が少ない人は保険料が安い

なぜ走行距離が少ない人は保険料が安くなるのでしょうか。先ほどの理論から証明することが出来ます。先ほどのヒヤリハットの理論は走行距離が少ないと、事故率は低くなるというものでした。

事故が起きなければ保険会社は無駄な出費をすることはありません。事故が起きなければ契約者から支払われる保険料はそのまま保険会社の利益になります。

保険会社が利益を多く確保するためには、事故を起こす可能性の低い人と多く契約することが大事です。多く契約をしてもらうために、保険料を安くすることで魅力を感じてもらいます。このような理由で、事故の起こす可能性が低いとされる走行距離の少ない人の保険料が安くなるのです。

具体的な走行距離の申告について

それでは具体的にどのように走行距離を保険会社に申告するのか、保険を決めるときからさかのぼって説明します。

どのように走行距離を決めればいいか

まずこれから一年間でどのぐらいの走行距離になるのかを把握しなければなりません。通販型の保険の場合、何となくの概算で走行距離を決める人がいます。しかしこれは非常に危険です。

なぜなら、過大な距離の申告は保険料を多く支払うことになり無駄になります。反対に過少な距離を申告すると事故時に保険が使用できない会社もあります。

その意味でも、年間走行距離はしっかりと自分の運転状況を想定して申告してください。自分の走行距離を把握するために考えるべきことは、車を運転する頻度と車を使う理由の2点です。

例えば、使う頻度は休日のみ使用。使う理由は自宅周辺でショッピングをすると考えます。この場合、使う頻度は月に4日から8日程になります。

車を使う理由が自宅周辺のショッピングであれば片道10キロと想定します。往復20キロで月8回(20キロ×8回)で月の走行距離は160キロになります。年間走行距離は160キロ×12か月で1920キロとなります。このように自分の使用頻度、使用理由をイメージで来たところで下の表を参考に走行距離を決めてください。

使用頻度に応じた走行距離の目安

~ソニー損保HPより抜粋~

このように使用頻度や理由で走行距離を想定すると、実際の走行距離と誤差の少ない申告をすることができます。

保険会社に申告する方法

保険会社に申告する方法は一般的な方法として、現在のオドメーターを申込時に記入します。ここではイーデザイン損保で実際に申し込む画面をもとに説明します。まず見積りするときに過去1年間の走行距離を申告します。具体的に記載するところはなく、概算で昨年の走行距離を選択します。

~イーデザイン損保見積もり時の選択画面~

また、イーデザイン損保の場合、使用目的も選択します。休日のみ利用する人なら日常レジャー使用。通勤・通学で利用する方は通勤・通学使用。仕事でマイカーを利用する人は業務使用を選んでください。

さて、実際に契約の申し込み手続きをするときに再度前年の走行距離と現在のオドメーターの数値を記載する箇所があります。

~イーデザイン損保契約申し込み画面~

この時に自分の車のオドメーターを確認して記入します。

オドメーターの実際の数値を画像で提出するなどの手間はありません。これが走行距離を申告する手順になります。

申告よりも走行距離が多かった場合

申込をしてから1年が経ち、更新の時に走行距離を再度申告します。更新の時も申し込みと同じでオドメーターの走行距離を申告します。 その時、一年前の申告の走行距離と異なった場合どうすれば良いのでしょうか?

各社により異なりますが、当初より走行距離が多かった場合は追加で保険料を支払うところもあります。反対に走行距離が少ない場合は返金する会社もあります。これは走行距離の申告の不公平性をなくすためです。

例えば、通勤で利用しているのに休日使用の走行距離で申告すれば保険料は安くなります。しかし実際に1年が経過し走行距離を見ると、当初の申告より距離は多くなります。それを更新時に申告しなければ正直に申告した人と比べて不当に保険料が安くなってしまいます。それを防止する意味でも更新時にオドメーターの走行距離を申告する必要があるのです。

申告より大幅に走行距離が多い状態で事故が起きた場合

走行距離が契約時の申告より大幅に多い場合、保険会社によっては事故の時に保険が使えない可能性があります。先ほど記載したように、正確に年間走行距離を申告した人と、過少申告で保険料を安く抑える人の不公平をなくすためです。

また、走行距離だけではなく使用目的も変更する保険会社もあります。先ほどの例であげた契約当初は使用目的を休日のみ利用と申告した人が、通勤で使用することになった場合、契約途中でも保険会社に使用目的を通勤使用に変更しなければなりません。

もし使用目的も走行距離も変更の届け出をしないで事故を起こした場合は、保険が使えない可能性もあります。具体的にどの会社が申告より走行距離が多くなった場合に保険が使えない可能性があるかについては後述します。

走行距離別でどのぐらい保険料が代わるのか

実際に走行距離でどのぐらい保険料が変わるのか、具体的な事例を基に見ていきましょう。

具体的な走行距離の保険料の比較

ここではソニー損保の保険料を走行距離別に見ていくことにします。保険料を算出するにあたり計算根拠は下記になります。

保険契約者(記名被保険者)
・27歳男性・独身
・免許の色:ブルー
・等級料率:16等級・車名:トヨタ・プリウス(型式:DAA-ZVW30)
・初度登録:平成26年5月【年齢条件】:26歳以上
【運転者限定】:本人・配偶者限定補償内容
【対人賠償】:無制限
【対物賠償】:無制限
(対物全損時修理差額費用特約付き)
【人身傷害】:5000万円(乗車中のみ)
【車両保険】:一般条件
(自損事故まで補償するタイプ)
車両価格145万円 自己負担0円・2回目以降10万円【その他特約】:弁護士費用特約(自動車事故のみ)

この根拠を基に走行距離別に計算した保険料が下記になります。

ソニー損保 走行距離別保険料

年間走行距離 年間保険料(日常使用) 年間保険料(業務使用)
3000km以下 71,550円
5000km以下 76,690円
7000km以下 80,970円
9000km以下 88,030円
11000km以下 92,490円
16000km以下 108,650円 108,750円※
16001km以上 114,220円 108,750円※

※業務使用の場合、走行距離の申告は不要

ソニー損保の走行距離の区分は3000キロから2000キロ毎に保険料が変わります。一番保険料の差が大きいのは7000キロと9000キロになります。7,140円も保険料が変わります。恐らくこの差は休日のみ利用する人と通勤で毎日使う人の境目が7000キロから9000キロの間であるからだと考えられます。

ソニー損保は使用目的は細かく分かれていません。日常使用か業務使用のみです。そのため7000キロまでは他の保険会社で言う「日常・レジャー使用」の保険料で、9000キロからは「通勤・通学」使用という保険料の差を作っているのかもしれません。

業務使用は走行距離に関係なく一律108,750円です。16001キロ以上走行する人は業務使用の方が安くなります。

業務使用といっても日常使用で事故を起こした場合でも保険は効きます。年間16001キロ以上走行する人は業務使用も検討に入れることをお勧めします。

走行距離を導入している保険会社の比較

走行距離により保険料を変える仕組みを導入している保険会社は以下になります。

保険会社名 各社走行距離区分
ソニー損保

・3,000km以下

・5,000km以下

・7,000km以下

・9,000km以下

・11,000km以下

・16,000km以下

・16,001km以上(無制限)

SBI損保

・5,000km以下

・5,000km超~10,000km以下

・10,000km超~15,000km以下

・15,000km超

イーデザイン損保

・3,000km以下

・3,000km超~5,000km以下

・5,000km超~10,000km以下

・10,000km超

セゾン自動車火災

(おとなの自動車保険)

おとなの自動車保険は、過去1年間の走行距離に応じた走行距離区分で保険料を算出。
特に前年走行距離が10,000km以下の人にはおすすめ。
アクサダイレクト

・5,000km未満

・10,000km未満

・10,000km以上

チューリッヒ保険

・3,000km以下

・3,000km超~5,000km以下

・5,000km超~10,000km以下

・10,000km超~15,000km以下

・15,000km超~

そんぽ24

・4,000km未満

・4,000km以上8,000km未満

・8,000km以上12,000km未満

・12,000km以上16,000km未満

・16,000km以上

各社走行距離を契約時に申告する事に共通しているのは以下の項目です。

  • オドメーターの走行距離を確認し申告
  • 走行距離の申告方法は画像添付ではなく契約申し込み時に記入するのみ

私は最初、走行距離を保険会社が把握するために自分の車のオドメーターを画像として送るのかと考えてました。しかし実際にはそのような手間を掛けることは無いようです。自分でオドメーターを確認して契約申し込み時に記載するだけで済みます。

ただし気を付けなければならないのは、証拠を出さなくて良いからといって本来より少ない距離を記載するのは危険です。あきらかに故意に走行距離を少なく記載したと保険会社がみなしたときは保険の補償をされない可能性があります。

自動車保険に取って一番意味の無いことは、保険料を契約者が支払っているのに契約者の報告漏れなどのあやまちでいざという時に補償されないことです。くれぐれも申告は正確に記載してください。

保険会社別の走行距離変更の申告について

走行距離を導入している保険会社でも契約途中の走行距離の変更などの手続きについて、いくつか異なる点があります。先ほども書きましたが、契約者にとって「契約した時に想定していた走行距離が実際に乗ると多くなった場合補償はされるのか」という点が不安です。

例えば日曜日に近所を運転するぐらいと想定し、走行距離は年間3000キロと申告します。いざ実際に契約が始まると、家族で遠出のドライブに行ったり、冠婚葬祭で遠方に車で出かけたりしました。その結果、走行距離が5000キロを超えてしまいました。このような時には保険会社に走行距離の変更を依頼しなければならないのか不安になると思います。

変更を申告しなければならないのか。変更しなければ補償されないのか。今回、この点について保険会社に質問してみました。

その結果は各社によって回答が異なりました。各社の回答の違いは下記の表にまとめました。

契約途中での変更手続きについて各社の比較

 保険会社名 使用目的の変更 契約途中の走行距離の変更  申告距離を超過した場合の補償  走行距離増減による保険料の増減 
 ソニー損保 なし

(日常と業務使用のみ)

 なし 超過分の走行距離の差額保険料を開始日からさかのぼって支払えば補償される。 走行距離が少ない場合、翌年繰り越し割引あり(特約を付けた場合)
SBI損保 変更手続きあり なし 超過しても追加保険料なしで補償される。 過去1年間の走行距離から保険料を算出するため増減による変動は無し
イーデザイン損保 変更手続きあり なし 超過しても追加保険料なしで補償される。 過去1年間の走行距離から保険料を算出するため増減による変動は無し
セゾン自動車火災

(おとなの自動車保険)

変更手続きあり なし 超過しても追加保険料なしで補償される。 過去1年間の走行距離から保険料を算出するため増減による変動は無し
アクサダイレクト 変更手続きあり 変更手続きあり 少しの超過は補償されるが、超過を速やかに通知しないと補償されない可能性がある 超えた場合は差額を徴収。途中で増額手続き必要。走行距離が申告より少なかった場合には返金もある。
チューリッヒ保険 変更手続きあり 変更手続きあり  少しの超過は補償されるが、超過を速やかに通知しないと補償されない可能性がある  超えた場合は差額を徴収。途中で増額手続き必要。走行距離が申告より少なかった場合には返金もある。
 そんぽ24 変更手続きあり なし  超過しても追加保険料なしで補償される。 過去1年間の走行距離から保険料を算出するため増減による変動は無し

 

このように各社によって対応が異なります。気を付けなければならないのはチューリッヒとアクサダイレクトです。走行距離が多くなった場合は速やに変更手続きをしてくださいと回答されました。

明確に何キロ超えた場合は保険の補償はされませんという記載は無いですが、契約者が保険会社に通知しなければならない「通知義務」のなかに走行距離の変更が該当します。

走行距離が思ったより少ない場合には保険料の返金というメリットもありますが、それ以上に契約当初に選択した走行距離をしっかり覚えてなければいざという時に補償されないという点は不安があります。

使用目的は途中で変更する必要はあるのか?

ソニー損保以外の保険会社には「使用目的」が設けられています。「使用目的」については走行距離とは異なります。契約途中で変わる場合には変更手続きをする必要があります。

例えば「日常・レジャー使用」で契約をしたものの、契約期間中に月15回以上通勤や通学で車を利用することになった場合、「通勤・通学使用」に変更しなければなりません。

各社のホームページを見ると使用目的が異なっても年間や月間で数回通勤や業務で使用しても補償は可能と記載されています。そのため、「日常・レジャー使用」の人が変更手続きをしないで通勤中に事故をした場合、頻繁に通勤で使用しないことが証明されれば補償されます。

しかし、頻繁に使用しているかどうかを判断する材料として年間走行距離が使われる可能性はあります。いくら自分が月2回ぐらい通勤で使う程度と保険会社に言っても走行距離が契約時の申告よりもあきらかに多いとほぼ毎日通勤に利用したとみなされます。

走行距離を途中申告する必要の無い保険会社でも、このように使用目的が異なった場合には変更を保険会社に連絡をしてください。

まとめ

今回走行距離で保険料が決める保険会社の比較をしました。走行距離を採用する保険会社のメリットとデメリットをまとめました。

・ソニー損保

〇メリット

  • 業務使用がメインの運転になる以外に使用目的の変更をする必要が無い点
  • 走行距離の区分が2000キロ単位で細かく分かれているので保険料に無駄が少ない点
  • 特約で申告走行距離より1000キロ単位で少ない場合には繰り越し割引もされる点

×デメリット

  • 補償はされるが申告距離より超過した場合は差額保険料を支払う点

 

・イーデザイン損保、おとなの自動車保険、SBI損保、そんぽ24

〇メリット

  • 過去一年間の走行距離で保険料が決まるので契約途中での走行距離の変更がいらない点
  • 申告走行距離を超えて事故を起こしても追加の保険料を支払わなくていい点

×デメリット

  • 使用目的は変更しないと場合によっては保険が使用できない点
  • 申告した走行距離より少ない距離数でも返金は無い(ただし前年走行距離が少ないという事で更新後の保険料が安くなる可能性はある)

 

・チューリッヒ、アクサダイレクト

〇メリット

  • 走行距離が申告よりも少ない場合、速やかに申告すれば保険料が返金される

×デメリット

  • 走行距離が超えた場合、変更手続きをしなければならない
  • 走行距離の変更手続きをしないと事故の時補償がされない場合がある

以上になります。

毎年の保険料がどの保険会社が一番安いかを比較することも大事です。一括見積サイトでは走行距離を入力すると各社から見積もりが送られてきます。

保険料を比較することも大事ですが、今回のように走行距離が超えた場合なども想定してどこの保険会社が自分にとって最適かを検討してください。

自動車保険は必要?無保険でも大丈夫ではないのか?

仕事などで運転に慣れていて今まで事故にあったがことない人は、「自動車保険に入る必要あるのか?」「今まで事故したことないし、お金がもったいないから保険は入らなくていいんじゃないの?」「強制保険に入るのは購入先で聞いたから、それに入っていればいいんじゃないの?」と思う気持ちが出てきます。

確かに車を買う時にお金を使いますので、保険にまでお金を回すことが出来ないという気持ちはよくわかります。

しかし、その自分の運転への誤った自信が後で思わぬ悲劇をうむかもしれません。
そこで今回は「自動車保険入る必要あるの?」という疑問について解説していきます。

自動車保険は入らなければならないのか?

自動車保険は確かに安いものではないです。そして任意保険の加入の意志は運転手の自由です。しかし、自動車保険は絶対に入ってください。

私は保険を扱うものとして数多くの自動車事故を見てきました。中には保険に入っていない、無保険の人の事故の相談、対応をしたことも多くあります。無保険の人が事故をした後に必ず「これからは必ず任意保険に入ります」と言います。「保険に入る必要あるの?」と思う人は運転に慣れている人であっても、「自動車保険」のことを知らない人の考えです。

保険を知らない人にいくら「保険に入った方がいい」と言ってもピンときません。保険への理解、事故が起きてからの理解を深めれば、なぜ自動車保険に入るべきかが必ず解ります。

知っておくべき自動車保険の仕組み

そもそも自動車保険には二つの種類があることは知っているでしょうか?「自賠責保険(強制保険)」と「任意保険」と言えばわかる人もいるかもしれません。それぞれどんな保険なのか説明します。

自賠責保険(強制保険)について

自賠責保険とは「自動車損害賠償責任保険」の通称名です。車を運転する際に必ず入ることが法律(自動車損害賠償保障法)によって定められています。運転するときに加入することが義務、強制なので、「強制保険」とも呼ばれます。

自賠責保険は自動車との事故でけがをされた被害者を救済する保険です。自賠責保険の補償の特徴は大きく二つあります。

それは、補償内容、補償額は法律で決められているという点、もう一つはケガのみの補償で相手の車などのモノ(物損)は対象外であるという点です。一つずつ説明いたします。

まず、補償内容、補償額は法律で決められている点ですが、以下の内容で補償内容、補償額は決められております。

〇傷害による損害(事故で相手にケガを負わせた場合)
120万円(被害者一名につき)

〇後遺障害による損害(事故のケガで一部の機能などで回復の見込みが無い状態にさせた場合)
①神経系統の機能や精神・胸腹部臓器への著しい障害で、介護を要する障害
常時介護を要する場合(第1級)4000万円 (被害者1名につき)
随時介護を要する場合(第2級)3000万円 (被害者1名につき)
②上記1以外の後遺障害(第1級)3000万円~(14級)75万円(被害者1名につき)

〇死亡による損害(事故により被害者を死亡させた場合)
3000万円(被害者1名につき)

これは膨大な保険請求を公平、公正に支払う必要があるためです。現在でも自動車事故の件数が一日当たり平均で約1400件もあります。この件数を迅速かつ公正に保険金を支払うためには決まっている内容を決まっている金額で支払うことが必要です。そして、死亡・後遺障害・傷害それぞれに限度額があります。限度額以上の請求をされることがあるのか?それは後で記載をします。

もう一つの特徴である、モノの補償はしない点について説明します。自賠責保険というのは自動車事故による被害者のケガの補償になります。モノに対して補償をしない理由について、資料などで具体的な記載はないですが、被害者救済の観点から、人の体や命と比べれば、モノより人の方が大切だからです。

また、モノの補償は定型、定額で決めるのは難しいという点もあります。例えば、自動車の場合、車の大きさ、同じ車の形でも、装備品により価格は異なります。また、時価額がいくらぐらいになるのか、車のキズなどの車両の状態によっても変わってきます。

それを一つ一つ確認してしまうと手間がかかります。しかし、これを省くと公正な基準での支払いは不可能です。そのため、自賠責保険による対物の支払いは難しいのです。

このように自賠責保険には限度額がある、モノの補償は出来ないという点があり、補償としては不十分な点があります。それを補うために任意保険があります。

任意保険について

自賠責保険でまかないきれない分を補償するのが自動車保険の任意保険です。皆さんが保険料や事故対応などを比較するのはこの任意保険の部分になります。任意保険は大きく分けて4つの補償で成り立っています。

相手のケガを補償する「対人賠償」、相手の車、モノを補償する「対物賠償」、自分の車中でけがをした運転手、同乗者のケガを補償する「人身傷害」、事故などで破損した自身の車を補償する「車両保険」になります。

任意保険は、よく自賠責保険の上乗せと言われます。そう言われる理由は、相手のケガを補償する対人賠償において、自賠責保険で決まっている限度額以上の治療費、賠償金などが発生した場合に、任意保険の対人賠償からその差額分を出すからです。

しかし、それ以外の、対物賠償、人身傷害、車両保険は自賠責保険では補償の対象外となっているので、ご注意ください。

そもそも全員自動車保険(任意保険)に入っているの?

あまり普段から自動車保険になじみの無い人には、こういう疑問が浮かぶかもしれません。「自賠責保険は法律で決められているから仕方ないけれども、任意保険は任意だから入らなくても良いんじゃない?」「実際に任意保険に入っている人はどのぐらいいるのか?」という疑問です。

この章では任意保険にどのぐらい入っているのか、また、入らなかった場合、どのようなことが起きるのか説明します。

自動車保険の加入統計

では、実際に任意保険はどのぐらいの人が入っているのか、統計を見てみましょう。

自動車保険加入率の推移

出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」

この表を見ますと、各補償内容の加入率の数字が記載されています。そのなかで、対人賠償、対物賠償の加入率が任意保険の加入率に近い数字になります。それ以外の補償については、対人・対物賠償加入が前提となります。その結果、約74%の人が任意保険に加入しているという事が分かります。

厳密にいえば、任意保険以外にもJAや全労済などの保険ではない自動車共済に加入している人もいます。それを加えますともう少し加入率は上がりますが、大体85%の人が、任意保険(共済)に加入していると言われます。

残りの15%を多いとみるか、少ないとみるかは人それぞれの判断になりますが、任意保険に必ずしも全員の人が入っている訳ではありません。それでは、任意保険に加入しない人はどんな理由で入らないのでしょうか?

任意保険未加入の人の実態

任意保険に加入しない人の理由をまとめた統計は確認する限りなかったので、私が普段未加入の人から聞いている理由をここでは記載します。

・家と作業場(畑・田んぼ)の道を往復するだけ
これは地域性などもあるのかもしれませんが、東京や大都市以外の地域で、主に農業などで軽トラックに乗っている人に多いです。

・家の近所を回るだけだから
普段から良く通る道だからどこが危ないか、どう運転すれば安全か全て把握しているというのが理由です。

・仕事の敷地内のみ運転するから
建設会社や牧場など広い敷地(私有地)の中で運転するだけで、公道に出ないから必要ないというのが理由です。

・乗る頻度が少ないから
高齢者の方に多い理由です。乗る頻度が一年で数回、しかも家の周りだけなので任意保険に入ってもお金の無駄という意見が多いです。

・今まで事故を起こしたことがないから
過去に任意保険に入っていた人で、ずっと加入していたが一回も事故を起こしたことがなく、保険に入る意味が無いと感じたというのが理由です。

・訳があって
反社会的勢力の方。任意保険の更新を忘れてしまった人。車を買い替えたときに保険会社に連絡せず、運転している人も補償が効かない状態なので任意保険は無保険状態になります。

以上が主な未加入者の理由になります。厳しく言いますが、どれをとっても任意保険に入らなくても良い根拠にはなりません。殆どの理由は事故に対する軽視です。「自分は事故を起こさない」「こんな場所で事故なんて起きない」そのような自分自身への過信が見受けられます。

自賠責保険(強制保険)に入らないとどうなるのか?

時折、自賠責保険には入らないといけないの?と聞かれることがあります。任意保険と同じ感覚で自分の意志で加入の有無を決められると思うからです。言葉を厳しく言うと、自賠責保険に入らない状態で運転をすると犯罪になります。

そもそも車検を通すときに必ず自賠責保険の加入が必須になります。これに加入してないという事は、車検を通してない、車検切れの車を一般の公道で運転している可能性が高いという事になります。車検切れの車を運転するということは、道路運送車両法違反になります。

その場合の罰則は、

1.違反点数6点(前歴がない場合)
2.30日間の免許停止
3.6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

これらのいずれかに処せられます。

これらはあくまで自賠責保険は入っているが、車検を通していない自動車を運転していた場合に課せられる罰則です。どういう状況で起きるかと言いますと、自賠責保険は車検満期の約1ヶ月後に満期を迎えるように余裕をもって加入している場合が多いです。

これは、車検の効果が満期日の午前12時までに対し、自賠責保険の効果が満期日の午後12時であるため、車検と自賠責を同じ日に設定してしまうと、12時間の空白期間が生じてしまうためです。

自賠責保険は1ヶ月単位の契約なので、車検証より1ヶ月分余裕を持っている場合が多いのです。そのため、車検が切れても自賠責保険は切れていない状態で公道を走る場合もあるため、上記のような罰則があります。

車検と自賠責、どちらも切れて公道を走ってしまうと、
1.違反点数12点(前歴がない場合)
2.90日間の免許停止
3.1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金

と更に思い罰則になります。ここで想像してください。実際に車検・自賠責保険切れの車を運転して捕まる場合はどのような場面でしょうか?検問などで見つかることもありますが、ほとんどの場合、見つかるのは何らかの違反をした場合や、事故を起こして警察を呼んだ場合です。

そして、事故で警察を呼ぶときに自分が加害者で事故を起こして、相手に大けがなどを負わせた場合、状況によっては交通刑務所収監されてしまいます。このように、自賠責保険に入らない、車検を通さないという行為は、一つ間違えますと犯罪者になる可能性もありますので、絶対にしないでください。

任意保険に入らない人の理由は運転者自身の事故の軽視、自分の運転技術の過信と書きました。そして、自賠責保険の未加入は犯罪になるとも書きました。全ては自動車保険について今まで深く考えたことが無かったからそのような発想が生まれます。事故をした場合、自分がどのような状況に置かれるのか、想像してみると自動車保険の重要性に気づきます。

ここからは更に具体的な事故の資料などを基にいかに任意保険に入らないと大変な目に合うかを解説していきます。

なぜ自動車保険(任意保険)は必要なのか?

ここまで記載した内容を見て、「やっぱり自動車保険は大事」と感じてもらえたかもしれません。しかし、実際に任意保険がいくらかかるか調べると、「やっぱり高いなぁ、車買ったばかりでお金がないから、お金貯めてから入ろう」と心が揺らぐかもしれません。ここからは具体的な事例を踏まえながら、なぜ任意保険が必要なのかを説明していきます。

知らないでは済まされない、人身事故による自己負担

先ほど「知っておくべき自動車保険の仕組み」で自賠責保険の補償内容を記載しました。自賠責保険には補償に上限があります。一般的な傷害補償で120万円が上限になります。任意保険に入らない人の理由で、治療費120万円もかかる程大きな事故は起こさない。と考える人もいるかもしれません。

しかし、実際には少し当たったぐらいの追突事故でも十分120万円に達する可能性はあります。上限の120万円がどのぐらいの事故のケガで達するか、具体例を示します。

具体的な治療内容例

  • 被害者:サラリーマン年収500万円
  • 追突事故によりむち打ちになる。整形外科からの診断内容は全治2週間。被害者及び勤務先からも安静にしたいので1週間会社を休む。
  • ケガの治療はまず警察及び保険会社に事故によるケガを証明するために整形外科に通院。初診でレントゲン検査、診断書作成、治療を入れて5万円。より専門的に見てもらいたいと2回目より整骨院での受信を希望する。
  • 整骨院の方針により自動車事故に伴うケガは健康保険適用外の自由診療として治療すると言われる。(多くの場合、保険会社や被害者本人が健康保険適用を求めない限り自由診療になる場合が多い)結果、一回の通院につき8,000円の治療費がかかる。
  • 整骨院に通うため、会社を半休しなければならない日もあるので、半休分の損害を補てんする。
  • 被害者は結局3ヶ月間通院をして治療を終了。
  • 最終示談金額
  • 治療費 初診5万円 整骨院1回あたり治療費8,000円×70回
    小計610,000円
  • 損害賠償金(ケガに伴う賠償金)一日当たり4,200円
    通院回数×2及び治療期間(ケガをしていた期間)のいずれか小さいほう
    通院日数70回×2=140>治療期間90日 4,200円×90日
    小計378,000円
  • 休業損害 一日当たりの損害 直近3ヶ月の収入120万円÷90=13,333円
    13,333円×7=93,331円 + 半休30日×6,666円=199,980円
    小計293,311円
  • 交通費(会社や自宅から通院先まで掛かった電車代やガソリン代)
    往復16キロ×15円×70日
    小計16,800円

    合計1,298,111円

この方のケガは追突によるむち打ちです。事故の大きさにかかわらず、むち打ちになってすぐ治る人もいれば、治りにくい人もいます。治療を打ち切るかどうかは医師の判断によりますので、どのぐらいの治療期間になるのかは誰も予想できません。

上限120万円に達する可能性はちょっとした追突事故でも十分にあります。

そして、上限を超えた治療費・賠償金などは全て加害者の自己負担となります。また、先述のように、被害者の車の修理費で加害者負担分は自賠責保険対象外となり、全て自己負担となります。

このように、自賠責保険だけでは事故の際に高額な自己負担が発生する可能性が十分あります。そして、大変なのは自己負担だけではありません。自賠責保険のみの運転者は事故の相手から見てとても警戒されます。

任意保険未加入者という理由で相手が弁護士に依頼。

これは実際に私が相談を受けた任意保険未加入の事故の話です。相談者は私の契約者ですが、車を買い替えたことを当社に連絡せず、数ヶ月乗っていました。その状態で追突事故を起こしたのです。私は事故現場に行ったときに契約自動車とは明らかに異なる車種を見て焦りました。

通常、車の入れ替えであれば、登録後1ヶ月は猶予期間があるのですが、その入れ替えた車は数ヶ月経っているので任意保険対象外の期間になっていました。任意保険が使えないからと言っても契約者が困っているので、当然事故の相談対応などは行いました。追突された被害者に事情を説明して、任意保険は使えないので修理代は契約者に請求するように伝えました。

そうすると、被害者はそれまで穏やかだったのに烈火のごとく怒りだしました。「保険に入らないような人が修理費を払ってもらえるとは思えない。大体保険に入らない人がこんな事故を起こすなんて信じられない。今この場で〇〇万円銀行でおろして来い!そうすれば勘弁してやる!」と言ってきました。

契約者は申し訳なさとどうして良いか解らない状況だったので、私が契約者は信頼できる人で連絡先もしっかり伝える。そして、修理をしたうえでお金を払う。私も万が一お金を支払わなければ契約者に連絡をする。私から被害者にも連絡をして進捗を伝えると説得し、理解頂きました。

その翌日、契約者宛に被害者から依頼を受けた弁護士より連絡が入りました。事故に関する全ての窓口、代理は弁護士が行うという連絡です。

弁護士まで入ると修理金額の支払いが出来ない場合、訴訟まで発展します。事故に慣れてない人が弁護士とやり取りするのはとても気苦労が重なります。私も契約者から何度となく相談の連絡が入りました。変わって窓口になりたいですが、代理業務は弁護士資格が無いとできないので、アドバイスしかできなかったのがもどかしかったです。

しかし、この事故は被害者にケガが伴わず、人身事故に発展しなかったので、修理代だけ支払うことで解決しました。もし、人身事故になっていたら、自賠責保険の賠償が出来ず、相当高額な慰謝料を支払う可能性がありました。とはいえ、修理費で100万円以上支払ったので、加害者にとってみれば高額な出費になってしまいました。

それだけ高額な修理費を支払ったにもかかわらず、示談した後に契約者が「無事終わってよかった」と言ったことから、高額な支払いよりも相手(弁護士)とのやり取りが一番大変だったのだと感じました。

理解不足、事故未経験が故の自賠責保険請求の辛さ

この事例も私が経験したものです。加害者は当社の契約者です。しかし、先述した「近所しか乗らないから必要ない」と言って任意保険未加入だった軽トラックを乗っていて追突事故を起こしました。

相手は車の損傷と併せてケガを負ってしまいました。専門的な対応で、被害者が加入している任意保険の人身傷害と言う補償を利用してもらえれば、被害者の任意保険会社から自賠責保険会社に請求してもらえるので、契約者の負担も少なくなると考えて、加害者にそうしてもらえないか提案しました。

しかし、被害者から、「何でこちらには何の落ち度もない事故なのに自分の保険を使わなければならないんだ!」と拒否されました。実際には人身傷害補償を使用するだけでは翌年の保険の値上げの影響がないのです。そして、もし被害者が保険会社に今回のような事故が起きたと相談すれば自分の任意保険会社からも人身傷害補償使いましょうと提案されるぐらいです。

今回は残念ながら被害者は絶対に保険会社には連絡しないと拒絶されたので、しかたなく、契約者の自賠責保険は当社が扱っていた保険会社で加入していたので、自賠責保険の加害者請求というのを依頼しました。

その結果どういうことになったか。かじょう書きでまとめました。

・自賠責保険会社から相手には連絡しない。

・自賠責保険会社から下の画像のような大量の請求書類が届く。

・自賠責保険請求書類を全て書いて保険機構に提出。審査でしばらく待つ。

・診査がおりるまで被害者の治療費は全て被害者が立て替える。

・被害者が立て替える費用が高額になってしまい、被害者から加害者に立て替えるように依頼が入る。

・自賠責保険機構から事故状況の内容が不足している。細かい修正が数回入る。

・2ヶ月後ようやく保険機構から診査完了が入る。

・通院全て終了後、120万円の上限を超えていたため約50万円の自己負担を支払う。

以上になります。これ以外にも実はもう一点交渉したものがありました。それは、自賠責保険の上限を超える可能性を考えて、相手の治療費を健康保険を使用して行ってほしいと要望しました。健康保険適用にすれば、交通事故の自由診療よりも安くなるので依頼をしましたが、拒絶されました。被害者もこちらの加害者に対して任意無加入に対する怒りで治療費の立替などを意地でしてました。

加害者である契約者はすぐにでも保険会社、自賠責保険機構に治療費を支払ってほしかったのに、正規の手続きをしないと出来ないと拒絶され、大量の保険請求書に記載をすることになり、それも何度かやり直しを要求され、その間も被害者から治療日の立替を要望されました。このように、自賠責保険のみ加入している場合は、図のようにすべての窓口を自分で行わなければなりません。

しかし、任意保険であれば、保険会社の担当者がすべての窓口になります。治療費も初診の日から保険会社から病院に対して支払うことが可能です。契約者の手続きは保険金請求書を記載するだけです。その保険請求書も2ページと非常に簡単に書けます。

今回の事故は、この方が自分で蒔いた種ではありますが、それでも気苦労は絶えず修理費を含めた自己負担はやはり100万円近くになりました。ですが、終わった後はホッと安心した顔になっていました。

どちらの案件も任意保険に入っていれば払う必要の無かった100万円を自己負担することになったのです。それにもかかわらず、お金の事故負担よりも、相手とのやり取りの方が辛いと言ったのです。

自賠責保険のみで大丈夫と思っている人は、事故の経験の無い人がおちいる考えです。そのため、実際に事故が起きてしまうと何をしていいか解らず、相手とのやり取りに苦労してしまうのです。

先ほどの二人はそのあとすぐ任意保険に入りました。自己負担もさることながら、相手との交渉を二度としたくないというのが理由です。

このような状況を私は何度となく経験したからこそ、任意保険は絶対に入るべきだと言いたいのです。

しかし、無理に高い保険に入れとは言いません。任意保険をどのように入れば費用が抑えられるか。それを説明していきます。

任意保険の抑えるべきポイント

「任意保険に入らないとどのぐらい大変な目に合うのは解りました。しかし、任意保険にあまりお金をかけたくありません。」と思う人もいるのではないでしょうか。確かに、任意保険は事故が起きなければお金が戻ってこないので、支払うお金を極力おさえたいという気持ちは良く解ります。

しかし、これも大きな落とし穴で安さを重視すると必要な補償まで削ってしまい、結果、事故が起きたときに大変な目に合うことになります。そこで、保険代理店である私が任意保険で最低限どの補償に入るべきか、説明します。

補償の仕組みの理解。必要な補償のポイント

まずは、任意保険の仕組みについて解説します。任意保険の補償は大きく分けて4つあります。

①対人賠償(相手のケガ)
②対物賠償(相手のモノ)
③人身傷害(自分及び同乗者のケガ)
④車両保険(自分の車の修理代)

各補償内容については、詳しく書いたページがあるので、そちらを参考にしてください。優先順位が高いのは①②③④の順になります。反対に、支払い保険料が高いのは④③②①の順になります。

支払う費用を安く抑えるうえで大事なのは比較的支払保険料は安いが優先順位の高い①・②を中心に、③・④の補償をどのように選択するかです。私のおすすめは以下の補償内容になります。

保険料は安く、でも補償内容はしっかり抑えるおすすめプラン
・対人・対物賠償は無制限
・人身傷害は5000万円以上
・車両保険は新車・中古車などの車両価値に応じて自己判断
・年齢条件は自分の年齢に合わせる
・運転者限定は自分(もしくは配偶者)に絞る
・使用目的は日常、レジャー使用でがまん

おすすめの内容をもとに任意保険の支払いをいかに安くおさえるか。これを説明します。

任意保険を安く入る方法はないのか?

任意保険会社はたくさんありますが、補償内容についてはどの保険会社もさほど異なりません。そのため、自分の中で安さを重視した補償内容をもとに各保険会社がどのぐらいの保険料になるのか、比較することで保険料を抑えることが出来ます。

先ほど補償の優先順位及びおすすめする補償内容を記載しましたが、さらに安くできる可能性を探っていきます。

安く入る方法はいくつかある。

まず、補償内容以外に保険料を決める要素はいくつかあります。

①だれが運転をするのか
②どんな時に、どのぐらいの頻度で運転するのか
③ゴールドなのかブルー免許なのか

この3つが主な要素になります。まず①のだれが運転するのかについては、自分だけなのか、家族も運転するのか、友達、その他の人も運転するのかを考えます。安く抑えるのであれば自分だけもしくは配偶者までに限定します。

つぎに②のどんな時にどのぐらいの頻度で運転するのかについては、休日の買い物やドライブだけなのか、通勤・通学に利用するのか、仕事でも使うのかによって保険料が変わります。

保険会社の中には走行距離によって保険料を決めるところもありますが、どちらにせよ、仕事で毎日乗るのか、休みの日に少し乗るのかで頻度が大きく異なり、走行距離も頻度に合わせて変わります。

安く抑えるのであれば休日の買い物、近距離のドライブのみ利用することをおすすめします。電車通勤出来ない人は通勤使用にしてください。日常使用で申告して、通勤で事故を起こすと保険が使えない場合がありますので、注意してください。

③については自分がゴールド免許であれば良いですが、自分がブルーでも配偶者がゴールドであれば配偶者を「記名被保険者」にするのも一つの手です。①を「本人・配偶者限定」というものにすれば、夫婦のどちらが運転しても保険が使えます。夫婦間であれば記名被保険者をどちらにしても大きな問題はないので、ゴールド免許所持者を優先して記名被保険者にしてください。

注意すべき点は一つ、夫婦のどちらかが通勤など利用頻度が多い場合、使用方法は必ず利用頻度に沿ったプランにしてください。

例えば、奥様がゴールド免許なので記名被保険者を奥様にした場合です。奥様は休みの日に買い物に行くぐらいの使用頻度で旦那様が通勤に使用する場合、記名被保険者が奥様であっても使用頻度は「通勤使用」にしてください。使用目的は頻度の多い方を優先と覚えてください。

以上のように保険を安くする方法はいくつかあります。
①、②、③の要素を正しく理解し、保険料と優先順位を良く考えて検討してください。


新規で入る場合にはインターネット保険がお勧め。

まだ年齢が20代前半以下の人でこれから新規の保険に入る人が安く自動車保険に入りたい場合は、インターネット保険(通販型自動車保険)がお勧めです。代理店を経営している私が言うのも変な話ですが、値段が高くて保険に入らないという人を一人でも無くすためにあえて書きます。

インターネット(もしくは通販)経由の保険と代理店経由の保険を解りやすく比較するために、「通販型」と「代理店型」と呼びます。通販型と代理店型の保険料の違いを以下の図で説明します。

このように、保険の内容・条件によって通販型と代理店型の保険料の差に違いがあります。簡単に申しますと、保険料の高い要素が多いと通販型と代理店型の保険料の差が広がります。高い要素と言うのは、等級が低い(一番新規は6等級)、年齢が若い、運転する人が多い、運転する頻度が多い、補償内容が充実している、車両の価値が高い(もしくは車両が大きい)などです。

代理店型と通販型の違いは例えるなら、コンシェルジュのように専属の人が色々と対応してくれるのが代理店型。セルフサービスのように、自分で色々な手続きを自己責任で行うのが通販型となります。

コンシェルジュ代として通販型と比べて高いと考えてください。

どちらを選ぶかは人それぞれですが、私は代理店経営をしておりますので当然当社に入ってほしいという気持ちはあります。しかし、代理店型と通販型の保険料が年間で3万円以上も開いていると、はっきり言って代理店の強みよりも通販型の値段のメリットの方が大きいと考えます。事故を起こしたときは3万円以上のメリットを代理店型には感じると思いますが、事故を起こさなければ3万円の開きは高いと感じます。

今回新規で事故を起こしたことのない人は通販型で安く加入をすることをお勧めします。ただし、間違った条件などで入らないようにしてください。間違った条件で入ってしまうと最悪の場合保険が効かなくなります。

まとめ  実態を把握するうえでも一括見積を利用することをお勧め。

以上のように任意保険に加入するかどうか迷っている人は、加入は絶対にしてください。そして、経済的な理由などでどうしても保険料を安くしなければならない人は通販型を検討してください。一括見積もりサイトを利用すれば一番安い保険会社を調べることが出来ます。

保険に入らないことで大きな出費になるよりも一番安い保険に入り続ける方が、運転するときの安心感が違います。万が一の事故になっても大きな出費をすることもありません。

保険に入らずに節約しようと考えず、自動車保険に必ず入ったうえで車の運転をしてください。

自動車保険に迷ったら一括サイトを利用

 

あなたは今「どの保険会社に入って良いか迷っている」「一番安い保険会社を知りたい」と思ってませんか?

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運営者について

運営者:河原あたる
保険代理店に勤める現役の

保険営業マン。

 

代理店に勤める前は

ペーパードライバー。

 

保険業界に入るまで自動車保険の知識は

全くなかった。

 

現在では年間700件以上の自動車保険の新規・変更手続き、

 

年間300件以上の自動車事故の対応を行う。

 

自動車事故の場合には直接現場に行き、

契約者と相手との交渉なども行う。

 

自動車保険の知識ゼロから様々な経験を重ねることで理解した知識を、

 

もっと多くの人に知ってほしいと願い、このサイトを立ち上げる。

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