仕事などで運転に慣れていて今まで事故にあったがことない人は、「自動車保険に入る必要あるのか?」「今まで事故したことないし、お金がもったいないから保険は入らなくていいんじゃないの?」「強制保険に入るのは購入先で聞いたから、それに入っていればいいんじゃないの?」と思う気持ちが出てきます。
確かに車を買う時にお金を使いますので、保険にまでお金を回すことが出来ないという気持ちはよくわかります。
しかし、その自分の運転への誤った自信が後で思わぬ悲劇をうむかもしれません。
そこで今回は「自動車保険入る必要あるの?」という疑問について解説していきます。
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自動車保険は入らなければならないのか?
自動車保険は確かに安いものではないです。そして任意保険の加入の意志は運転手の自由です。しかし、自動車保険は絶対に入ってください。
私は保険を扱うものとして数多くの自動車事故を見てきました。中には保険に入っていない、無保険の人の事故の相談、対応をしたことも多くあります。無保険の人が事故をした後に必ず「これからは必ず任意保険に入ります」と言います。「保険に入る必要あるの?」と思う人は運転に慣れている人であっても、「自動車保険」のことを知らない人の考えです。
保険を知らない人にいくら「保険に入った方がいい」と言ってもピンときません。保険への理解、事故が起きてからの理解を深めれば、なぜ自動車保険に入るべきかが必ず解ります。
知っておくべき自動車保険の仕組み
そもそも自動車保険には二つの種類があることは知っているでしょうか?「自賠責保険(強制保険)」と「任意保険」と言えばわかる人もいるかもしれません。それぞれどんな保険なのか説明します。
自賠責保険(強制保険)について
自賠責保険とは「自動車損害賠償責任保険」の通称名です。車を運転する際に必ず入ることが法律(自動車損害賠償保障法)によって定められています。運転するときに加入することが義務、強制なので、「強制保険」とも呼ばれます。
自賠責保険は自動車との事故でけがをされた被害者を救済する保険です。自賠責保険の補償の特徴は大きく二つあります。
それは、補償内容、補償額は法律で決められているという点、もう一つはケガのみの補償で相手の車などのモノ(物損)は対象外であるという点です。一つずつ説明いたします。
まず、補償内容、補償額は法律で決められている点ですが、以下の内容で補償内容、補償額は決められております。
〇傷害による損害(事故で相手にケガを負わせた場合)
120万円(被害者一名につき)
〇後遺障害による損害(事故のケガで一部の機能などで回復の見込みが無い状態にさせた場合)
①神経系統の機能や精神・胸腹部臓器への著しい障害で、介護を要する障害
常時介護を要する場合(第1級)4000万円 (被害者1名につき)
随時介護を要する場合(第2級)3000万円 (被害者1名につき)
②上記1以外の後遺障害(第1級)3000万円~(14級)75万円(被害者1名につき)
〇死亡による損害(事故により被害者を死亡させた場合)
3000万円(被害者1名につき)
これは膨大な保険請求を公平、公正に支払う必要があるためです。現在でも自動車事故の件数が一日当たり平均で約1400件もあります。この件数を迅速かつ公正に保険金を支払うためには決まっている内容を決まっている金額で支払うことが必要です。そして、死亡・後遺障害・傷害それぞれに限度額があります。限度額以上の請求をされることがあるのか?それは後で記載をします。
もう一つの特徴である、モノの補償はしない点について説明します。自賠責保険というのは自動車事故による被害者のケガの補償になります。モノに対して補償をしない理由について、資料などで具体的な記載はないですが、被害者救済の観点から、人の体や命と比べれば、モノより人の方が大切だからです。
また、モノの補償は定型、定額で決めるのは難しいという点もあります。例えば、自動車の場合、車の大きさ、同じ車の形でも、装備品により価格は異なります。また、時価額がいくらぐらいになるのか、車のキズなどの車両の状態によっても変わってきます。
それを一つ一つ確認してしまうと手間がかかります。しかし、これを省くと公正な基準での支払いは不可能です。そのため、自賠責保険による対物の支払いは難しいのです。
このように自賠責保険には限度額がある、モノの補償は出来ないという点があり、補償としては不十分な点があります。それを補うために任意保険があります。
任意保険について
自賠責保険でまかないきれない分を補償するのが自動車保険の任意保険です。皆さんが保険料や事故対応などを比較するのはこの任意保険の部分になります。任意保険は大きく分けて4つの補償で成り立っています。
相手のケガを補償する「対人賠償」、相手の車、モノを補償する「対物賠償」、自分の車中でけがをした運転手、同乗者のケガを補償する「人身傷害」、事故などで破損した自身の車を補償する「車両保険」になります。
任意保険は、よく自賠責保険の上乗せと言われます。そう言われる理由は、相手のケガを補償する対人賠償において、自賠責保険で決まっている限度額以上の治療費、賠償金などが発生した場合に、任意保険の対人賠償からその差額分を出すからです。
しかし、それ以外の、対物賠償、人身傷害、車両保険は自賠責保険では補償の対象外となっているので、ご注意ください。
そもそも全員自動車保険(任意保険)に入っているの?
あまり普段から自動車保険になじみの無い人には、こういう疑問が浮かぶかもしれません。「自賠責保険は法律で決められているから仕方ないけれども、任意保険は任意だから入らなくても良いんじゃない?」「実際に任意保険に入っている人はどのぐらいいるのか?」という疑問です。
この章では任意保険にどのぐらい入っているのか、また、入らなかった場合、どのようなことが起きるのか説明します。
自動車保険の加入統計
では、実際に任意保険はどのぐらいの人が入っているのか、統計を見てみましょう。
自動車保険加入率の推移
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」
この表を見ますと、各補償内容の加入率の数字が記載されています。そのなかで、対人賠償、対物賠償の加入率が任意保険の加入率に近い数字になります。それ以外の補償については、対人・対物賠償加入が前提となります。その結果、約74%の人が任意保険に加入しているという事が分かります。
厳密にいえば、任意保険以外にもJAや全労済などの保険ではない自動車共済に加入している人もいます。それを加えますともう少し加入率は上がりますが、大体85%の人が、任意保険(共済)に加入していると言われます。
残りの15%を多いとみるか、少ないとみるかは人それぞれの判断になりますが、任意保険に必ずしも全員の人が入っている訳ではありません。それでは、任意保険に加入しない人はどんな理由で入らないのでしょうか?
任意保険未加入の人の実態
任意保険に加入しない人の理由をまとめた統計は確認する限りなかったので、私が普段未加入の人から聞いている理由をここでは記載します。
・家と作業場(畑・田んぼ)の道を往復するだけ
これは地域性などもあるのかもしれませんが、東京や大都市以外の地域で、主に農業などで軽トラックに乗っている人に多いです。
・家の近所を回るだけだから
普段から良く通る道だからどこが危ないか、どう運転すれば安全か全て把握しているというのが理由です。
・仕事の敷地内のみ運転するから
建設会社や牧場など広い敷地(私有地)の中で運転するだけで、公道に出ないから必要ないというのが理由です。
・乗る頻度が少ないから
高齢者の方に多い理由です。乗る頻度が一年で数回、しかも家の周りだけなので任意保険に入ってもお金の無駄という意見が多いです。
・今まで事故を起こしたことがないから
過去に任意保険に入っていた人で、ずっと加入していたが一回も事故を起こしたことがなく、保険に入る意味が無いと感じたというのが理由です。
・訳があって
反社会的勢力の方。任意保険の更新を忘れてしまった人。車を買い替えたときに保険会社に連絡せず、運転している人も補償が効かない状態なので任意保険は無保険状態になります。
以上が主な未加入者の理由になります。厳しく言いますが、どれをとっても任意保険に入らなくても良い根拠にはなりません。殆どの理由は事故に対する軽視です。「自分は事故を起こさない」「こんな場所で事故なんて起きない」そのような自分自身への過信が見受けられます。
自賠責保険(強制保険)に入らないとどうなるのか?
時折、自賠責保険には入らないといけないの?と聞かれることがあります。任意保険と同じ感覚で自分の意志で加入の有無を決められると思うからです。言葉を厳しく言うと、自賠責保険に入らない状態で運転をすると犯罪になります。
そもそも車検を通すときに必ず自賠責保険の加入が必須になります。これに加入してないという事は、車検を通してない、車検切れの車を一般の公道で運転している可能性が高いという事になります。車検切れの車を運転するということは、道路運送車両法違反になります。
その場合の罰則は、
1.違反点数6点(前歴がない場合)
2.30日間の免許停止
3.6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
これらのいずれかに処せられます。
これらはあくまで自賠責保険は入っているが、車検を通していない自動車を運転していた場合に課せられる罰則です。どういう状況で起きるかと言いますと、自賠責保険は車検満期の約1ヶ月後に満期を迎えるように余裕をもって加入している場合が多いです。
これは、車検の効果が満期日の午前12時までに対し、自賠責保険の効果が満期日の午後12時であるため、車検と自賠責を同じ日に設定してしまうと、12時間の空白期間が生じてしまうためです。
自賠責保険は1ヶ月単位の契約なので、車検証より1ヶ月分余裕を持っている場合が多いのです。そのため、車検が切れても自賠責保険は切れていない状態で公道を走る場合もあるため、上記のような罰則があります。
車検と自賠責、どちらも切れて公道を走ってしまうと、
1.違反点数12点(前歴がない場合)
2.90日間の免許停止
3.1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金
と更に思い罰則になります。ここで想像してください。実際に車検・自賠責保険切れの車を運転して捕まる場合はどのような場面でしょうか?検問などで見つかることもありますが、ほとんどの場合、見つかるのは何らかの違反をした場合や、事故を起こして警察を呼んだ場合です。
そして、事故で警察を呼ぶときに自分が加害者で事故を起こして、相手に大けがなどを負わせた場合、状況によっては交通刑務所収監されてしまいます。このように、自賠責保険に入らない、車検を通さないという行為は、一つ間違えますと犯罪者になる可能性もありますので、絶対にしないでください。
任意保険に入らない人の理由は運転者自身の事故の軽視、自分の運転技術の過信と書きました。そして、自賠責保険の未加入は犯罪になるとも書きました。全ては自動車保険について今まで深く考えたことが無かったからそのような発想が生まれます。事故をした場合、自分がどのような状況に置かれるのか、想像してみると自動車保険の重要性に気づきます。
ここからは更に具体的な事故の資料などを基にいかに任意保険に入らないと大変な目に合うかを解説していきます。
なぜ自動車保険(任意保険)は必要なのか?
ここまで記載した内容を見て、「やっぱり自動車保険は大事」と感じてもらえたかもしれません。しかし、実際に任意保険がいくらかかるか調べると、「やっぱり高いなぁ、車買ったばかりでお金がないから、お金貯めてから入ろう」と心が揺らぐかもしれません。ここからは具体的な事例を踏まえながら、なぜ任意保険が必要なのかを説明していきます。
知らないでは済まされない、人身事故による自己負担
先ほど「知っておくべき自動車保険の仕組み」で自賠責保険の補償内容を記載しました。自賠責保険には補償に上限があります。一般的な傷害補償で120万円が上限になります。任意保険に入らない人の理由で、治療費120万円もかかる程大きな事故は起こさない。と考える人もいるかもしれません。
しかし、実際には少し当たったぐらいの追突事故でも十分120万円に達する可能性はあります。上限の120万円がどのぐらいの事故のケガで達するか、具体例を示します。
具体的な治療内容例
- 被害者:サラリーマン年収500万円
- 追突事故によりむち打ちになる。整形外科からの診断内容は全治2週間。被害者及び勤務先からも安静にしたいので1週間会社を休む。
- ケガの治療はまず警察及び保険会社に事故によるケガを証明するために整形外科に通院。初診でレントゲン検査、診断書作成、治療を入れて5万円。より専門的に見てもらいたいと2回目より整骨院での受信を希望する。
- 整骨院の方針により自動車事故に伴うケガは健康保険適用外の自由診療として治療すると言われる。(多くの場合、保険会社や被害者本人が健康保険適用を求めない限り自由診療になる場合が多い)結果、一回の通院につき8,000円の治療費がかかる。
- 整骨院に通うため、会社を半休しなければならない日もあるので、半休分の損害を補てんする。
- 被害者は結局3ヶ月間通院をして治療を終了。
- 最終示談金額
- 治療費 初診5万円 整骨院1回あたり治療費8,000円×70回
小計610,000円 - 損害賠償金(ケガに伴う賠償金)一日当たり4,200円
通院回数×2及び治療期間(ケガをしていた期間)のいずれか小さいほう
通院日数70回×2=140>治療期間90日 4,200円×90日
小計378,000円 - 休業損害 一日当たりの損害 直近3ヶ月の収入120万円÷90=13,333円
13,333円×7=93,331円 + 半休30日×6,666円=199,980円
小計293,311円 - 交通費(会社や自宅から通院先まで掛かった電車代やガソリン代)
往復16キロ×15円×70日
小計16,800円
合計1,298,111円
この方のケガは追突によるむち打ちです。事故の大きさにかかわらず、むち打ちになってすぐ治る人もいれば、治りにくい人もいます。治療を打ち切るかどうかは医師の判断によりますので、どのぐらいの治療期間になるのかは誰も予想できません。
上限120万円に達する可能性はちょっとした追突事故でも十分にあります。
そして、上限を超えた治療費・賠償金などは全て加害者の自己負担となります。また、先述のように、被害者の車の修理費で加害者負担分は自賠責保険対象外となり、全て自己負担となります。
このように、自賠責保険だけでは事故の際に高額な自己負担が発生する可能性が十分あります。そして、大変なのは自己負担だけではありません。自賠責保険のみの運転者は事故の相手から見てとても警戒されます。
任意保険未加入者という理由で相手が弁護士に依頼。
これは実際に私が相談を受けた任意保険未加入の事故の話です。相談者は私の契約者ですが、車を買い替えたことを当社に連絡せず、数ヶ月乗っていました。その状態で追突事故を起こしたのです。私は事故現場に行ったときに契約自動車とは明らかに異なる車種を見て焦りました。
通常、車の入れ替えであれば、登録後1ヶ月は猶予期間があるのですが、その入れ替えた車は数ヶ月経っているので任意保険対象外の期間になっていました。任意保険が使えないからと言っても契約者が困っているので、当然事故の相談対応などは行いました。追突された被害者に事情を説明して、任意保険は使えないので修理代は契約者に請求するように伝えました。
そうすると、被害者はそれまで穏やかだったのに烈火のごとく怒りだしました。「保険に入らないような人が修理費を払ってもらえるとは思えない。大体保険に入らない人がこんな事故を起こすなんて信じられない。今この場で〇〇万円銀行でおろして来い!そうすれば勘弁してやる!」と言ってきました。
契約者は申し訳なさとどうして良いか解らない状況だったので、私が契約者は信頼できる人で連絡先もしっかり伝える。そして、修理をしたうえでお金を払う。私も万が一お金を支払わなければ契約者に連絡をする。私から被害者にも連絡をして進捗を伝えると説得し、理解頂きました。
その翌日、契約者宛に被害者から依頼を受けた弁護士より連絡が入りました。事故に関する全ての窓口、代理は弁護士が行うという連絡です。
弁護士まで入ると修理金額の支払いが出来ない場合、訴訟まで発展します。事故に慣れてない人が弁護士とやり取りするのはとても気苦労が重なります。私も契約者から何度となく相談の連絡が入りました。変わって窓口になりたいですが、代理業務は弁護士資格が無いとできないので、アドバイスしかできなかったのがもどかしかったです。
しかし、この事故は被害者にケガが伴わず、人身事故に発展しなかったので、修理代だけ支払うことで解決しました。もし、人身事故になっていたら、自賠責保険の賠償が出来ず、相当高額な慰謝料を支払う可能性がありました。とはいえ、修理費で100万円以上支払ったので、加害者にとってみれば高額な出費になってしまいました。
それだけ高額な修理費を支払ったにもかかわらず、示談した後に契約者が「無事終わってよかった」と言ったことから、高額な支払いよりも相手(弁護士)とのやり取りが一番大変だったのだと感じました。
理解不足、事故未経験が故の自賠責保険請求の辛さ
この事例も私が経験したものです。加害者は当社の契約者です。しかし、先述した「近所しか乗らないから必要ない」と言って任意保険未加入だった軽トラックを乗っていて追突事故を起こしました。
相手は車の損傷と併せてケガを負ってしまいました。専門的な対応で、被害者が加入している任意保険の人身傷害と言う補償を利用してもらえれば、被害者の任意保険会社から自賠責保険会社に請求してもらえるので、契約者の負担も少なくなると考えて、加害者にそうしてもらえないか提案しました。
しかし、被害者から、「何でこちらには何の落ち度もない事故なのに自分の保険を使わなければならないんだ!」と拒否されました。実際には人身傷害補償を使用するだけでは翌年の保険の値上げの影響がないのです。そして、もし被害者が保険会社に今回のような事故が起きたと相談すれば自分の任意保険会社からも人身傷害補償使いましょうと提案されるぐらいです。
今回は残念ながら被害者は絶対に保険会社には連絡しないと拒絶されたので、しかたなく、契約者の自賠責保険は当社が扱っていた保険会社で加入していたので、自賠責保険の加害者請求というのを依頼しました。
その結果どういうことになったか。かじょう書きでまとめました。
・自賠責保険会社から相手には連絡しない。
・自賠責保険会社から下の画像のような大量の請求書類が届く。
・自賠責保険請求書類を全て書いて保険機構に提出。審査でしばらく待つ。
・診査がおりるまで被害者の治療費は全て被害者が立て替える。
・被害者が立て替える費用が高額になってしまい、被害者から加害者に立て替えるように依頼が入る。
・自賠責保険機構から事故状況の内容が不足している。細かい修正が数回入る。
・2ヶ月後ようやく保険機構から診査完了が入る。
・通院全て終了後、120万円の上限を超えていたため約50万円の自己負担を支払う。
以上になります。これ以外にも実はもう一点交渉したものがありました。それは、自賠責保険の上限を超える可能性を考えて、相手の治療費を健康保険を使用して行ってほしいと要望しました。健康保険適用にすれば、交通事故の自由診療よりも安くなるので依頼をしましたが、拒絶されました。被害者もこちらの加害者に対して任意無加入に対する怒りで治療費の立替などを意地でしてました。
加害者である契約者はすぐにでも保険会社、自賠責保険機構に治療費を支払ってほしかったのに、正規の手続きをしないと出来ないと拒絶され、大量の保険請求書に記載をすることになり、それも何度かやり直しを要求され、その間も被害者から治療日の立替を要望されました。このように、自賠責保険のみ加入している場合は、図のようにすべての窓口を自分で行わなければなりません。
しかし、任意保険であれば、保険会社の担当者がすべての窓口になります。治療費も初診の日から保険会社から病院に対して支払うことが可能です。契約者の手続きは保険金請求書を記載するだけです。その保険請求書も2ページと非常に簡単に書けます。
今回の事故は、この方が自分で蒔いた種ではありますが、それでも気苦労は絶えず修理費を含めた自己負担はやはり100万円近くになりました。ですが、終わった後はホッと安心した顔になっていました。
どちらの案件も任意保険に入っていれば払う必要の無かった100万円を自己負担することになったのです。それにもかかわらず、お金の事故負担よりも、相手とのやり取りの方が辛いと言ったのです。
自賠責保険のみで大丈夫と思っている人は、事故の経験の無い人がおちいる考えです。そのため、実際に事故が起きてしまうと何をしていいか解らず、相手とのやり取りに苦労してしまうのです。
先ほどの二人はそのあとすぐ任意保険に入りました。自己負担もさることながら、相手との交渉を二度としたくないというのが理由です。
このような状況を私は何度となく経験したからこそ、任意保険は絶対に入るべきだと言いたいのです。
しかし、無理に高い保険に入れとは言いません。任意保険をどのように入れば費用が抑えられるか。それを説明していきます。
任意保険の抑えるべきポイント
「任意保険に入らないとどのぐらい大変な目に合うのは解りました。しかし、任意保険にあまりお金をかけたくありません。」と思う人もいるのではないでしょうか。確かに、任意保険は事故が起きなければお金が戻ってこないので、支払うお金を極力おさえたいという気持ちは良く解ります。
しかし、これも大きな落とし穴で安さを重視すると必要な補償まで削ってしまい、結果、事故が起きたときに大変な目に合うことになります。そこで、保険代理店である私が任意保険で最低限どの補償に入るべきか、説明します。
補償の仕組みの理解。必要な補償のポイント
まずは、任意保険の仕組みについて解説します。任意保険の補償は大きく分けて4つあります。
①対人賠償(相手のケガ)
②対物賠償(相手のモノ)
③人身傷害(自分及び同乗者のケガ)
④車両保険(自分の車の修理代)
各補償内容については、詳しく書いたページがあるので、そちらを参考にしてください。優先順位が高いのは①②③④の順になります。反対に、支払い保険料が高いのは④③②①の順になります。
支払う費用を安く抑えるうえで大事なのは比較的支払保険料は安いが優先順位の高い①・②を中心に、③・④の補償をどのように選択するかです。私のおすすめは以下の補償内容になります。
保険料は安く、でも補償内容はしっかり抑えるおすすめプラン
・対人・対物賠償は無制限
・人身傷害は5000万円以上
・車両保険は新車・中古車などの車両価値に応じて自己判断
・年齢条件は自分の年齢に合わせる
・運転者限定は自分(もしくは配偶者)に絞る
・使用目的は日常、レジャー使用でがまん
おすすめの内容をもとに任意保険の支払いをいかに安くおさえるか。これを説明します。
任意保険を安く入る方法はないのか?
任意保険会社はたくさんありますが、補償内容についてはどの保険会社もさほど異なりません。そのため、自分の中で安さを重視した補償内容をもとに各保険会社がどのぐらいの保険料になるのか、比較することで保険料を抑えることが出来ます。
先ほど補償の優先順位及びおすすめする補償内容を記載しましたが、さらに安くできる可能性を探っていきます。
安く入る方法はいくつかある。
まず、補償内容以外に保険料を決める要素はいくつかあります。
①だれが運転をするのか
②どんな時に、どのぐらいの頻度で運転するのか
③ゴールドなのかブルー免許なのか
この3つが主な要素になります。まず①のだれが運転するのかについては、自分だけなのか、家族も運転するのか、友達、その他の人も運転するのかを考えます。安く抑えるのであれば自分だけもしくは配偶者までに限定します。
つぎに②のどんな時にどのぐらいの頻度で運転するのかについては、休日の買い物やドライブだけなのか、通勤・通学に利用するのか、仕事でも使うのかによって保険料が変わります。
保険会社の中には走行距離によって保険料を決めるところもありますが、どちらにせよ、仕事で毎日乗るのか、休みの日に少し乗るのかで頻度が大きく異なり、走行距離も頻度に合わせて変わります。
安く抑えるのであれば休日の買い物、近距離のドライブのみ利用することをおすすめします。電車通勤出来ない人は通勤使用にしてください。日常使用で申告して、通勤で事故を起こすと保険が使えない場合がありますので、注意してください。
③については自分がゴールド免許であれば良いですが、自分がブルーでも配偶者がゴールドであれば配偶者を「記名被保険者」にするのも一つの手です。①を「本人・配偶者限定」というものにすれば、夫婦のどちらが運転しても保険が使えます。夫婦間であれば記名被保険者をどちらにしても大きな問題はないので、ゴールド免許所持者を優先して記名被保険者にしてください。
注意すべき点は一つ、夫婦のどちらかが通勤など利用頻度が多い場合、使用方法は必ず利用頻度に沿ったプランにしてください。
例えば、奥様がゴールド免許なので記名被保険者を奥様にした場合です。奥様は休みの日に買い物に行くぐらいの使用頻度で旦那様が通勤に使用する場合、記名被保険者が奥様であっても使用頻度は「通勤使用」にしてください。使用目的は頻度の多い方を優先と覚えてください。
以上のように保険を安くする方法はいくつかあります。
①、②、③の要素を正しく理解し、保険料と優先順位を良く考えて検討してください。
新規で入る場合にはインターネット保険がお勧め。
まだ年齢が20代前半以下の人でこれから新規の保険に入る人が安く自動車保険に入りたい場合は、インターネット保険(通販型自動車保険)がお勧めです。代理店を経営している私が言うのも変な話ですが、値段が高くて保険に入らないという人を一人でも無くすためにあえて書きます。
インターネット(もしくは通販)経由の保険と代理店経由の保険を解りやすく比較するために、「通販型」と「代理店型」と呼びます。通販型と代理店型の保険料の違いを以下の図で説明します。
このように、保険の内容・条件によって通販型と代理店型の保険料の差に違いがあります。簡単に申しますと、保険料の高い要素が多いと通販型と代理店型の保険料の差が広がります。高い要素と言うのは、等級が低い(一番新規は6等級)、年齢が若い、運転する人が多い、運転する頻度が多い、補償内容が充実している、車両の価値が高い(もしくは車両が大きい)などです。
代理店型と通販型の違いは例えるなら、コンシェルジュのように専属の人が色々と対応してくれるのが代理店型。セルフサービスのように、自分で色々な手続きを自己責任で行うのが通販型となります。
コンシェルジュ代として通販型と比べて高いと考えてください。
どちらを選ぶかは人それぞれですが、私は代理店経営をしておりますので当然当社に入ってほしいという気持ちはあります。しかし、代理店型と通販型の保険料が年間で3万円以上も開いていると、はっきり言って代理店の強みよりも通販型の値段のメリットの方が大きいと考えます。事故を起こしたときは3万円以上のメリットを代理店型には感じると思いますが、事故を起こさなければ3万円の開きは高いと感じます。
今回新規で事故を起こしたことのない人は通販型で安く加入をすることをお勧めします。ただし、間違った条件などで入らないようにしてください。間違った条件で入ってしまうと最悪の場合保険が効かなくなります。
まとめ 実態を把握するうえでも一括見積を利用することをお勧め。
以上のように任意保険に加入するかどうか迷っている人は、加入は絶対にしてください。そして、経済的な理由などでどうしても保険料を安くしなければならない人は通販型を検討してください。一括見積もりサイトを利用すれば一番安い保険会社を調べることが出来ます。
保険に入らないことで大きな出費になるよりも一番安い保険に入り続ける方が、運転するときの安心感が違います。万が一の事故になっても大きな出費をすることもありません。
保険に入らずに節約しようと考えず、自動車保険に必ず入ったうえで車の運転をしてください。