ダイレクト型や通販型と言われるインターネットで加入できる自動車保険は代理店が販売するいわゆる大手損害保険会社の代理店型自動車保険よりも非常に安いです。
しかし、通販型の不安な部分は販売している会社自体が安定した規模の会社なのか。事故対応などはセルフサービスで自分が大変な思いをしないかという点です。
そんな中で大手損害保険会社である三井住友海上が運営している三井ダイレクトは気になる会社です。三井住友グループの強みはどこまであるのか?保険料は他社と比べて安いのか?
グループの強みもあってなおかつ保険料が安ければ言うことないですよね。
今回は三井ダイレクトの強みや保険料が他社と比較して安いのか、補償内容や事故対応などは良いのか調べてみました。
もくじ
三井ダイレクトはどんな会社なのか?
「三井ダイレクト」と聞くと昔から三井財閥の会社というイメージは付くと思います。大手損害保険会社で三井住友海上との資本関係はどうなっているのか見ていきましょう。
三井ダイレクトは三井住友海上グループ
三井ダイレクトは1999年に設立された会社です。会社を所有している株主の構成をみると約9割の株を「MS&ADインシュアランスホールディングス」が持っています。
この会社は大手損害会社である三井住友海上やあいおいニッセイ同和損保を傘下にするとても大きな会社です。
残りの約1割の株も三井住友グループの銀行や三井物産などが所有しています。
とにかく三井住友グループが全面支援している会社なので、三井ダイレクトに加入すれば倒産などの心配をすることはありません。
大手損害保険のグループ会社である強み
三井住友海上グループである強みは財務の面だけではありません。事故対応や補償内容などにも強みがあります。
例えば、事故対応のサービスです。事故が起きた時に契約者や事故相手とやり取りをする、事故サポートセンターは全国で10ヶ所しかありません。しかも事務所は東京、名古屋、大阪のみです。この数だけで全国の事故を処理するのは不可能です。
ましてや細かい修理内容の確認や事故現場の調査などを三井ダイレクトで行うことはできません。
そこで三井住友海上グループの強みが活かされます。三井住友海上は全国に事故サポートセンターが221ヶ所あります。
※三井住友海上HPより一部抜粋
三井住友海上の事故サポートセンターと協力して契約者の事故の調査や損害の確認などを行うことができます。
このように大手損害保険のグループ会社の強みが三井ダイレクトのメリットになります。
補償内容で他社と異なる良いサービスはあるのか?
三井ダイレクトの自動車保険の補償内容で特徴のあるものをまとめて見ました。
三井ダイレクトと同じような大手損害保険会社系列のイーデザイン損保やセゾン自動車火災には他の通販型保険会社にはない補償があります。
たとえば、車両事故無過失特約や車両進化特約などです。詳しい補償内容はリンクを貼っておきますので興味あれば見てください。
三井ダイレクトにもこの二つの特約はあるのでしょうか?残念ながらありません。私はこの二つの特約は非常に役に立つと感じるのでこれがないのは大きなデメリットです。
三井ダイレクトにはインターネット割引や自動ブレーキ付きの車にASV割引というサービスがあります。しかし、この割引サービスは他社でもやっているサービスです。
「三井ダイレクト独自のサービスを欲しい」と感じている場合には物足りない補償内容となっています。
保険料は他社比べて安いのか?
三井ダイレクトが他の通販型自動車保険とどのぐらい保険料が異なるのか条件を統一して調べてみましょう。
今回設定する条件は以下になります。
【保険料を出すための基礎条件】
年齢:26歳
年間走行距離:5000~10000Km
使用目的:日常・レジャー使用
車種:各車種をそれぞれ後述します。
年齢条件:26歳以上
運転者限定:家族限定
等級:18等級
【補償内容】
対人賠償・対物賠償:無制限(対物超過あり)
人身傷害5000万円(搭乗中のみ)
車両保険:一般条件(自損事故の修理代まで補償するプラン)
免責:年1回目0円・2回目以降10万円
※免責とは保険を使うとき、自己負担する金額になります。
ロードサービス付き(ロードサービスでレッカー牽引使用後、レンタカー代まで補償)
その他特約:弁護士費用あり
この条件をもとに同じ通販型自動車保険であるセゾン自動車火災(おとなの自動車保険)、イーデザイン損保、SBI損保の保険料と比較してみます。また、車の大きさによって保険会社ごとに保険料が変わるので、いくつかの車種で保険料を見積もりしてみました。
保険会社 | 三井ダイレクト | おとなの自動車保険(セゾン) | イーデザイン損保 | SBI損保 |
年間保険料 | 58,400円 | 62,440円 | 53,160円 | 53,690円 |
ヴィッツで三井ダイレクト、おとなの自動車保険、イーデザイン損保、SBI損保の4社で見積もりを出してもらいました。その結果、三井ダイレクトは4社のうち3番目の保険料になります。イーデザイン、SBIと比較しても5,000円高いので保険料で見ると大きな魅力はあまりありませんね。
次にプリウスで調べてみました。
保険会社 | 三井ダイレクト | おとなの自動車保険(セゾン) | イーデザイン損保 | SBI損保 |
年間保険料 | 75,250円 | 72,240円 | 65,660円 | 66,550円 |
プリウスの保険料をまとめました。残念ながら三井ダイレクトが一番高い結果になりました。一番安いイーデザイン損保との差は年間約1万円です。今回の条件の場合では三井ダイレクトは候補から外れてしまいそうです。
次にミニバンのヴェルファイアではどうなるのか見てみましょう。
保険会社 | 三井ダイレクト | おとなの自動車保険(セゾン) | イーデザイン損保 | SBI損保 |
年間保険料 | 79,500円 | 81,500円 | 69,850円 | 67,390円 |
ここでも一番安いSBI損保との保険料の差は年間で約12,000円の差です。保険料だけでは三井ダイレクトのメリットは薄いですね。
三井ダイレクト同じメガ損害保険会社グループのセゾン、イーデザイン損保と比較しても、保険料でのメリットは薄いです。ヴィッツはそこまで高くはないですが、プリウス、ヴェルファイアではイーデザイン損保に大きな差がありました。
しかし、これはあくまでも今回の条件で出した見積もりの結果です。年齢や運転者の条件、補償内容などで各社の保険料順位は変わります。
あなたの希望する条件で一番安い保険会社や各保険会社の保険料を調べたいのであれば、ぜひ一括見積もりサイトを利用してください。たくさんの保険会社の保険料を短時間で調べることができます。各社の比較検討がしやすくなります。
ロードサービスは他社と比べて良いのか?
三井ダイレクトのロードサービスは他社と比べると優れた点があるのか、強みはどこなのか他社とサービス内容を比較して説明していきます。
下の表は通販型自動車保険会社のロードサービスの内容をまとめたものになります。この表をもとに三井ダイレクトがロードサービスで他社とどのような違いがあるのか見ていきましょう。
通販型保険会社のロードサービス内容一覧
保険会社 | 三井ダイレクト | SBI
損保 |
ソニー
損保 |
アクサダイレクト | セゾン自動車火災 | イーデザイン損保 | チューリッヒ保険会社 | セコム損保 |
全社共通対応サービス | 〇バッテリー上がり 〇スペアタイヤ交換作業 〇キーとじ込み
〇エンジンオイル冷却水補充作業 〇落輪引き上げ |
|||||||
レッカー走行距離 | 50km | 50km | 50km | 35km | 搬送費用15万円を限度(最大300km) | 60km | 100km | 100km |
ガス欠燃料補給 | △
※1年目はガソリン代実費。2年目からは10リットルまで無料 |
〇 | △
※1年目はガソリン代実費。2年目からは10リットルまで無料 |
△
※契約2年目からサービス可能 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
雪道のスタック引き出し | △
※スタッドレスまたはチェーンタイア未装着の場合対象外 |
〇 | × | 〇 | × | 〇 | 〇 | × |
宿泊費用 | 無し | 一人一泊15,000円 | 限度無(一泊まで) | 最寄りのビジネスホテルまで負担 | 一人一泊1万円 | 無し | 最寄りのビジネスホテルまで負担 | 無し(オプションで追加) |
交通費用 | 無し(二年目からレンタカー12時間無料) | 一人20,000円ただし、レンタカーの場合は30,000円 | 限度無 | 限度無 | 一人20,000円 | 無し(提携工場搬送時無料代車) | 限度無 | 無し(オプションで追加) |
車両搬送限度額(修理後搬送サービス含む) | 不明 | 10万円 | 限度無 | 限度無 | 15万円 | 不明 | 限度無 | 無し(初回レッカー後は自己負担) |
その他サービス | ・スマホアプリサービス「トラブルナビ」
・チャイルドシートレンタル割引 |
〇ペットホテル費用負担 | ・つながるボタン
・つながるアプリ |
・提携修理工場による無料引き取り、無料納車サービス
・メディカルサポート |
〇ペットホテル費用負担 〇旅行、宿泊キャンセル料負担(5万円限度) |
※横にスクロールすると全体を見ることができます。
三井ダイレクトのロードサービスの内容は言うならば、「可もなく不可もなく」と言う印象です。これといって魅力的なサービスがあるわけではないですが、かといって物足りないところも少ない内容です。
しかし、気になる点とすればレッカー移動後の交通費と宿泊費用が入ってない点です。三井ダイレクトではレッカー後の交通費、宿泊費用は「車両保険」に加入する人にオプションとして「事故付随費用補償特約」をつけないと補償されません。
車両保険に入る考えはない人にとってみればデメリットです。また、この「事故付随費用補償特約」は事故で車が動かなくなった時にだけ使用できる補償です。車両保険が使用できる事故にのみ補償されるのです。故障で動かなくなった場合は補償されません。
また、車両保険に入っていても自損事故は補償しないタイプの車両保険に入った人が自損事故を起こした場合は補償されません。非常に限定的なサービスです。
自宅周辺のみ運転される人にはたいしたデメリットではないですが、ドライブで遠出をされる人にはおすすめできないロードサービスになっています。
事故対応は他社と比べて良いのか?
自動車保険を決めるときに一番気になるのは事故対応です。いくら保険料が安くても事故対応の評判が悪いと候補から外れます。
しかし、事故対応の口コミを見てしまうとどの保険会社に入って良いのか迷ってしまいます。
どの保険会社も不満足の口コミや評価が多いからです。これだけ見るとどの保険会社にして良いのか解らなくなります。
そこで当社は口コミの判断ではなく事故を起こしたときにどのようなサービスを保険会社が提供するのかを比較するとこで評価することにしています。
各通販型自動車保険がどのような事故対応をされるのか一覧にまとめましたので一緒に見ていきましょう。
通販型保険会社の事故対応一覧
保険会社 | SBI
損保 |
ソニー
損保 |
アクサダイレクト | 三井ダイレクト | セゾン自動車火災 | イーデザイン損保 | チューリッヒ保険会社 | セコム損保 |
専任担当者 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
事故現場急行サービス(警備会社) | × | 〇 | × | × | 〇 | 〇 | × | 〇 |
被害事故相談 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
担当者等による訪問 | 契約者が入院・死亡の時 | 契約者が入院・死亡の時 | 契約者・事故相手共に入院・死亡の時 | 契約者・事故相手共に入院・死亡の時 | 状況に応じて実施 | 契約者・事故相手共に入院・死亡の時 | 事故相手が入院・死亡の時 | 必要に応じて訪問 |
弁護士提携数 | 非公表 | 200ヶ所 | 全国58事務所 | 全国約160事務所 | 非公表 | 280人 | 全国100ヶ所以上 | 不明 |
提携修理工場者数 | 1000ヶ所 | 420ヶ所(但し保証サービスが充実) | 1050ヶ所(保証サービスが充実) | 2,100ヶ所(保証サービスが充実) | 630ヶ所(保証サービスが充実) | 1100ヶ所(保証サービスが充実) | 1400ヶ所以上 | 680ヶ所 |
事故後の進捗確認 | 電話・マイページにて確認 | 電話・面談・マイページ | 電話・マイページにて確認 | 安心メッセージボード(WEB) | 電話・メール・マイページにて確認 | 電話・メール・マイページにて確認 | 電話・メール・マイページにて確認 | 電話・必要に応じて面談 |
その他サービス | ガラス交換・修理業者紹介サービス(飛び石などのガラスのみの破損の場合) | ・スマホアプリサービス「トラブルナビ」
・土日事故での即時対応(相手方への連絡・初期対応フィードバック) |
ガラス交換・修理業者紹介サービス(飛び石などのガラスのみの破損の場合) | ・休日事故のお客様急行サービス(相手・契約者問わず入院事故について)
・「安心メッセージボード」を使うことで、専任スタッフに質問や相談が可能。 |
・つながるボタン つながるアプリ連動によりALSOK現場急行、事故現場情報、事故センターなど全てが対応できる | ・即日初期対応
・臨床心理士カウンセリング |
ガラス交換・修理業者紹介サービス(飛び石などのガラスのみの破損の場合) |
※横にスクロールすると全体が見れます。
事故対応もロードサービスと同様「可もなく不可もない」と言う内容です。専任担当者、提携修理工場数など補償内容は問題ないです。また、三井住友海上グループの強みも活かせるので事故対応サービスは一定以上の期待ができます。
一つ気になる点は現場急行サービスです。同じ大手損害保険グループ会社であるイーデザイン損保やおとなの自動車保険は警備会社急行サービスがあるのに三井ダイレクトにはありません。
事故の時に現場で相手とどのようにやり取りをすれば良いのか不安で誰か来て欲しいという人にはイーデザイン損保やおとなの自動車保険の方が良いのかもしれません。
まとめ
今回は三井ダイレクトについて色々と調べてみました。私の結論としてはやはり「可もなく不可もない会社」ということです。
そんななかで三井ダイレクトをおすすめできる人、おすすめできない人をまとめてみました。
◎三井ダイレクトをおすすめする人
・大手損害保険のグループ力を通販型自動車保険にも求める
・見積もりを取ったらイーデザイン損保やおとなの自動車保険よりも保険料が安かった
・三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保から初めて通販型に切り替える
×三井ダイレクトをおすすめできない人
・ドライブや旅行で遠くに行く機会が多い
・一括見積もりの結果、三井ダイレクトが他社と比べても明らかに高い
・事故の時に現場に来て欲しい
以上がおすすめする人、おすすめしない人のまとめになります。今まで大手損害保険の代理店から保険契約をしていた「代理店型」の人にとって通販型に切り替えるのは大きな不安があります。
そんな中で大手損害保険会社のグループ力を利用できる三井ダイレクトは安心できる面はあります。また、今まで三井住友やあいおいで入っていた人も三井ダイレクトは似ている部分があるので切り替えの不安が他社と比べて少なく済みます。
しかし、保険料が高いようであれば通販型に切り替えるメリットは少ないです。特に大手のグループ力に魅力を感じるのであればイーデザイン損保やおとなの自動車保険と比較して一番安い保険会社に入ることをおすすめします。
イーデザイン損保、おとなの自動車保険、それぞれの会社で見積もりを取ることもできますが、入力などが面倒です。2社以上の保険会社から見積もりを取るのであれば一括見積もりサイトをおすすめします。
一度の入力で8社以上の保険会社から見積もりを取ることができます。三井ダイレクト、イーデザイン損保、おとなの自動車保険の見積もりも取れます。
各保険会社の見積もりと今回調べた各社のロードサービスや事故対応内容を十分比較して三井ダイレクトにするのか、他の保険会社にするのか検討して見てください。