家族で新たに1台車を増やすと自動車保険にも1台新規で加入することになります。私は保険代理店に勤めているので日々車の保険を契約しています。そんな中で私が増車分の自動車保険を新規で契約するときにお客さんから「保険料が高い」という声を多く聞きます。
想定するよりも1台増えた自動車の保険は高いのです。増えた分の自動車保険を少しでも安くする方法としてセカンドカー割引があります。また、このセカンドカー割引は今の保険会社だけでなく他の保険会社で入りたい場合にも利用できるサービスです。
今回はセカンドカー割引の仕組みを覚えて少しでも保険料を安くする方法を説明します。
Contents
セカンドカー割引とは
セカンドカー割引とは2台目以降で初めて契約する自動車保険に対して割引をすることが出来ます。通常の新規等級である6S等級から一つ上の7S等級で契約をすることが出来ます。自動車保険の等級制度の仕組みが解らない場合はこちらの記事を参考にしてください。
セカンドカー割引は同じ新規でも値段が安い
6S等級で新規契約をするのとどのぐらい保険料に差があるのか、具体的な事例を基に見ていきます。
対象となる条件はこちらになります。
保険契約者(記名被保険者)
・23歳男性(両親と同居中)
・免許の色:ブルー
・車名:トヨタ・プリウス(型式:DAA-ZVW30)
・初度登録:平成26年5月
補償内容
【年齢条件】:21歳以上
【運転者限定】:なし
【使用目的】:通勤・通学使用
【対人賠償】:無制限
【対物賠償】:無制限
(対物全損時修理差額費用特約付き)
【人身傷害】:5000万円(乗車中のみ)
【車両保険】:一般条件
(自損事故まで補償するタイプ)
車両価格145万円 自己負担0円・2回目以降0万円
【その他特約】:弁護士費用特約(自動車事故のみ)
このプリウスの条件でが6等級とセカンドカー割引の7等級で見積もりを出した金額が下記になります。
このようにセカンドカー割引を使うと、保険料が目に見えて安くなります。等級制度の仕組みから説明すると通常の新規等級である6S等級は4%割増なのに対してセカンドカー割引の7S等級は34%割引になります。38%も割引に差が出ることになります。なお、この割引率は代理店型と通販型とでは異なる場合がありますが、いずれにしても6等級と7等級では大きな差があります。
以上のことからセカンドカー割引を使うことで保険料を安くすることが出来るようになります。
私はセカンドカー割引を使えるの?
先ほど例に挙げたプリウスの保険料の通り、新規契約でセカンドカー割引を使う事は大きなメリットがあります。
しかし、誰でもセカンドカー割引を使うことが出来るのかというとそういうわけではございません。具体的にセカンドカー割引を使うことが出来る条件を説明します。
セカンドカー割引は11等級以上の車が一台必要
セカンドカー割引を使う上で以下の二つの大きな項目があります。
・自宅に11等級以上の自動車保険が1台ある
・13ヶ月以内に廃車や売却、その他の事情で解約した自動車保険が無い
この条件が大前提になります。順番に説明していきます。
・自宅に11等級以上の自動車保険が1台ある
「セカンドカー」という言葉の通り自宅にもう一台車があり、その車の自動車保険が11等級以上なら対象となります。自宅にある車の等級が何等級なのかを調べる一番簡単な方法は保険会社から契約時に送られてくる保険証券を見ることで解ります。
・13ヶ月以内に廃車や売却、その他の事情で解約した自動車保険が無い
13ヶ月以内に自動車保険契約していた車を手放している場合、手放した車の等級が残っているのでセカンドカー割引を使うことが出来ません。これはあなたの支払い保険料を決める等級制度において、以前使用していた等級は消滅するまで13ヶ月残るというルールがあるからです。
例えば5ヶ月前まで車を持っていました。保険は5等級だったとします。車を手放したので保険も解約しました。今月に入り新しい車を買い、自宅にある12等級のセカンドカーとして契約しようと思いました。
しかし、残念ながらこの場合は13ヶ月以内に該当するので以前の5等級を利用することになります。6等級以下の場合は13ヶ月以内の等級が反映されます。
13ヶ月以内に7等級以上の保険を保有していた人は6等級からのスタートになってしまいます。保険料の支払いをせず解除になったり、廃車や譲渡で解約して中断手続きという等級を10年間取っておくことが出来る方法を行っていない場合、6等級からのスタートになります。
13ヶ月以内の契約があったのを忘れたり隠したりして申告せず契約を行っても、ほとんどの保険会社が共有しているデータがあるので見つかってしまいます。13ヶ月以内に等級が無いのを確認してセカンドカー割引の手続きをしてください。
自分が2台以上所有してないと使えないの?
「セカンドカー」というと一人の人が2台目を所有イメージがあります。しかしセカンドカー割引は同居の家族内で1台車が増えれば使えます。またセカンドという言葉から家族内で3台目以降使えないと思われます。しかし3台目以降もセカンドカー割引は使えます。
同居の家族で台数関係なく1台増えたらセカンドカー割引の対象になると覚えてください。
一人暮らしで実家のセカンドカー割引は出来るの?
一人暮らしの子供も家族だから子供が1台車買ったらセカンドカー割引使えるの?と質問を受けます。残念ながら別居の家族はセカンドカー割引を使う事が出来ません。もし一人暮らしの子供が住所異動せず住民票では同居扱いであればセカンドカー割引を使う事が出来ます。
保険会社は車検証の住所を確認するからです。所有者が一人暮らしの子供でも車検証の所有者住所が実家になってればセカンドカー割引が使えます。
事故あり等級でも11等級以上ならセカンドカー割引可能
11等級以上の等級を持っていても3年以内に事故で保険を使用すると事故あり係数という高い保険料になります。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
事故ありでも11等級以上なら大丈夫です。また今の段階で11等級でも契約期間中に保険を使用して次回の更新では11等級以下になるのが確定している人でもセカンドカー割引は使えます。あくまでも車が増える日の時点で11等級以上であればセカンドカー割引の対象になります。
大型のダンプやトラックもセカンドカー割引使えるの?
自営業で新たに2トンを超えるダンプカーを買った場合、セカンドカー割引は使えるのでしょうか?
これは残念ながら使えません。セカンドカー割引の対象は自家用8車種という決まりがあります。自家用8車種は以下の種類になります。
・自家用普通自動車(プリウス・ヴェゼルなど)
・自家用小型乗用車(アクア・ヴィッツなど)
・自家用軽四輪乗用車(NBOX・タントなど)
・自家用小型貨物車(プロボックス・ハイエースなど)
・自家用軽四輪貨物車(Nワゴン・キャリィなど)
・自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下:グランドハイエースなど)
・自家用普通貨物車(0.5トン超2トン以下:平ボデートラックなど)
・特種用途自動車(キャンピング車・ポンプ車など)
上記以外の2トンを超えるような大型ダンプカーや大型のトラック、営業車ナンバー(普通車は緑で軽自動車は黒のナンバープレートの車です)などはセカンドカー割引の対象にはなりません。
バイクにもセカンドカー割引で入れるの?
現在バイク保険に加入していて等級が11等級以上の場合にはセカンドカー割引が使えます。しかし、現在自動車のみ所有している人はバイクのセカンドカー割引は利用できません。あくまでバイクを現時点で1台以上所有し、なおかつバイク保険が11等級以上の場合のみセカンドカー割引が使えます。
セカンドカー割引が一番効果で高い家族状況
セカンドカー割引は先ほど書いたように通常新規で入る6等級と比べて割引率が〇%になります。割引率が高いという事は基本の金額が高いものに対して効果があります。自動車保険において基本金額の高いものと言えば未成年です。
未成年者が免許を取った場合
家族の中で高校を卒業してすぐ免許を取り車も併せて購入予定の場合はセカンドカー割引を有効に利用した方が良いです。未成年の自動車保険はかなり高額になるので家庭で加入している自動車保険の等級をうまく組み替えて家族全体で保険料を抑える方法をお勧めします。
基本的には26歳以上の家族で11等級以上の等級を持っている人の等級を未成年の家族に譲り、譲った人がセカンドカー割引を使い新規契約するのが家族全体では保険料が安くなります。しかし、中には譲らない方が安い場合もあります。
例えば11等級以上であっても事故あり等級の場合、割引率が低く、セカンドカー割引の7等級の方が安い可能性があります。
上の図は代理店型のセカンドカー割引の境界です。代理店型は年齢条件関係なく7S等級は34%割引になります。通販型は年齢条件などによって割引率が異なります。特に21歳以上までは割増になる保険会社もあります。
割増になっている保険会社の場合は11等級以上の事故ありでも安い可能性が高いです。
現在家族にある自動車保険の証券を良く見直し、セカンドカー割引を誰の保険に交換すべきか、それとも未成年の保険に使うべきかを検証してください。
一台目と別の保険会社でもセカンドカー割引で入れるのか?
「家族の11等級を使いセカンドカー割引を使用したくても自分が入りたい保険会社は別の所なので諦めなければならない」私の知り合いからこういう話を聴いたことがあります。セカンドカー割引という名称が同じ保険会社で入る代わりに行うサービスという印象を持つのかもしれません。
しかし、この割引制度は保険会社とは関係なく利用することが出来ます。未成年の自動車保険料はとても高いのでセカンドカー割引を使って通販型の保険に入りたい場合には是非利用してください。
他の保険会社でセカンドカー割引を使用し契約する方法
手続き方法としては申し込む際に11等級以上ある保険の保険会社と証券番号を入力するだけです。これは今入っている保険会社で手続きする時も一緒です。
必要なもの:11等級以上の自動車保険の証券
理由:保険会社の名称と証券番号を申込書に記載、入力するため
11等級以上の保険会社と証券番号に誤りが無ければ何の指摘もなくすんなり他の会社と契約が成立します。
上の図は通販型の申込書画面になります。契約を申し込むときにセカンドカー割引を選択した場合、このような画面が出てきます。ここで用意した証券を見ながら必要な個所を選択、入力を行ってください。証券があれば手続きは簡単に完了します。
もし証券が見当たらない場合は現在の保険会社に問い合わせれば数日以内に証明書を発行してくれます。気を付けて頂きたいのは証券の再発行はとても時間がかかるので現在の補償内容が解る証明書を送ってくださいと依頼してください。
まとめ
今回はセカンドカー割引について説明しました。今回の内容を簡単にまとめます。
・セカンドカー割引は11等級以上の自動車保険が家族にある場合に利用できる
・家族とは同居の家族に限られ別居している家族は対象外
・セカンドカー割引は通常6等級からの新規契約を7等級からスタートできる
・セカンドカー割引で一番効果があるのは未成年のいる家族
・セカンドカー割引は他の保険会社で加入したい場合でも利用できる
・セカンドカー割引を利用したい場合には対象となる11等級以上の保険の証券を用意して手続きをする
以上になります。セカンドカー割引を上手に利用して少しでも家庭の自動車保険の金額を減らしてください。